【建設業ご相談事例】経営業務管理責任者(常勤役員等)の交代

質問者:新潟県内の建設会社(株式会社)

当社は、新潟県内で約20年間、建設業を営んでいます。

現在、経営業務管理責任者を務めている取締役Aが、新規事業の立ち上げに専念するため、経営業務管理責任者を別の取締役Bに交代させたいと考えています。

取締役Bは、常勤の取締役に就任してから今月で5年になります。交代は、新規事業の立ち上げに合わせて1か月後を予定しています。

取締役Bを経営業務管理責任者に交代させることは可能でしょうか。また、どのような要件や手続きが必要になるのでしょうか。

回答:トラスト行政書士事務所
要件を満たしていれば、別の取締役に交代できます今回のケースでは、取締役Bが建設業を営む会社の役員として5年以上の経験を有しているため、経営業務管理責任者(現在の制度上の名称は「常勤役員等」)としての要件を満たす可能性があります。ただし、取締役として5年以上在籍しているという事実だけで、必ず要件を満たすとは限りません。 建設業に関する経営経験があることや、常勤性などの要件を満たしていることを確認する必要があります。必要な要件を満たしていることを確認できれば、取締役Bへの交代に向けて変更届を提出することになります。なお、常勤役員等の変更届は、原則として変更の事実が発生した日から2週間以内に提出する必要があります。

1.経営業務管理責任者(常勤役員等)とは?

建設業許可を取得・維持するためには、建設業の経営業務を適正に管理する能力を備えた体制が必要です。

法人の場合は、原則として常勤の役員等のうち1人が、建設業に関する一定の経営経験など、法令で定められた要件を満たす必要があります。

この役割を担う人について、以前は「経営業務管理責任者(経管)」という呼び方が一般的でしたが、現在の制度では「常勤役員等」という名称が使われています。

会社の代表者が必ずこの役割を担わなければならないわけではありません。要件を満たす別の取締役などを選任することも可能です。

ただし、選任する人が必要な経験を有していることに加え、会社で常勤していることなどの要件を満たす必要があります。

2.常勤役員等になるための主な要件

常勤役員等の要件には、主に次のようなルートがあります。

① 建設業に関し、5年以上の経営業務管理責任者としての経験がある

建設業に関して、5年以上、経営業務の管理責任者としての経験を有する人が該当します。

例えば、建設業を営む会社の取締役として経営業務に携わってきた人などが候補となります。

ただし、役員として登記されていた期間だけでなく、その期間における建設業の経営実態や経験の内容などを確認することが重要です。

② 建設業に関し、5年以上、経営を管理した経験がある

経営業務を執行する権限の委任を受け、経営業務管理責任者に準ずる地位で経営を管理した経験がある人も、要件を満たす場合があります。

例えば、一定の権限を委任された執行役員などが考えられます。ただし、役職名だけでは判断できず、権限委任の状況や実際に行っていた業務などを確認する必要があります。

③ 建設業に関し、6年以上、経営を補佐した経験がある

経営業務管理責任者に準ずる地位にあり、経営業務管理責任者を補佐する業務に従事した経験が6年以上ある人も、要件を満たす場合があります。

この場合も、単に社内で補助的な仕事をしていたというだけでは足りず、所定の地位や業務経験を証明できることが重要です。

④ 常勤役員等と、これを直接補佐する人を組み合わせる方法

一定の役員経験などを有する常勤役員等を配置したうえで、その人を直接補佐する担当者を置く方法もあります。

常勤役員等には、例えば次のような経験要件があります。

  • 建設業に関する役員等の経験が2年以上あり、役員等または役員等に次ぐ職制上の地位での経験が通算5年以上あること(後者の経験は財務管理・労務管理・業務運営を担当したものに限られます)。
  • 役員等として5年以上の経験があり、そのうち建設業に関する役員等の経験が2年以上あること。

また、常勤役員等を直接補佐する人については、財務管理、労務管理、業務運営の各分野で所定の経験が必要です。1人が複数の分野を兼ねることができる場合もあります。

この方法は、通常の「建設業に関する5年以上の経営経験」とは異なる要件があるため、個別の事情に応じた確認が必要です。

上記のほか、常勤性などの要件も満たす必要があります。詳細は、国土交通省の「建設業許可の要件」もご確認ください。

3.今回の取締役Bは交代できるのか?

今回のご相談では、取締役Bが常勤の取締役に就任してから5年が経過しています。

この点は、要件を確認するうえで重要な事情です。

ただし、次の点を確認する必要があります。

  • 取締役Bが在任していた期間、会社が実際に建設業を営んでいたか
  • 取締役Bの役員就任期間や経営経験を、登記事項証明書などで確認できるか
  • 取締役Bが交代後も会社で常勤するか
  • 必要な社会保険への加入など、関係する要件を満たしているか
  • そのほか、申請先が求める確認資料を準備できるか

これらを確認し、要件を満たしていることが認められれば、取締役Bへの交代を進めることができます。

交代予定日までに要件と必要書類を確認しておくことをおすすめします。 交代後に要件を満たしていないことが判明すると、建設業許可の維持に支障が生じるおそれがあるためです。

4.常勤役員等の交代に必要な書類

常勤役員等の変更では、届出書のほか、新たに就任する人の経験や常勤性を確認する資料などを提出します。

必要書類は経験の内容や申請先の運用によって異なりますが、主なものは次のとおりです。

① 変更届出書

常勤役員等の変更を届け出るための書類です。

② 常勤役員等の証明書・略歴書

新たに就任する人について、所定の様式で経験や略歴などを記載します。

③ 経営業務の経験を確認する資料

例えば、次のような資料が考えられます。

  • 役員としての在任期間を確認できる登記事項証明書
  • 建設業を営んでいたことや経営経験を確認するための資料
  • 必要に応じて、工事請負契約書や確定申告書など

登記事項証明書だけで経験の内容を十分に確認できない場合は、追加資料が必要になることがあります。

④ 常勤性を確認する資料

新たに就任する人が、会社で常勤していることを確認するための資料です。

具体的には、申請先の手引きに従い、社会保険関係の書類、出勤状況を確認できる資料などを準備します。

なお、健康保険証については、従来の健康保険証が現在も一律に使用できるわけではありません。提出可能な資料は、現在の制度と新潟県の最新の手引きに基づいて確認してください。

⑤ 社会保険などに関する確認資料

会社の状況や届出内容に応じて、健康保険・厚生年金保険、雇用保険などに関する資料が必要となる場合があります。

すべてのケースで同じ書類を提出するわけではありません。実際に必要となる資料は、変更内容と申請先の案内に従って確認することが大切です。

新潟県の最新の様式や手引きは、新潟県「建設業許可について」から確認できます。

5.変更届の提出期限はいつまで?

常勤役員等を変更した場合、原則として変更の事実が発生した日から2週間以内に変更届を提出する必要があります。

変更する予定が決まった段階で、必要書類の準備を始めておくと安心です。

今回のように、1か月後に交代を予定している場合は、交代日までに経験要件や常勤性を確認し、必要書類を準備しておくと、変更後の届出を円滑に進めやすくなります。

なお、交代の時期は、単に社内で役割を引き継ぐ日だけでなく、実際に変更の事実が発生する日を踏まえて判断する必要があります。

6.新規事業を始める場合、会社の目的変更も必要?

新規事業の内容によっては、会社の定款に記載されている事業目的を追加・変更する必要があるかもしれません。

会社の目的変更を行う場合、一般的には次の手続きを進めます。

  1. 株主総会で定款変更の特別決議を行う
  2. 変更内容に応じて、法務局で目的変更登記を申請する
  3. 必要に応じて、許認可などの関係手続きを確認する

ただし、新規事業を始めるからといって、必ず目的変更が必要になるとは限りません。現在の定款の目的で対応できるか、事業内容や取得予定の許認可に応じて確認します。

また、建設業許可の変更届と、会社の目的変更登記は別の手続きです。どちらが必要なのか、いつまでに行うべきかを整理して進めることが大切です。

7.常勤役員等の交代は、事前の確認が重要です

建設業許可を維持するためには、常勤役員等の要件を継続して満たしていることが重要です。

交代を急いで進めた結果、新たに就任する人の経験が要件を満たしていなかったり、必要な資料が不足していたりすると、手続きに時間がかかる可能性があります。

特に、次のような場合は、早めの確認をおすすめします。

  • 現在の経営業務管理責任者が退任・退職する
  • 後任候補者の役員経験が5年に達したばかりである
  • 役員経験はあるものの、建設業の経営経験を証明できるか不安がある
  • 会社の目的変更や役員変更登記も同時に行いたい
  • 新規事業の開始時期に合わせて手続きを完了させたい

行政書士からのアドバイス

常勤役員等の交代は、建設業許可を維持するうえで重要な手続きです。

今回のように、後任となる取締役が5年以上の役員経験を有している場合でも、その期間における建設業の経営経験や常勤性などを確認し、必要な資料を整える必要があります。

また、交代に伴って会社の目的変更や役員変更登記が必要になる場合には、建設業許可の手続きと会社の登記手続きを連携させることで、効率的に進められることがあります。

トラスト行政書士事務所では、建設業許可に関する変更届や要件確認についてご相談を承っております。また、司法書士法人を併設しているため、会社の目的変更や役員変更登記などが必要な場合も、まとめてご相談いただけます。

新潟市および新潟市近郊で、経営業務管理責任者(常勤役員等)の交代や建設業許可の変更手続きでお困りの方は、お気軽にご相談ください。

建設業の許可に関するお問い合わせ
お電話でのお問い合わせ

「建設業のホームページを見た」とお伝えください。

           
受付時間:平日9:00-12:00 / 13:00-17:45(土日祝休み)
メールでのお問い合わせ

    ページトップへ戻る