建設業許可を取得したら、「その後の手続きは何もわからない」、「いつまでに何を出したらいいかわからない」といったお話をお聞きすることがあります。
届出は義務です
申請した内容の重要な事項に変更が生じた場合や、毎事業年度終了後は、期限内に変更届や決算変更届を提出しなければなりません。
決算変更届を提出しないとどうなるか
罰則があります
監督処分や罰則を受けることがあります
事業年度終了後の決算変更届を提出しなかった場合、届出に虚偽の記載をした場合は、建設業法第50条の規定に基づき、「6ヶ月以内の懲役、又は100万円以下の罰金に処す」という厳しい罰則が定められています。
直ちに処分されることはありませんが、許可の申請はできません。
更新許可の申請ができません
5年分の決算変更届を提出していないと更新の申請ができません。
更新期限が切れると許可が取り消しになります。
業種追加の許可申請ができません
資格を取得した、事業拡大のため、取引先から新たな業種の工事を依頼されて等、業種追加の申請をしたくても、決算変更届が提出していないと申請することができません。
経審を申請できません
経審を申請できなければ、入札に参加することができません
取引先や銀行からの信用を失うかもしれません
決算変更届や変更届が未提出だったために、更新や業種追加の申請をすることができず、有効期限が切れて許可の取り消しとなってしまった。同じように業種追加を申請するのが遅くなり、取引先からの工事を請負うことができなかったということになると取引先や銀行からの信用を失いかねません。
そうなれば、今後の業績にも大きな影響を及ぼす可能性があります。
変更届で注意すべきこととは
手続き書類の作成は容易ではありません。次にあげる提出書類を見て頂くとおわかりのように、変更届の作成は1日で終わるものではありません。
届出内容によっては、添付する書類の中に、区役所や法務局、県の税務部に出向いて取得しなければならない証明書もあります。身分証明書は本籍地での取得になりますので、役員の方で遠方に本籍地がある場合、郵送で請求することになると更に時間も手間もかかります。
「間に合わなければ行政書士の先生に任せればプロだし、すぐに手続きしてくれるだろう」とお考えの方も多いと思います。もちろん慣れている事務所であればスムーズに手続きをすすめることはできると思います。その事務所でも他にも優先すべきお客様の依頼があるはずです。希望通りに手続きができるとは限りません。依頼を考えている場合でも余裕をもって依頼をされることをおすすめします。
役員の辞任、従業員の退職で建設業許可の要件を満たさなくなることがあります
辞任される役員や退職される従業員は、経営業務の管理責任者や専任技術者として申請されている方ではありませんか。そうである場合、要件を満たした代わりの方をたてていますか。
経営業務の管理責任者は経営経験5年以上の常勤役員等の要件があります。他の役員が要件を満たしていない場合は新たに要件を満たした方を役員として就任登記する必要があります。専任技術者は役員でなくても大丈夫ですが、資格もしくは実務経験があり常勤で勤務している必要があります。
建設業許可の変更届出の提出期限と必要書類
決算が終わったら、経営業務の管理責任者や専任技術者を交代したら、登記を変更したら、建設業を営業する事務所を変更したら等では必ず変更届を提出します。余裕をもってご準備ください。
提出期限 毎事業年度終了後4か月以内
1.毎事業年度終了後の決算変更届
下記事項に変更があったときは、決算変更届と併せて届出が必要
① 使用人数
② 建設業法施行令第3条に規定する使用人の一覧表
③ 健康保険等の加入状況
④ 定款
提出期限 事実発生後2週間以内
1.経営業務管理責任者(常勤役員等、常勤役員等及び常勤役員等)を直接に補佐する者の変更
2.専任技術者の変更(交代、追加、有資格者区分の変更、改姓改名の変更
3.令第3条の使用人の変更(新任・変更・削除)
4.経営業務管理責任者(常勤役員等、常勤役員等)を直接に補佐する者、専任技術者の削
除
5.健康保険等の加入状況
6.建設業法第8条第1号及び第7号から第14号までのいずれかに該当した場合
許可申請書や添付書類の重要な事項について虚偽の記載をしたり、重要な事実の記載が欠けている場合や、許可申請者又はその役員等若しくは令第3条に規定する使用人が、建設業者としての一定の要件(欠格要件)に該当する場合のことをいいます。
欠格要件とは
(イ)許可申請書又は添付書類中に重要な事項について虚偽の記載があり、または重要な事実の記載が欠けているとき。
(ロ)許可申請者やその役員等若しくは令第3条に規定する使用人、支配人が次のいずれかに該当するとき。
- 破産手続開始の決定を受けて復権を得ない者
- 精神の機能の障害により建設業を適正に営むに当たって必要な認知、判断及び意思疎通を適切に行うことができない者
- 不正の手段により許可を受けた場合、または営業停止処分に違反したこと等によりその許可を取消されて5年を経過しない者
- 許可の取消し処分を免れるために廃業の届出を行い、その届出の日から5年を経過しない者
- 上記4.の届出があった場合に、許可の取消処分に係る聴聞の通知の前60日以内に当該法人の役員若しくは令第3条に規定する使用人または個人の支配人であった者で、当該届出の日から5年を経過しない者
- 営業の停止を命ぜられ、その停止の期間が経過しない者
- 営業を禁止され、その禁止の期間が経過しない者
- 禁固以上の刑に処せられ、その刑の執行を終わり、またはその刑の執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者
- 建設業法または一定の法令の規定に違反して罰金の刑に処せられ、その刑の執行を終わり、またはその刑の執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない者
- 暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律第2条第6号に規定する暴力団員又は同号に規定する暴力団員でなくなった日から5年を経過しない者
- 暴力団員がその事業活動を支配する者
- 営業に関し成年者と同一の行為能力を有しない未成年者でその法定代理人が上記1.から11.のいずれかに該当する者
提出期限 事実発生後30日以内
7.商号・名称(個人事業主の場合は屋号)の変更
8.営業所の名称又は所在地、営業所において営業を行う建設業の種類の変更
9.営業所の新設
10.従たる営業所の廃止
11.資本金の変更
12.役員等(株主も含む)の就任及び退任
13.役員等、事業主又は個人の支配人等の改姓改名
14.一部の業種を廃業したとき
15.建設業法第12条のいずれかに該当し、全部の業種を廃業するとき
- 許可に係る建設業者が死亡したときは、その相続人
- 法人が合併により消滅したときは、その役員であつた者
- 法人が破産手続開始の決定により解散したときは、その破産管財人
- 法人が合併又は破産手続開始の決定以外の事由により解散したときは、その清算人
- 許可を受けた建設業を廃止したときは、当該許可に係る建設業者であつた個人又は当該許可に係る建設業者であつた法人の役員
提出書類
- 毎事業年度終了後の決算変更届
- 別紙8 変更届出書
- 第2号 工事経歴書
- 第3号 直前3年の工事施工金額
- 第15号 貸借対照表(法人)
- 第16号 損益計算書(法人)
- 第17号 株主資本等変動計算書(法人)
- 第17号の2 注記表(法人)
- 第17号の3 附属明細表(法人)
資本金額1億円超又は貸借対照表の負債の部に計上した合計額が200億円以上の株式会社のみ
- 第18号 貸借対照表(個人)
- 第19号 損益計算書(個人)
- 事業報告書(任意様式) 特例有限会社を除く株式会社のみ提出
- 納税証明書 法人事業税又は個人事業税、地域振興局県税部にて取得
下記事項に変更があったときは、決算変更届と併せて届出が必要
- 第4号 使用人数
- 第11号 建設業法施行令第3条に規定する使用人の一覧表
- 第7号の3 健康保険等の加入状況
雇用保険の適用除外から、従業員を雇用し加入した場合等
- 定款 商号、営業所の名称及び所在地、資本金の変更等に伴い変更がされた場合
2.経営業務管理責任者(常勤役員等、常勤役員等及び常勤役員等を直接に補佐する者)の変更
規則第7条第1号イに該当する場合
常勤役員等のうち一人、個人の場合は事業主又は支配人が次のいずれかに該当する者
(1) 建設業に関し5年以上の経営業務の管理責任者としての経験を有する者
(2) 建設業に関し経営業務の管理責任者に準ずる地位にある者(経営業務を執行する権限の委任を受けた者に限る。)として5年以上経営業務を管理した経験を有する者
(3) 建設業に関し経営業務の管理責任者に準ずる地位にある者として6年以上経営業務の管理責任者を補佐する業務に従事した経験を有する者
- 第22号の2 変更届出書(第一面)
- 第7号 常勤役員等(経営業務の管理責任者等)証明書
- 別紙 常勤役員等の略歴書
規則第7条第1号ロに該当する場合
以下の1.と2.をともに置くもの
- 常勤役員等のうち1人が次の(1)(2)いずれかに該当する者
(1) 建設業の財務管理、労務管理又は業務運営のいずれかの業務を担当し、建設業の役
員等の経験2年以上かつ、5年以上の建設業の役員等又は役員等に次ぐ職制上の地位における経験を有する者
(2) 建設業の役員等の経験2年以上を含む5年以上の役員等の経験を有する者
- 上記(1)または(2)を直接補佐する者として下記の①~③の者をそれぞれ置くものであること。(他社における業務経験は認められません。)
- 財務管理の5年条の業務経験
- 労務管理の5年以上の業務経験
- 業務運営の5年以上の業務経験
複数の業務経験を有している者は、各業務経験の補佐する者を兼ねることができます。
例 ①、②、③の経験がある者は、一人で補佐する者とすることができる。
- 第7号の2 常勤役員等及び当該常勤役員等を直接に補佐する者の証明書
- 別紙1 常勤役員等の略歴書
- 別紙2 常勤役員等を直接に補佐する者の略歴書
確認資料
- 常勤役員等(経営業務の管理責任 者等)の経験を確認する資料
登記事項証明書(役員及び営業所長の経験)
確定申告書(個人事業主の経験)
建設工事の受注を確認できる書類(1年に1件、計5年分)
- 常勤役員等(経営業務の管理責任者等)に準ずる地位、または常勤役員等を補佐する業務に従事した 経験を確認する資料を確認する資料
- 組織図、人事発令書、辞令書、これらに準ずるもの
- 当時の稟議書・取締役会の議事録等(被証明者が意思決定に関与していたことを証するもの )
- 確定申告書(事業専従者に被証明者の氏名が記載されているもの。個人事業主のみ)
- 常勤役員等(経営業務の管理責任者等)の常勤性を確認する資料
以下のいずれか1点
①健康保険証
②当該営業所における直近3カ月分の出勤簿・辞令書等
③健康保険・厚生年金保険資格取得確認および標準報酬決定通知書
④雇用保険被保険者証
⑤常勤役員等が70歳以上の場合
・厚生年金保険70歳以上被用者標準報酬月額相当額決定のお知らせ
・厚生年金保険70歳以上被用者算定基礎届
・住民税特別徴収税額決定通知書
⑥個人事業主の場合
・直近の確定申告書第一表及び第二表
3.専任技術者の変更(交代、追加、有資格者区分の変更、改姓改名の変更
- 第22号の2 変更届出書(第一面)
- 別紙4 専任技術者一覧表
- 第8号 専任技術者証明書
- 第9号 実務経験証明書《該当する場合》
- 第10号 指導監督的実務経験証明書《該当する場合》
確認資料
専任技術者の実務経験を証する資料 《該当する場合》
申請者での実務経験の場合
実務経験期間の直近5年分(1年に1件)の、以下のいずれか1点
①請負契約書 ②注文書又は請書 ③請負代金の請求書 ④工事台帳
専任技術者の常勤性を確認する資料
卒業証明書、資格証明書、監理技術 者資格者証《該当する場合》
専任技術者の改姓解明の確認資料
戸籍抄本又は住民票抄本(変更がわかるもの)
4.令第3条の使用人の変更(新任・変更・削除)
- 第22号の2 変更届出書(第一面)
- 第6号 誓約書
- 第11号 使用人の一覧表
- 第13号 使用人の調書
- 登記されていないことの証明書 法務局にて取得
(成年被後見人及び被保佐人に該当しない旨の登記事項証明書)
- 身分証明書 本籍地の市町村にて取得
(成年被後見人又は被保佐人とみなされる者に該当せず、また、破産者で復権を得ない者
に該当しない旨の市町村の長の証明書)
- 県独自様式(事業主・役員等・令3条に規定する使用人の一覧表)
5.経営業務管理責任者(常勤役員等、常勤役員等)を直接に補佐する者、専任技術者の削
除
- 第22号の2 変更届出書(第一面)
- 別紙4 専任技術者一覧表【専任技術者を削除 する場合】
- 第22号の3 届出書
6.健康保険等の加入状況
- 第22号の2 変更届出書(第一面)
- 第7号の3 健康保険等の加入状況
確認資料
健康保険、厚生年金保険-以下のいずれか1点
①申請時直前の保険料の納入に係る「領収証書又は納入証明書」
②標準報酬決定通知書 ・被保険者資格取得確認及び標準報酬決定通知
③新規適用届 (上記資料が提示できない場合)
雇用保険-以下のいずれか1点
①申請時直前の「労働保険概算・確定保険料申告書」の控え及び保険料の「領収済通知
書」
②雇用保険資格取得等確認通知書、被保険者証
③雇用保険適用事業所設置届 (上記資料が提示できない場合)
7.建設業法第8条第1号及び第7号から第14号までのいずれかに該当した場合
- 第22号の2 変更届出書(第一面)
- 第22号の3 届出書
8.商号・名称(個人事業主の場合は屋号)の変更
- 第22号の2 変更届出書(第一面)
- 登記事項証明書(変更内容がわかるもの)
9.営業所の名称又は所在地、営業所において営業を行う建設業の種類の変更
- 第22号の2 変更届出書(第一面)
- 登記事項証明書(変更がわかるもの)《名称・所在地変更の場合》
確認資料
営業所の建物が自社所有の場合、以下のいずれか1点
①不動産登記簿謄本
②資産評価額証明書
賃貸の場合、以下のいずれか1点
①賃貸借契約書
②公共料金の領収書(賃貸借契約書がない場合)
写真(以下の写真全て)
①営業所の看板を含め、建物の全景
②営業所内(事務室)
③許可票の設置場所と許可票が判読できるようアップで撮影したもの
④営業所名が表示された入口等を撮影したもの
⑤フロア案内を撮影したもの(ビル内に営業所を設けている場合)
10.営業所の新設
- 第22号の2 変更届出書(第一面・第二面)
確認資料
営業所の建物が自社所有の場合、以下のいずれか1点
①不動産登記簿謄本
②資産評価額証明書
賃貸の場合、以下のいずれか1点
①賃貸借契約書
②公共料金の領収書(賃貸借契約書がない場合)
写真(以下の写真全て)
①営業所の看板を含め、建物の全景
②営業所内(事務室)
③許可票の設置場所と許可票が判読できるようアップで撮影したもの
④営業所名が表示された入口等を撮影したもの
⑤フロア案内を撮影したもの(ビル内に営業所を設けている場合)
11.従たる営業所の廃止
- 第22号の2 変更届出書(第一面・第二面)
- 第11号 使用人の一覧表
12.資本金の変更
- 第22号の2 変更届出書(第一面)
- 第14号株主(出資者)調書(変更がある場合)
- 登記事項証明書(変更内容のわかるもの)
13.役員等(株主も含む)の就任及び退任
- 第22号の2 変更届出書(第一面)
- 別紙1 役員の一覧表
- 第6号 誓約書《就任の場合》
- 第12号 役員等の調書《就任の場合》
※取締役であった者が代表取締役になった等職名変更の場合でも必要
- 第14号 株主調書(株主に変更があった場合)
- 登記事項証明書(変更がわかるもの)《就任・退任》
- 登記されていないことの証明書 《就任》※株主・顧問・相談役は不要
- 身分証明書《就任》※株主・顧問・相談役は不要
- 事業主・役員等・令3 条に規定する使用人の一覧表《就任》
14.役員等、事業主又は個人の支配人等の改姓改名
- 第22号の2 変更届出書(第一面)
- 別紙1 役員等の一覧表(法人の場合)
- 戸籍抄本(変更がわかるもの)《個人事業主、株主の場合等》
- 登記事項証明書(変更がわかるもの)《役員等、個人の支配人の場合》
15.一部の業種を廃業したとき
- 第22号の4 廃業届
16.建設業法第12条のいずれかに該当し、全部の業種を廃業するとき