【建設業ご相談事例】個人事業主から法人成りした場合、建設業許可を引継ぐには?

質問:新潟市内の建設会社

個人事業で一般建設業許可を3年前に取得し、この度、事業拡大のため、会社設立を考えています。

建設業許可は、そのまま引き継ぐことができますか?

回答:トラスト行政書士事務所

以前は、法人成りする場合は、建設業許可の取り直しが必要でした。

しかし、令和2年10月1日に建設業法等の改正により、建設業者が事業の譲渡等を行う場合、事業承継の日よりも前にあらかじめ「譲渡及び譲受け認可申請」を受けることで、空白なく建設業の地位を承継することができるようになりました。

事業承継の日よりも前にあらかじめ認可申請をし、認可を受けることで、建設業許可を個人事業主から法人へ引き継ぐことができます。

下記説明は、新潟県の場合です。

県外の場合は、手続き方法が異なる場合がありますので、管轄の地域振興局にご確認下さい。

「譲渡及び譲受け認可申請」のおおまかな流れ

まずは、「譲渡及び譲受け認可申請」のおおまかな流れについてです。

①法人設立

②事業譲渡契約

※事業承継日の30日前までに申請書を提出し、認可を受けなければいけません。

③事前相談

(管轄の振興局に書類の不備等がないか確認をしてもらいます。)

④申請書提出(承継日の30日前までに申請書を提出する)

⑤認可(審査期間 約30日間)

※上記は、おおまかな流れとなります。事業承継日の30日前までに申請書を提出し、認可を受けなければいけませんので、設立前から管轄の振興局に相談しながら、申請書類の作成等事前準備が必要となります。

譲渡及び譲受け認可を受けるための要件

(個人事業から法人に事業承継する認可を受ける場合)

建設業新規申請時同様の要件を再度確認してください。

事業形態を個人から法人へ変更する場合については、変更後の法人が次の要件をすべて満たしている必要があります。

①経営業務の管理責任者が配置されていること

②営業所ごとに専任技術者が配置されていること

③財産的基礎または金銭的信用を有すること

④誠実性を有すること

⑤欠格要件に該当しないこと

今回、経営管理者、専任技術者だった個人事業主が代表取締役となり、

経営管理者、専任技術者を引続き行うので、①と②は問題ありません。

③財産的基礎または金銭的信用を有すること

新規申請時同様、財産的基礎または金銭的信用を有することの要件を

再度確認する必要があります。

(イ)自己資本の額が500万円以上であること。

貸借対照表の純資産の額を確認してください。

貸借対照表とは、企業の資産状況を示す書類です。
資産総額-負債総額=純資産の合計額(自己資本の額)が500万円以上かどうか確認してください。

(ロ)500万円以上の資金を調達する能力があること。

もし(イ)を確認して、純資産が500万円以下の場合は、残高が500万円以上あることの証明が必要になります。

④誠実性を有すること

法人である場合は、その法人・役員等(業務を執行する社員、取締役、執行役若しくはこれらに準ずる者又は相談役等)が請負契約に関して不正又は不誠実な行為をするおそれが明らかな者でないことを確認してください。)

⑤欠格要件に該当しないこと

建設業新規申請時同様、欠格要件に該当しないことをご確認ください。

欠格要件とは、破産手続き開始の決定を受けて復権を得ない場合や禁固以上の刑に処され、その刑の執行を終わり、またはその刑の執行を受けることがなくなった日から5年を経過しない場合や暴力団の構成員なども欠格要件に該当します。

欠格要件の全ては、新潟県ホームページの「建設業許可について」のページをご確認ください。

譲渡及び譲受け認可を受けるための注意点

・事前に認可申請を受けること

あらかじめ事業を承継する30日以上前に認可申請する必要があります。事業譲渡を行った後は、認可申請できません。

・承継元の建設業の全部を承継すること

必ず承継元が受けていた建設業許可の全部を承継先にさせる必要があります。承継元が受けていた建設業許可の一部のみを承継させることはできません。

・社会保険、雇用保険の加入

法人の場合は、雇用保険、健康保険、厚生年金保険の加入が必須となります。

一般的には、法人を設立すれば、健康保険は協会けんぽへの加入、年金は厚生年金への加入が必要となります。建築国保等は、そのまま法人になっても引き継ぎができるので、確認してみてください。

従業員を雇用している場合は雇用保険へ加入が必要です。

譲渡及び譲受け認可申請の申請書類

認可申請様式の一覧は、新潟県のホームページよりご確認ください。

申請書類は、建設業新規許可取得時とほとんど同じです。

「譲渡及び譲受認可申請書」と添付書類を提出します。

新規申請時と異なる添付書類は、「承継に関する株主総会若しくは社員総会の決議録」「譲渡及び譲受に関する契約書」の写しが必要となります。

認可の申請先は、管轄の振興局となります。

譲渡及び譲受け認可申請手数料

建設業許可時 9万円、更新時には5万円かかりますが、譲渡及び譲受け認可申請には申請手数料はかかりません。

譲渡及び譲受け認可の有効期限

認可後の許可の有効期間は、承継の日における残存の許可有効期間にかかわらず、承継の日の翌日から起算して5年目の対応する日の前日までです。

認可日 令和4年1月8日 承継日 令和4年1月20日

承継後の有効期間 令和4年1月21日~令和9年1月20日

ご自身で申請が難しい場合

弊社は司法書士事務所併設ですので、法人設立からサポートが可能です。
法人成りしてから事業承継するまでなるべく期間が空かないようお手続きをサポート致します。

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