質問:新潟県内の建設会社建設業許可を取得してから、初めて事業年度の決算を迎えました。
建設業許可を受けた会社は、決算が終わった後に「決算変更届」という書類を提出しなければならないと聞きました。
いつまでに提出すればよいのでしょうか。
また、どのような書類を準備すればよいのか、初めてなのでよく分かりません。
回答:トラスト行政書士事務所建設業許可を受けている会社や個人事業主は、原則として、事業年度終了後4か月以内に決算変更届を提出する必要があります。
決算変更届は、建設業許可を取得した後も継続して提出しなければならない重要な届出です。
初めて提出する場合、工事経歴書や建設業用の財務諸表など、普段の決算業務では作成しない書類もあるため、戸惑う方もいらっしゃると思います。
今回は、経営事項審査(経審)を受けない場合で、兼業がない一般的な建設会社を想定して、決算変更届の提出期限、必要書類、作成時の注意点を解説します。
1.建設業の決算変更届とは?
決算変更届とは、建設業許可を受けている事業者が、事業年度終了後に、その年度の工事実績や財務状況などを届け出る手続きです。
一般的に「決算変更届」や「決算報告」と呼ばれています。
会社の商号や所在地などに変更があった場合に提出する変更届とは異なり、毎事業年度の終了後に提出する必要がある届出です。
例えば、3月31日が決算日の会社であれば、原則として7月31日までに提出する必要があります。
6月30日が決算日の会社であれば、原則として10月30日までとなります。
提出期限を過ぎないよう、決算が終わったら早めに準備を始めましょう。
2.決算変更届に必要な書類
今回は、経営事項審査を受けず、兼業もない一般的な株式会社を想定します。
主な提出書類は、次のとおりです。
- 変更届出書
- 工事経歴書
- 直前3年の各事業年度における工事施工金額
- 財務諸表
- 法人事業税の納税証明書
- 事業報告書(株式会社の場合)
このほか、会社の状況や届出内容によって、追加の書類が必要になることがあります。
また、個人事業主の場合は、法人とは財務諸表の様式などが異なります。実際に提出する際は、新潟県が公表している最新の手引きやチェックシートを確認してください。
3.変更届出書の作成
変更届出書は、決算変更届の表紙に当たる書類です。
許可番号や法人番号など、基本的な情報を記載します。
許可番号は建設業許可通知書などで確認し、法人番号は法人番号公表サイトや会社の資料などで確認しておくとスムーズです。
また、変更届出書には、添付する書類を確認する欄があります。
実際に提出する書類とチェック欄の内容が一致しているか、提出前に確認しましょう。
なお、使用する様式や添付書類は、許可の種類や事業者の状況などによって異なる場合があります。最新の新潟県の様式・記載例を利用することが大切です。
4.工事経歴書の作成
工事経歴書は、決算変更届の中でも注意が必要な書類です。
建設業許可を受けている業種ごとに、工事実績を整理して作成します。
どのような工事を記載するのか?
基本的には、対象となる事業年度に完成した主な工事を記載します。
また、対象年度の終了時点で完成していない工事についても、未成工事として記載が必要になる場合があります。
記載する工事の順序や件数にはルールがあるため、単純に自社で大きな工事だと思うものから並べればよい、というわけではありません。
経営事項審査を受けない場合と受ける場合では、工事経歴書の記載方法が異なります。今回は経審を受けない場合を想定していますが、実際の作成時には最新の記載要領を確認してください。
工事実績がない業種はどうする?
許可を受けている業種について、対象年度に工事実績がない場合もあります。
その場合、実績がないことを適切に表示する必要があります。実績がないからといって、その業種の記載自体を省略してよいとは限りません。
新潟県の様式や記載例に従って作成しましょう。
工事名や注文者の氏名にも注意
工事経歴書には、工事名や注文者などを記載します。
ただし、個人のお客様の氏名など、個人を特定できる情報の取り扱いには注意が必要です。
例えば、工事名が「佐藤様邸外壁改修工事」であれば、「A様邸外壁改修工事」など、個人が特定されない表記を検討します。
記載内容に迷った場合は、提出先の取扱いや最新の記載要領を確認してください。
5.直前3年の各事業年度における工事施工金額
この書類には、直前3年の各事業年度における工事施工金額を記載します。
建設業許可を取得して間もない会社や、設立して間もない会社では、3年分の実績がないこともあるでしょう。
その場合は、実際の事業年度や工事実績に応じて記載します。法人を新たに設立したばかりで決算期が到来していない場合などは、該当する記載方法を確認する必要があります。
許可を受けている業種以外の工事にも注意
この書類では、許可を受けている業種の工事だけでなく、「その他の建設工事の施工金額」についても確認が必要です。
例えば、現在は内装仕上工事業の許可を受けている会社が、将来的に別の業種の許可取得を検討している場合などは、実際に行った工事の内容を適切に整理しておくことが大切です。
ただし、決算変更届に工事実績を記載したことだけで、将来の業種追加に必要な実務経験などが当然に認められるわけではありません。業種追加を考えている場合は、必要な許可要件や実績の証明方法もあわせて確認しましょう。
工事施工金額と決算書の金額を確認する
工事施工金額の合計は、原則として、建設業用財務諸表の損益計算書に記載する「完成工事高」と整合している必要があります。
ただし、税込・税抜の扱いや工事の分類などによって確認が必要になることがあります。
工事経歴書、工事施工金額、財務諸表の数字がそれぞれ整合しているか、提出前に確認しましょう。
6.財務諸表の作成
決算変更届では、通常の会社の決算書をそのまま提出するのではなく、建設業法に基づく様式で財務諸表を作成します。
法人の場合、主な書類は次のとおりです。
- 貸借対照表
- 損益計算書
- 株主資本等変動計算書
- 注記表
このほか、損益計算書に関連する完成工事原価報告書など、必要な書類を作成します。会社の規模や状況によって、追加書類が必要になる場合もあります。
通常の決算書から転記する際の注意点
自社の決算書や勘定科目内訳明細書などを確認しながら作成することになりますが、一般の決算書と建設業用財務諸表では、科目名や分類が異なる場合があります。
例えば、建設業用財務諸表では、次のような科目を使用します。
| 一般的な勘定科目の例 | 建設業用財務諸表の科目例 |
|---|---|
| 売掛金(工事代金に係るもの) | 完成工事未収入金 |
| 仕掛品に相当する工事原価 | 未成工事支出金 |
| 買掛金(工事に係るもの) | 工事未払金 |
実際の科目は、取引の内容や会計処理によって異なります。上記はあくまで例であり、すべての取引を機械的に置き換えられるわけではありません。
また、建設業用財務諸表は、工事に関する収益や原価を適切に分類することが重要です。
税理士が作成した決算書がある場合でも、そのまま転記するだけで完成するとは限りません。建設業用の様式に合わせて整理する必要があります。
7.法人事業税の納税証明書
決算変更届には、原則として法人事業税の納税証明書を添付します。個人事業主の場合は、個人事業税の納税証明書が必要です。
新潟県では、納税証明書について、最寄りの地域振興局の県税部などに確認して取得します。決算変更届に添付するものと、新規の建設業許可申請で必要になるものとでは、証明の内容や使用目的が異なる場合があるため、取得時に用途を正確に伝えましょう。
申請に必要な書類や手数料、本人確認の方法などは、法人・個人の別や申請方法によって異なる場合があります。事前に新潟県の案内を確認しておくと安心です。
8.事業報告書(株式会社の場合)
株式会社の場合、原則として事業報告書も提出します。ただし、特例有限会社など、取扱いが異なる場合があります。
事業報告書は、会社の事業年度や事業内容、事業の状況などをまとめる書類です。
決まった様式がない場合でも、会社名や事業年度、事業の状況など、必要な事項を整理して作成しましょう。
9.決算変更届は電子申請も利用できます
新潟県では、決算終了後の変更届について電子申請が推奨されています。
電子申請では、入力内容のエラーチェックや自動計算などの機能を利用できるため、書類作成の負担を軽減できる場合があります。
一方で、添付書類の準備や科目の分類、工事実績の整理など、判断が必要な部分がなくなるわけではありません。
また、納税証明書は電子申請システム上で取得できないため、別途準備する必要があります。
初めて提出する場合は、紙で提出する方法も含め、会社の状況に合った方法を検討しましょう。
10.決算変更届を提出しないとどうなる?
決算変更届は、建設業許可を受けた事業者が毎事業年度提出する必要のある届出です。
提出を怠ると、建設業法上の義務を果たしていない状態となり、許可の更新や今後の各種手続きに支障が生じる可能性があります。
特に、許可の更新や業種追加、経営事項審査などを予定している会社は、決算変更届の提出状況を確認しておくことが重要です。
「忙しくて忘れていた」「税理士に決算をお願いしているので、提出も済んでいると思っていた」ということがないよう、決算業務と建設業許可の届出業務を分けて管理しておきましょう。
11.初めての決算変更届は行政書士に相談する方法もあります
決算変更届は、毎年提出する書類だからこそ、最初に正しい作成方法を理解しておくことが大切です。
特に初めての場合は、次のような点で迷うことがあります。
- 工事経歴書にどの工事を記載すればよいのか
- 工事施工金額と決算書の数字が一致しない
- 建設業用財務諸表の科目が分からない
- 納税証明書をどこで取得すればよいのか
- 将来の業種追加や経営事項審査に向けて、どのように実績を整理すればよいのか
こうした点を確認しながら作成するには、一定の時間と知識が必要です。
当事務所では、新潟市及び新潟市近郊の建設会社様を中心に、建設業許可の新規取得から、決算変更届、更新、業種追加、経営事項審査などの手続きをサポートしています。
決算変更届だけでなく、今後の許可の維持や事業拡大も見据えて、必要な手続きを整理することが大切だと考えています。
行政書士からのアドバイス
建設業許可は、取得したら終わりではありません。
許可を維持するためには、毎年の決算変更届をはじめ、必要な届出や更新手続きを適切に行う必要があります。
初めての決算変更届は、何を準備すればよいのか分からず、不安に感じる経営者の方もいらっしゃると思います。
しかし、必要書類と作成のポイントを押さえれば、毎年の手続きを計画的に進めやすくなります。
「初めての決算変更届で、何から始めればよいか分からない」
そのような場合は、早めに専門家へご相談ください。
トラスト行政書士事務所では、建設業許可に関するご相談を承っております。新潟市及び新潟市近郊の建設会社様は、お気軽にお問い合わせください。



