「令3条の使用人」というと建設業許可を取得したいと考えている方や手引きで見たり聞いたりされた方はいらっしゃるのではないでしょうか?
なんとなく聞いたことはあるが、どんな人の事をいうのか自分の会社では該当する人はいるのか、また、どんな人が要件にあてはまるのか、どんな場合に必要なのか、具体的に説明していきます。
令3条の使用人(建設業法施行令第3条の使用人)とは
「令3条の使用人」とは、建設業法施行令第3条に定められた使用人のことで、建設業を営む際に非常に重要な役割を担う人です。
主に「従たる営業所の代表者(営業所長、支店長等)として、請負契約等を総合的に管理、監督している人」
の事を言います。さらに言うと、代表取締役など会社の代表者から一定の権限を委任された、事実上の責任者、それが令3条の使用人といわれる人です。
「令3条の使用人」が必要になる場合
「令3条の使用人」は、建設工事に関する請負契約の見積り・締結・履行や入札参加など、実態的な業務を行うことになります。なので、実質的な責任者を支店や営業所(※)に置く必要があるということです。
では、どういった際にこの「令3条の使用人」が必要になるのか見ていきましょう。
※営業所…本店や支店、または常時建設工事の請負契約を締結する事務所のこと
◎パターン1
本店以外に支店がある場合
本店、支店それぞれに工事の請負契約等を総合的に管理、監督する人を設ける必要があるので
本店は代表取締役(常勤)、支店には実務的責任のある令3条の使用人(常勤)を置く必要があります。
支店を作りたいとなった際は必ず必要です。
もちろん、支店が複数あったとしてもその支店ごとに実質的な責任者が必要になります。
◎パターン2
本店のみだが、代表取締役が非常勤の場合
このパターンで考えられる事としては、建設業を営むA会社以外にも別法人を運営している場合です。
基本的に代表取締役が非常勤の場合(=実質経営に関与していない)は令3条の使用人を立てる必要があります。
別の角度でみると、A会社は代表取締役が非常勤ということなので、経管者、専任技術者共に代表取締役以外の方になるということがわかります。
◎パターン3
代表者が海外などで実務に不在になった場合
この時はどうでしょうか?
通常、代表取締役が請負契約等を総合的に管理、監督しており、経管者になっていたが、長期的に海外に行って実際は別の人物が国内で業務を行っている場合です。
結論をいうとこちらでも「令3条の使用人」を立てることをお勧めします。
💡そもそも、代表取締役が経管者になっている時点で、経管者が不在ということは‘‘常勤性‘‘というところで要件が満たなくなります。
不在になるのが、定期的かつ長期的となると‘‘常勤‘‘ではなくなることから、経管者の点もあせて見直す必要があります。
「令3条の使用人」は誰でもなれるのか
結論、誰でもなれるわけではありません。
以下の要件に満たす人が「令3条の使用人」とすることができます。
- 営業所で建設工事の契約を締結できる権限を持つ人
「営業所長」、「支店長等」といわれるような人が想像しやすいかと思います。
この権限を持つということは、役員、経営業務管理責任者、その補佐をすることができるような人だと考えられます。
- 「専任」かつ「常勤」が原則
専任ということは原則掛け持ちが不可となり、支店や営業所に常勤する必要があります。
※常勤性…休日などを除き、毎日決まった時間に会社に出勤し、業務に従事していること。
分かりやすく言うとフルタイムで働く事が「常勤している」という事です。
これは、令3条使用人が支店や営業所において締結される契約について、総合的に管理することが求められるためであるからです。
- 欠格要件に該当していない事
破産者で復権を得ないもの、暴力団員等といった、建設業法に掲げる欠格要件に該当していないか、確認をします。
実際の申請書の確認資料として「身分証明書」や「登記されていないことの証明書」を添付します。
この3つが要件を満たす人が「令3条の使用人」として認められる事になります。
まとめ
「令3条使用人」としての経験は、経営業務の管理責任者になるための経験とすることができます。
そのため、建設業許可を取得する際に、「自社には他社で役員などを経験した人がいない」といった場合でも、令3条使用人の経験がある方を経営業務の管理責任者として許可取得できるケースもあります。
令3条使用人になるためには一定の資格や経営経験などが必要とされていませんので、役員でなくても実務経験を積むことができます。
「令3条使用人」とは何か、その要件などについて解説しました。
自社には必要なのか、必要とならばどのような申請になるのか。
自分の会社には本当は必要だった、、、なんて事になる前に、ご相談ください。
