◇建設業許可取得に要する事務所の要件
建設業許可を取得する上で、営業所(=事務所)を設置することが必須になります。
建設業許可の申請書では、営業所とする場所の使用権限があるのか、という点と営業所が実在し、事業を行えるような環境であるかどうかを確認するために必要な書類と写真を添付して申請書類として提出します。
では、営業所として認められるのはどのようなものなのか、「建設業許可事務ガイドライン」には下記のとおりになっています。
2.営業所の範囲について
「営業所」とは、本店又は支店若しくは常時建設工事の請負契約を締結する事務所をいう。したがって、本店又は支店は常時建設工事の請負契約を締結する事務所でない場合であっても、他の営業所に対し請負契約に関する指導監督を行う等、建設業に係る営業に実質的に関与するものである場合には、当然本条の営業所に該当する。
また「常時建設工事の請負契約を締結する事務所」とは、請負契約の見積り、入札、狭義の契約締結等、請負契約の締結に係る実体的な行為を行う事務所をいい、契約書の名義人が当該事務所を代表する者であるか否かを問わない。
出典:「建設業許可事務ガイドライン」(国土交通省) (https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/const/content/001581332.pdf)
わかりやすくまとめると、
請負契約の見積り、入札、請負契約等を発行し、建設業工事に係る業務を行う場所を、建設業法上、営業所となります。
また、営業所自体が請負契約等を行っておらず、他の事務所に対して請負契約に関する指導等の監督を行う場合は営業所として認められることになります。
◇営業所としての要件
- 請負契約の見積もり、入札、請負契約等の実態的な業務を行える営業所
- 電話、机、事務台帳、応接場所が備わっている
- 他社または住居等と明確に区分されている
- 経営業務管理責任者または支店長が常勤している
- 専任技術者が常勤している
- 営業所としての使用権原を有している
- 看板、郵便受けに商号・営業所名が表示され外部から建設業の営業所だとわかる
これらの要件をクリアしていることが条件になります。
◇「主たる営業所」とは
建設業許可の営業所には「主たる営業所」と「従たる営業所」の2種類に分けられます。
主たる営業所とは…
・経営業務管理責任者
・専任技術者
が常勤している場所であり、建設業に関する営業を統括する事務所です。
従たる営業所がなく、主たる営業所のみで営業する建設業者が弊所では圧倒的に多いので、一般的には本社や本店といわれるようなところが主たる営業所とされます。
しかし、登記上の本店では建設業を営まず、別の事務所が建設業における営業所である場合、建設業許可においては、その営業所のことを事実上の事務所として「主たる事務所」とすることができます。
ここで、気を付けたいところは、
・経営業務責任者と専任技術者の常勤
・請負契約等の締結
です。これらは営業所で行うことになりますので、会社の代表が経営業務責任者や専任技術者の場合は気を付けなければならないところです。
◇「従たる営業所」とは
従たる営業所とは、主たる営業所以外で建設業を行う場合必要であり、経営業務管理責任者の代わりに工事請負契約締結等の代理権限を委譲されている者(令3 条に規定する使用人)の常勤が必要となります。
また、従たる営業所にも専任技術者の常勤が必要になります。
ですので、従たる営業所1つを設置する場合は、主たる営業所と合わせて専任技術者は2名の方が必要になります。
◇営業所として認められないものは?
建設業法における営業所には該当しないものは次のとおりです。
・単なる登記上の本店
・経理業務等の事務作業を行うだけの事務所
・倉庫
・海外の支店等
◇申請の提出書類について
冒頭でも記載させていただいた通り、建設業許可の提出書類は使用権限があるかどうかの確認と写真(営業所の写真)で判断されます。
新潟県では、自己所有の場合は登記されている場合は、不動産登記簿謄本、未登記の場合は資産評価額証明書の提出が求められますし、賃貸の場合は使用承諾書や賃貸借契約書、公共料金の領収書でも確認資料として認められています。
◇まとめ
建設業許可における営業所の要件をこれまでお伝えしましたが、許可取得後は、建設業許可を受けた業種については、軽微な建設工事(500万円未満の工事)のみを請負う場合でも、届出をしている営業所以外で請負契約(見積・入札など)を締結することはできません。
つまり、基本的に営業所以外での請負契約等はできない、ということです。
逆に取得していない業種については軽微な建設工事しか請け負うことができませんし、営業所以外でも可能になります。
また、建設業許可取得後、営業所の住所変更や業種変更、新設は、必ず変更届が必要になります30日以内の届出が必要ですので、提出書類の作成を考えると早くから動き始める必要があります。