【建設業法】
公共工事を受ける際には、必ず「経営事項審査(経審)」というものを受けなければなりません。しかし、経営事項審査(経審)は内容が複雑で、申請手順も複雑なので、自身でやろうとすると、かなりの時間がかかります。その上、毎年の申請に追われて「点数が伸びない」等のリスクがあります。
公共工事の入札に参加するためには、経営事項審査(経審)を申請し、結果通知書を入札資格審査申請書に添付します。入札参加資格業者名簿に登録されると公共工事の入札に参加できるようになります。
経審の手続きを行うためには、申請の手引きを熟読し、わからないところは逐一確認して漏れのないようすすめなければなりません。
分析機関へ申請し、その結果通知書を添付するとあるが、一体どこにどのように申請したらいいのかわからない、添付する書類の収集について何が必要なのかわからない等、当事務所にご相談いただくケースでも、ご自身で途中まで挑戦したが難しく断念した、いつも頼んでいる行政書士に依頼したら経審には対応できないと言われたなど、様々な原因で経審の手続きを進められない方がいらっしゃいます。
また、経審の加点項目も毎年少しずつですが変わっていきます。
〇これから公共工事をしていきたいけれど、経営事項審査(経審)ってどうしたらいいかわからない
〇仕事をするうえで経営事項審査の受審が必要になった
〇現在経審をしているけれど、なかなか点数がアップしない
〇点数をアップのアドバイスをもらいながら経営事項審査を受けたい
そもそも経営事項審査とは
公共性のある施設又は工作物に関する建設工事等を発注者から直接請け負おうとする建設業者は、建設業法(昭和24年法律第100号)第27条の23に規定する経営に関する客観的事項の審査(経営事項審査)を受けていなければなりません。
経営事項審査とは、「建設業者さんの通信簿」というように言われることも有ります。「建設業者さんの財務内容・完成工事高その他の”成績”」を全国一律の基準で点数化をしていく仕組みであり、公共工事の受注に関しては、「経営事項審査を受けていること(経営事項審査の結果が有効期限内であること)」が先ず大前提となっております。
※ 経営事項審査は一回受けたらそれで終わりではなく、毎年受けなければなりません(経営事項審査評点の有効期限は会社の決算日から1年7か月後までとなっております。例えば、3月31日決算の会社様でしたら、前回受けた(前年に受けた)経営事項審査はその年の10月30日迄有効となっております。つまり、経営事項審査を受けて、公共工事を請けていくことになったら、期限管理もしっかりと管理していかなければなりません。
この様に「毎年毎年、点数を管理して、期限もあって」となると会社の中で内製していくのはかなりの労力が必要となります。
【経営事項審査の審査項目】
経営事項審査は以下の四項目から客観的評価(総合評定値 P点)を出すことによって成り立っています。
- 経営規模の認定(X)
- 技術力の評価(Z)
- 社会性の確認(W)
- 経営状況の分析(Y)
具体的な審査項目の内容は
a.経営規模の認定(Ⅹ)
・完成工事高(許可業種別)(X1)
・自己資本額(X2)
・利払い前税引前償却前利益(X2)
d.経営状況(分析Y)
・負債抵抗力
・収益性・効率性
・財務健全性
・絶対力量
b.技術力(Z)
・技術職員数(許可業種別)
・元請完成工事高(許可業種別)
c.社会性等の審査項目(W)
・建設工事の担い手の育成及び確保に関する取り組みの状況
・建設業の営業継続の状況
・防災活動への貢献の状況
・法令遵守の状況
・建設業の経理の状況
・研究開発の状況
・建設機械の保有状況
・国または国際基準化機構が定めた認証又はき規格による登録の状況
上記を点数化し、総合評価値を算出します。
負債が多いから点数が低い、というような単純なことではなく、負債をどれだけ返済できるのか、ということや、どれだけ効率よく収益をだしているかなどの経営状況・経営規模等を数値にして評価します。
経営事項審査を受けるにあたっての流れ
1.ご面談
貴社の業務内容(どの様な工事をしているか等)、経営事項審査をお受けになる目的、ご希望をお聞きします。
また、その際にどのような書類が必要か、現在会社で加入している保険や、団体等の加点項目につながるもののご説明等の確認を行います。
2.必要書類のご案内・押印書類(委任状)の作成送付
ご面談後、必要提出書類は「見本」もお付けして、なるべく解りやすくのご案内をさせて頂いております。
3.決算報告(決算変更届)の作成・納税証明書の取得
まずは、毎年提出する決算変更届を提出するので、決算変更届の書類の準備を行います。
そして決算報告(決算変更届)及び経営事項審査で必要な「各種納税証明書」を弊所にて取得させて頂きます。
4.経営状況分析機関へ分析依頼
国から指定を受けている分析機関へ、決算変更届の「貸借対照表、損益計算書、原価報告書、株主資本変動計算書、個別注記表」の部分を送り、経営事項審査で必要な「Y点」を得るための「分析」に出します。
5.決算変更届の提出
上記4の分析が終わったことを受けて、「決算届(決算変更届)」を県庁へ提出します。
6.経営事項審査申請書の作成
上記3のあたりから並行しては始めてはおりますが、経営状況分析の申請書を完成させます(技術者の確認、保険関係の確認、退職規定の確認。)
7.経営規模等評価申請書及び総合評定値請求書の提出
完成した経営状況分析申請書を確認資料(工事、社会保険関係、技術者の資格・常勤性等)と共に、県庁へ提出します。
まとめ
経営事項審査(経審)の手続きは、私たち行政書士にとりましても難易度が高く、対応していない行政書士も多いです。また、経営事項審査(経審)の手続きについては税理士作成の決算書をそのまま利用するだけという行政書士も多いです。
このように専門家である行政書士でも難易度が高い業務になりますので一般の方は、相当な苦労が予想されます。慣れない手続きで本来の業務に支障をきたすより、専門家に依頼をしていただく方が確実で安心だと思います。