一括下請負(丸投げ)は禁止されています

【事例】

①電気配線工事(主たる工事)において、主たる電気工事をすべてA社に下請けさせ、自らは付帯する内装工事を施工する。

②450万円で請けた工事を事情により施工できなくなり、やむなく 450万円でA社に下請けとしてすべて施工させる。

これらは「一括下請負」とされるものになります。

一括下請負とは

 

① 請け負った建設工事の全部又はその主たる部分について、自らは施工を行わず、一括して他の業者に請け負わせる場合

② 請け負った建設工事の一部分であって、他の部分から独立してその機 能を発揮する工作物の建設工事について、自らは施工を行わず、一括して他の業者に請け負わせる場合

(国土交通省 平成28年10月14日 国土建第275号より)

 

請け負った建設工事の全部又はその主たる部分を一括して他の業者に請け負わせることは「一括下請負」、「丸投げ」とされて、建設業法で禁止をされています。

 

【建設業法】

(一括下請負の禁止)
第二十二条 建設業者は、その請け負つた建設工事を、いかなる方法をもつてするかを問わず、一括して他人に請け負わせてはならない。
2 建設業を営む者は、建設業者から当該建設業者の請け負つた建設工事を一括して請け負つてはならない。
3 前二項の建設工事が多数の者が利用する施設又は工作物に関する重要な建設工事で政令で定めるもの以外の建設工事である場合において、当該建設工事の元請負人があらかじめ発注者の書面による承諾を得たときは、これらの規定は、適用しない。
4 発注者は、前項の規定による書面による承諾に代えて、政令で定めるところにより、同項の元請負人の承諾を得て、電子情報処理組織を使用する方法その他の情報通信の技術を利用する方法であつて国土交通省令で定めるものにより、同項の承諾をする旨の通知をすることができる。この場合において、当該発注者は、当該書面による承諾をしたものとみなす。

 

要約すると、

  • 元請業者に対しての一括下請負を禁止
  • 下請業者に対しての一括下請負を禁止
  • 公共的な施設以外であり、発注者の書面または電子書面があれば一括下請負は可能

下請けに出した業者も、その仕事を引き受けた業者もどちらも罰せられます。

もちろん、下請け間(一次下請け、二次下請け…)でも禁止されています。

また、建設業許可を持っている、持っていない関係ありませんので注意が必要です。

罰せられる内容としては、「指示及び勧告」の対象となり、「指示及び勧告」にも従わない場合は「一年以内の期間を定めて、その営業の全部または一部の停止を命じることが出来る」とされております。

 

◆そもそも、なぜ一括下請負が禁止とされているのか

国土交通省が一括下請負の禁止に係る判断基準の明確化した「平成28年10月14日国土建第275号」の記載内容によると、下記の通りになっています。

(1)建設工事の発注者が受注者となる建設業者を選定するに当たっては、過去の施工実績、施工能力、経営管理能力、資力、社会的信用等様々な角度 から当該建設業者の評価をするものであり、受注した建設工事を一括して 他人に請け負わせることは、発注者が建設工事の請負契約を締結するに際して当該建設業者に寄せた信頼を裏切ることになる。

(2)また、一括下請負を容認すると、中間搾取、工事の質の低下、労働条件 の悪化、実際の工事施工の責任の不明確化等が発生するとともに、施工能 力のない商業ブローカー的不良建設業者の輩出を招くことにもなりかねず、 建設業の健全な発達を阻害するおそれがあります。

 

要するに、発注者が建設業者に寄せた信頼を裏切ることになりますし、施工責任があいまいになることで、手抜き工事や労働条件の悪化につながるおそれがあります。

そして、一括下請負が認められることで中間搾取を目的とした施工能力のない不良な建設業者が生まれかねません。

実質的に関与していることがポイント

 

どこからが一括下請負にあたるかどうかの判断基準は工事に実質的に関与しているということです。では、ここでいう「実質的関与」とは

元請負人が自ら『施工計画の作成、工程管理、品質管理、安全管理、技術的指導』等を行うことを言います。

国土交通省からもこのようにまとめられています。

 

(国土交通省ホームページ 平成28年10月14日より)

単に主任技術者等を配置しているだけでは主体的に関わっているとみなされません。

主体的な関わりがない場合は実質的な関与がないとされるのです。

まとめ

今回は建設業界で禁止されている一括下請負についてご紹介させていただきました。

せっかく建設業許可を取得したものの建設業法に違反して処分を受けてしまうということは避けたいところです。

建設業許可が一旦取り消し・剥奪されてしまうとその時点から5年間は許可の再取得ができなくなってしまいますし、建設業許可がなくなると実質的に建設業の営業ができなくなり、建設業としての事業の継続が危うくなります。

知らないうちに法令違反していた、なんてことにならないよう注意しましょう。

 

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