ご相談事例
元請けである建設会社の建物の一部を借りて、個人で建設業を営んでいます。建物は元請け会社が所有している2階建ての建物で、私が借りている場所以外は元請け会社が使用しています。正面玄関とは別に小さな出入口があり、そこから出入りします。看板も小さいながら掲げています。この元請け会社の社長から話があり、ここにきて5年になります。家賃を支払っており、ずっとここで営業していいと言われていますが心配なことがあります。近いうちに建設業許可を取得してほしいとこの元請け会社の社長から言われました。また、売り上げが伸びてきたので、個人事務所から法人化したらどうかと税理士事務所から言われています。果たして元請け会社と同じ場所で会社の設立と建設業許可を取ることができるのか。また、取れたとしてその後に不都合はないのか、建設業許可と会社設立の手続きはどちらを先にすすめたらいいのか等、教えていただきたい。
回答
ご相談者様が心配されている内容は次のことでした。
- 建設業許可を取得している他社と同じ建物内を営業所にして建設業許可が取れるのか
- 他社と同じ住所で会社を設立することができるのか
- これらを取得できたとして、その後不都合はないのか
- 建設業許可の方を急いでいるが、会社設立とどちらを先に手続きしたらいいのか
では、一つずつみていきましょう。
まずは①です。
要件さえ満たしていれば、建設業許可を取得することはできます。
その要件とは
- 営業所として使用できる権限があること
賃貸契約書で確認します(使用目的は「事務所」や「営業所」になります)
- 他社とは別の入り口があること
他社のスペースを通ることなく営業所に入ることができなければなりません。
- 外部からわかるように看板が設置されていること
次に②です。
法律で制限されているわけではないため、同じ住所を本店所在地として複数の会社が登記しても問題ありません。ただし、次にあげることには注意が必要です。
- 同じ商号(会社名)・同じ本店所在地では会社を設立することはできません。
- 他の会社で使用している商号(会社名)と同じ、もしくは似た商号を使用すると、不正競争防止法違反にもなりかねません。場合によっては商号を使用していた会社から差止請求や損害賠償請求を受けることもあります。
- 建物所有者や不動産管理会社に伝えて承諾してもらう。
賃貸借契約では、賃貸物件の利用目的が「居住用」「店舗用」「事務所用」など、契約上限定されているのが一般的です。利用目的が「居住用」である場合には、事務所利用は認められず、契約違反となってしまう可能性があります。
続いて③についてです。
今回のケースでは、元請けの建設会社から一部を借りており、従業員はいないということですが、法人化することで更に売り上げが上がってきたときに従業員を雇った場合、営業所が手狭になる、駐車場が不足することが考えられます。また、今は良好な関係であっても元請け会社との関係によっては仕事がしづらくなることも考えられます。
最後に④です。
近いうちに法人化する予定であれば、会社設立をしてから建設業許可を申請します。建設業許可を取得してから会社設立する場合は、会社設立後、建設業許可を個人から法人へ譲渡する許可の申請が必要になります。その間、許可が切れてしまうことはありませんが、申請には費用や時間がかかってしまいます。
建設業許可を急いで取得されたいということですが会社設立と建設業許可の申請手続きは同時に進めていきますので、会社設立に続いて建設業許可の申請ができるよう準備をいたします。
結論として、同じ住所で複数の会社設立と建設業許可の取得は先に述べた要件を満たしていれば可能です。
トラスト行政書士事務所では、多くの経験と実績により、「営業所」として要件を満たしているか確認・アドバイスさせていただきます。また、弊所は司法書士法人を併設しておりますので、会社設立と建設業許可をセットでご依頼頂くことも多数ございます。お急ぎの場合もできる限りお客様のご要望に応えるよう努めてまいります。是非一度ご相談ください。