兼業をお考えの方へ

【事例】

建設業許可を既に取得しているA株式会社は、代表取締役のTさんが「経営業務管理責任者」、「専任技術者」を兼務しています。

新事業として「宅建業の許可」を取得したいけど、何か手続きは必要ですか?

というお問合せがありました。

 

こういった場合、何に気を付けなければならないでしょうか?…

 

まず今回の事例に着目する点は

  • 常勤性が求められる建設業の経管者、専技は誰なのか、また、後任はいるのか

→現在、代表取締役のTさんが従事。

 

  • 常勤性が求められる宅建業の専任の宅地建物取引士が誰になるのか

→代表取締役のTさんが兼務の予定

とのことでした。

 

そもそも、常勤性とは・・・

休日その他勤務を要しない日を除いて、一定の計画のもとに毎日所定の時間、その職務に従事している者のことをいいます。経営業務の管理責任者においては、建設業者の主たる営業所、専任技術者においては、建設業許可上の営業所ごとに常勤でなければなりません。

つまり、定期的に勤務する雇用形態で、パートタイムや日雇労働者などは常勤性は認められません。

 

  • ここで補足●

上記に記載していますが、宅建業の許可を取得する際、常勤性が求められる役職があります。

宅建業も建設業同様に人や物の要件がありますので、その要件に揃うように、人や物の準備が必要となります。

 

常勤性が認められない場合

・現住所が勤務する営業所の所在地から著しく遠距離にあり、常識上毎日通勤が不可能である場合

・他の業者の経営業務の管理責任者や専任技術者、他の営業所の専任技術者になっている者

・建築士事務所を管理する建築士、専任の宅地建物取引主任者など、他の法令により特定の営業所、事務所等で専任性が要求されている者

・他に個人事業を営んでいる者

・他の業者の常勤の取締役になっている者

 

以上のことから、建設業の常勤性が問われる役職(経営業務管理責任者、専任技術者)は、他の役職と兼務することは非常に難しいという事がわかります。

よって、Tさんは建設業か宅建業かのどちらかに常勤するしか選択肢はありません。

 

 

では、今回のA株式会社はどうすれば宅建業を行うことができるでしょうか?

 

  • 後任の経営業務管理責任者、専任技術者を立てる
  • 新たに宅建業の専任の宅地建物取引士(使用人)を採用する

 

1、後任の経営業務管理責任者、専任技術者を立てる                 

 

経営業務管理責任者の要件としてあげられるのは

・5年以上、常勤役員で建設業の経営業務を管理した経験があること

・5年以上、委任を受け、役員等に準ずる地位として経営業務を管理した経験

・6年以上、役員に準ずる地位として経営業務管理責任者を補佐した経験

 

専任技術者の要件としては、

・取得業種の国家資格を有していること

・取得業種の実務経験が10年以上あること

(複数業種全て実務経験の場合は、1業種につき10年分)

※卒業学科によって年数等変わります

 

要件を簡単に説明しましたが、それぞれどれかに当てはまる人を後任として立てる必要があります。

もちろん、常勤することが前提となります。

また、現在はTさんが全てお一人で担っていますが、複数人でも要件をクリアする人がいれば、後任として任せることが可能です。

 

2、新たに宅建業の専任の宅地建物取引士(使用人)を採用する           

 

こちらはT様が建設業の経営業務管理責任者と専任技術者を誰にも変わらずに、宅建業には全て別の人に任せるやり方となります。

要は、建設業の後任がいない場合、それでも宅建業を行うのであれば別の宅建士の資格を持った人に任せることになります。

 

業務管理責任者と専任技術者の変更について

では後任がいた場合、変更届出を提出する必要があるわけですが、変更届には要件を満たしていることの書類を提出する必要があります。

 

経営業務管理責任者の変更届の場合

・5年以上、建設業の経営業務を管理した経験があること

→登記簿藤本(5年以上前から就任していることがわかるもの)

・5年以上、委任を受け、役員等に準ずる地位として経営業務を管理した経験

・6年以上、役員に準ずる地位として経営業務管理責任者を補佐した経験

→資金調達、契約締結、技術者等配置等の業務全般に従事したことのわかる証明書

役員に次ぐ職務上の地位におり、建設に関係のある部署の長であることのわかるもの

実務経験証明書(場合によっては以前勤めいた会社からの署名が必要になります)

(新潟県では組織図を提出します)

 

専任技術者の変更届の場合

・取得業種の国家資格を有していること

→資格証明書

・取得業種の実務経験が10年以上あること

(複数業種全て実務経験の場合は、1業種につき10年分)

→実務経験証明書(場合によっては以前勤めていた会社からの署名が必要になります)

 

が必要になります。

書面上で証明するものが多く、重要となりますので変更する際は十分に慎重に行う必要があります。

 

まとめ                                     

 

今回はあくまで事例を元に兼業をする際の注意点としてまとめました。わかる事として、建設業許可の他に許認可を取得する際は、常勤性が求められる役職があるため、誰が常勤性のある役職に就くのか注意が必要です。

また、今回は兼業ということでしたが、「経営業務管理責任者」や「専任技術者」をやむをえず変更しなければならなくなった時、後任がいないとせっかく取得した建設業許可を失うことになってしまうリスクも考えられます。

せっかく取得した許可を失わない為にも後任として就かせることのできる人を確保したり、育成していく事はとても重要です。

弊所は建設業許可だけではなく、「宅建業」、「産廃業」、「運送業」等々の許認可申請も多数行なっております。是非ご相談ください。

 

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