建設キャリアアップシステム(Construction Career Up System)とは…
技術者の保有資格や社会保険加入状況、現場の就業履歴などを業界横断的に登録・蓄積して活用する仕組みです。
また、技術者の能力や経験等に応じた適正な処遇改善につながり、技術者を雇用し育成する企業が伸びていける業界環境をつくる目的があります。
CCUSに登録することで若い世代が安心して働き続けられる建設業界を目指すために導入されています。
【建設キャリアアップシステムの事業者登録実績】
事業者登録実績は2024年3月末段階で法人と個人事業主172,646社、一人親方86,250人、合計258,896社(建設業許可事業者約137,039社)が登録を行っており、毎月約3,400社が新規の登録申請をしております。
最近では、元請け業者の方に「現場に入るなら建設キャリアアップシステムを登録してください」と言われる事が増えてきています。
技術者登録をすると、技能者が本人であることを確認したうえでシステムに登録し、IDが付与されたCCUSカードを交付されます。そこにはいつ、どの現場に、どの職種で、どの立場(職長など)で働いたのかを就業履歴として電子的に記録・蓄積されるので、一目でその人のキャリアがわかります。
キャリアアップシステムを登録することのメリット
◆技術者のメリット
①CCUS情報を活用した能力評価と、レベルごとの年収目安の明確化による賃金水準の相場感の形成、引上げ・ダンピング受注防止
②現場や勤務先が変わっても、自らの能力を客観的に証明可能
③カードリーダータッチで日々310円の建退共掛金を積み立て(元請けが一括して掛金支払い)
◆下請業者側からみたメリット
①自社が雇用する技術者の数や保有資格、社会保険加入状況が明らかになり、取引先からの信頼が得られやすくなる(=企業の実力の見える化)
②技術者の能力評価と連動した専門工事起業の施工能力等の見えるか(4段階評価)
③出面管理のIT化、賃金や代金支払いの根拠が明確化
◆元請けや上位下請からみたメリット
①初めて仕事をする下請け業者の実力や技術者の資格等の確認ができ、施工の安心感につながる
②PCで作業の進捗状況の確認や下請けへの支払いの正当化などの現場管理の効率化
③施工体制台帳、作業員名簿の作成、建退共の証紙受払・貼付等の作業の簡素化、ペーパーレス化
④増える外国人労働者の資格等の確認が容易
上記の様にキャリアップシステムを導入することで多方面でもメリットがあります。
しかし、「メリットも判るし元請け業者さんからも加入するように言われているけれど、実際にはどうやってやればいいのか全く分からない」いざ登録しようと準備を進めてみようと思うと集める書類も多すぎて判らない。相談窓口もなくて困る」という業者様は非常に多いです。
建設業キャリアアップシステムへの登録は面倒
建設キャリアアップシステムへの登録はパソコンを使っての(ネットを使ったの)申請で、集めた資料を画像データ(jpeg形式と言われるようなデータ)にして、システムに添付する(アップロードする)方法を取っているため、少し面倒です。
※「申請用紙」を使っての紙の申請をすることも可能ですが、ごくごく少数です。
必要手続きの確認
こちらで簡単にまとめて説明します。
会社に属している技能者を登録する場合
建設キャリアアップシステムの大きな目的の一つは「技術者の現場への入退場、技術能力、保険関係等を総合的に管理して、データを蓄積していくこと」となりますので、先ずは「技術者さんを雇用されている建設会社に紐づけして登録する必要」があります。その為にはまず、
- 事業者登録
- 技能者登録
の順で登録を進めていくことが必要です。
事業者登録は自営業者さんも必要
一人親方で建設業許可を持っている方や、自営業で人(職人さん)を雇ってその人たちを雇用保険には加入させることが可能です。その場合は、「親方」は「一人親方の事業者登録」をして、さらに「その事業者に紐づけされた職人として、自らを技術者として登録」しなければなりません。
雇用保険に加入している職人さんたちも「親方の事業者登録」に紐づけして「技術者登録」をします。
建設業許可を持っていない一人親方も事業者登録&技能者登録が必要
いわゆる「日雇い」の方々も事業者登録と技能者登録の両方が必要です。
建設キャリアアップシステムへの準備
⑴ 登録する技術者の生年月日・血液型・緊急連絡先・メールアドレスなど確認
⑵ 登録する技術者の方全員の顔写真を用意する
(カラー縦45×横35)データ書式(jpeg形式)
⑶ 会社関係(事業者登録関係)必要書類を収集する
(必要書類下記)
⑷ 登録する技術者の方々の持っている資格者証・講習会の受講証・特別教育の受講証などすべてコピー(裏表)する。画像データにしておく
建設キャリアアップシステムへの事業者登録に必要な書類は以下のようになっております。
建設キャリアアップシステムへの事業者登録に必要な書類
建設業許可がある場合と建設業許可のない場合では多少必要書類が異なります。
《建設業許可を「取得している」場合》 いずれか1種類
・建設業許可通知書(法人・個人共通) ※現在有効なもの
・建設業許可証明書 ※現在有効なもの
《建設業許可を「取得していない」場合》 いずれか1種類
・納税証明書(法人)
各管轄の「国税事務所」で発行される 法人税の納税証明書(消費税の納税証明書でも可)
・法人税確定申告書(法人)
電子申告をしている場合は、申請書の第一面(別表の1)に税務署の受領印が無いため、必ず「メール詳細」を一緒に添付する
・納税証明書(個人・自営業)
各管轄の「国税事務所」で発行される 個人事業の申告所得税及び復興特別所得税納税証明書(申告額・納付額がともに「無」とされているもので可)
・所得税確定申告書(個人・自営業)
第一表に税務署の受領印があるものか、若しくは税理士先生に申告をお願いしており、電子申告をしている場合は「メール詳細」も一緒に添付必須
建設業許可を持たない会社様のみに必要なもの
建設業許可がある会社さんや自営業者様は事業者登録をする際に「建設業許可番号」を入力すると、システムが勝手にデータベースに登録されている基本情報を読み込んで来てくれるので、許可通知書(許可証明書)を添付すれば大丈夫なのですが、許可がない会社様の場合は「資本金額」を証明する資料として、「履歴事項全部証明書(登記簿謄本)」の添付が必要になります。
社会保険関係書類も必要
建設キャリアアップシステムを登録する際には「会社が健康保険や雇用保険に加入しているか」という点も審査がされます。
その社会保険関係に必要な書類は以下になります。(建設業者様においては、事務組合や土建組合を使って健康保険や労災保険に加入なさっている場合があるので、書式が異なる場合がありますので注意が必要です)
健康保険関係(協会健保に加入の場合)
日本の中小企業様の多くが加入している「協会健保」の場合は以下の3点が一番揃えやすいです。
□協会健保 納入告知書
「出典:証明書類見本一覧第3版_事業者|建設キャリアアップシステム 」
□協会けんぽ領収済額通知書
「出典:証明書類見本一覧第3版_事業者|建設キャリアアップシステム 」
□標準報酬決定通知
「出典:証明書類見本一覧第3版_事業者|建設キャリアアップシステム 」
健康保険関係(健康保険組合の保険に加入の場合)
大きな会社様に多い「○○健康保険組合」に加入している会社様は以下の資料が必要です。
□口座振替済領収証書
厚生年金保険関係
厚生年金保険は健康保険に加入すると必ずセットになって加入しなければなりません。(法律上、義務は無いようですが、健保加入=厚生年金保険加入という手続きの流れになるようです。それ故に上記の健康保険の証書と同じものである場合が多いです。(協会けんぽで健康保険と厚生年金保険に入っている場合はこの用紙になります)
こちらは毎月20日前後に送られてきます。
「出典:証明書類見本一覧第3版_事業者|建設キャリアアップシステム 」
雇用保険加入関係証明書
雇用保険に加入していることの証明書も必要です。
労働保険事務組合を通じて雇用保険に加入している場合
建設会社様は労働保険事務組合を通じて労災・雇用両保険に加入している方が多いです。
□雇用保険加入証明書
「出典:証明書類見本一覧第3版_事業者|建設キャリアアップシステム 」
□証明書 事務組合
□労働保険・確定保険料申告書
「出典:証明書類見本一覧第3版_事業者|建設キャリアアップシステム 」
□労働保険料等納入通知書
労働保険事務組合に事務手続きを依頼している業者様におかれてはこちらの書面です
「出典:証明書類見本一覧第3版_事業者|建設キャリアアップシステム 」
その他の書類
建設業者さんの中には「建設業退職金共済制度(建退協)」や「中小企業退職金共済制度(中退共)」に加入されている事もあります。これらの加入も「建設キャリアアップシステムへの登録」が可能になっております。
建設業退職金共済制度(建退協)
□建退協契約者証
□建退協履行証明書
中小企業退職金共済制度(中退共)
□中退共の加入証明書
□中退共共済手帳
※建設キャリアアップシステムに登録する際は建設業許可証や社会保険関係の加入に関する証書や技術者の方々の免許証・資格者証を「裏付け資料」としてシステムの入力画面に添付するのですが、添付出来るデータが「画像形式」いわゆる「jpeg」形式のみの対応となっております。Pdfは対応しておりません。
まとめ
提出する書類をいくつかあげましたが、あくまでも一例となりますので、キャリアアップシステムの様式をご覧いただくと詳しく記載されております。
キャリアアップシステムを登録するにあたり、準備する書類はとても多いですが、分からないことがありましたらお問合せフォームにメールして聞くことも可能です。登録してしまえば業員のモチベーションにも繋がりますし、会社としての信頼も得ることができます。