建設業を営む会社が定款の事業目的を定める場合の注意点

会社を新しく設立する時や新規事業を始める場合、“定款の事業目的”を定める必要があります。

定款とは、簡単にいうと会社のルールブックです。 「会社の憲法」ともよばれ、会社設立の際には必ず作成しなくてはなりません。

そして事業目的とは、定款への記載が必須である絶対的記載事項の一つで、会社を設立するにあたって何を事業とするのか具体的に明示するものです。

 

会社はこの定款に定めた規則に従って事業を行うため、建設業の許可を取得したい場合は、あらかじめ定款の事業目的に建設業を営む旨の記載をしておかなければなりません。

 

事業目的を考案する時の注意点を説明します。

 

どの様に記載するべきか?

建設業法に定められている許可業種は全部で29種類あります。

基本的には、ここに記載されている業種名を記載することで足ります。

<建設業29業種>

1.土木工事業2.建築工事業

3.大工工事業

4.左官工事業

5.とび・土工工事業

6.石工事業

7.屋根工事業

8.電気工事業

9.管工事業

10.タイル・れんが・ブロック工事業

11.鋼構造物工事業

12.鉄筋工事業

13.舗装工事業

14.しゅんせつ工事業

15.板金工事業

16.ガラス工事業

17.塗装工事業

18.防水工事業

19.内装仕上工事業

20.機械器具設置工事業

21.熱絶縁工事業

22.電気通信工事業

23.造園工事業

24.さく井工事業

25.建具工事業

26.水道施設工事業

27.消防施設工事業

28.清掃施設工事業

29.解体工事業

 

例えば、リフォーム業を営んでいる会社であれば「内装仕上工事業」と、空調設備工事を行っていれば「管工事業」と記載します。

そして主な業務以外にも、「電気工事」や「塗装工事」など、附帯する工事もきっとあるはずです。

そんな時は、現在営んでいる工事と付帯する工事全ての業種を記載しておけば良いでしょう。

 

※附帯工事とは、ある建設工事に附帯して発生する別の種類の建設工事のことです。国土交通省のガイドラインでは次のように解説されています。

附帯工事とは、主たる建設工事を施工するために必要を生じた他の従たる建設工事又は主たる建設工事の施工により必要を生じた他の従たる建設工事であって、それ自体が独立の使用目的に供されるものではないものをいう。

ここに書かれている通り、附帯工事と呼ばれるのは次の2種類です。

 

①主たる建設工事を施工するために必要を生じた他の従たる建設工事

②主たる建設工事の施工により必要を生じた他の従たる建設工事

 

加えて、①と②のどちらも「それ自体が独立の使用目的に供されるものではないもの」でなくてはなりません。

 

具体的に記載する必要はないのか

建設業許可の要件ではありませんが、申請先の行政庁によっては定款の事業目的に許可業種の文言があるかを細かくチェックされます。事業目的の文言についてはこだわらない方針の自治体も無い訳ではありませんが、記載しておいた方が間違いありません。

 

では、どのような文言であればよいのかというと、先ほどお伝えした“建設業許可業種(29業種)の名称”どおりに記載している場合はもちろん問題ありませんが、管轄によって基準が異なります。

 

しかし、主な業務は具体的に記載しておきたいというお気持ちもあると思います。

例えば、リフォーム工事業を行っており、内装仕上工事業の許可を取得したい場合。

 

『内装仕上工事業』ではなく、『リフォーム工事業』や『リフォーム工事の設計、施工並びに請負』といった、業務内容が明確な目的です。

この場合であれば、『内装仕上工事業』と『リフォーム工事業』の関連性が比較的分かりやすいので特に問題はありません。

 

しかし、『建設工事の請負』『○○の設計及び施工業務』といった記載は、事業内容としては一見全く問題が内容に見受けられますが、実は行政庁より指摘が入る可能性があります。

“建設工事”のように曖昧な記載方法では、建設業法上のどの業種に該当するかが明確ではないという理由で、目的変更手続きを求められる場合があります。

 

また、弊所でお手続きさせていただいた過去の事例では、『機械器具設置工事業』を取得したいのに『〇〇機械の設計・製作』というように、“設置”の文言が入っていなかったばかりに、目的変更手続きをするよう行政庁から指摘が入ってしまいました。

分かりやすく詳細に書くことについては問題ありませんが、抜けが無いか内容に注意しましょう。

 

どこまで記載するべきか

事業目的をお客様と一緒に考案しているとき、よくこんな質問を頂きます。

今すぐはやらないけど、将来的にはやろうと思っている。

そんな状態でも事業目的として載せても良いのか?

 

事業目的の変更をする場合には、株主総会を開催し変更決議を行い、その議事録を作成します。

そして、事業目的は会社謄本の記載事項になりますので、変更登記の手続きを行わなくてはなりません。

 

この変更登記の手続きですが、法務局に支払う登録免許税が3万円となります。

自身で手続きする場合は登録免許税のみですが、司法書士に依頼するとなると書類作成費用の報酬や定款自体を変更する費用が別途かかるため、1回の申請で約5万円から8万円ほどかかってしまいます。

 

よって、余計な手続きと出費を抑えるためにも、近い将来に建設業許可を取得することを想定して事業目的を考える必要があります。

トラストに依頼した場合

・目的変更(書類作成・申請)の報酬 …32,000円(税抜)

・定款変更の報酬 …12,000~22,000円(税抜)

・その他実費 …2,000円~3,000円(税抜)

・登録免許税 …30,000円

 

まとめ

新しく会社を設立する時や新規事業を始める際、定款の事業目的をよく検討して決定する必要があります。

この定款の事業目的は、単に定款のデータを書き換えるだけではなく、目的変更登記を申請しなくてはなりませんが、費用がかかってしまいます。

 

トラストでは行政書士業務だけではなく司法書士業務もおこなっているため、会社設立から建設業許可取得までまとめてご依頼いただければ、二度手間にならないような事業目的を一緒に考案させていただきます。

ぜひ、ワンストップでご依頼いただけるトラストにご相談ください。

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