相談内容
建設業許可新規取得のご相談です。
個人事業をはじめて2年後に法人成りしてから1年がたち、そろそろ建設業許可を取得したいと、ご自身でも要件を調べて来られた相談者のY様。
経営業務管理責任者(常勤役員等)になるK様と共に来所されました。
ますは、K様の役員就任手続きをし、並行して建設業許可申請の準備を始める予定で話を進めていたところ、「Kさんは、社会保険には加入しないけど問題ないでしょうか」という質問を受けました。
社会保険に加入しない理由は、まとめると次のような内容でした。
1.経営業務管理責任者(常勤役員等)は、経営経験のある人を連れてくればいいと聞いた。勤務してもらわなくてもいいと思った。
2.役員でなければならないので非常勤役員として就任してもらう。
3.役員報酬は支給しない。報酬を支給しないので社会保険にも加入しない。
4.日ごろから付き合いのあるK様は、建設会社で長く役員経験があり、お
願いしたところ、快く引き受けてもらえた。
これは「名義貸し」であり虚偽申請にあたります。
建設業許可における名義貸しとは
実際には勤務していない、若しくは非常勤という立場で、役員、個人事業主としての経験年数や、資格、技術者としての実務経験といった人的要件を満たした方の名前だけを借りて建設業許可を申請することです。
これは建設業法違反であり罰則があります。
名義貸しをした場合の罰則
虚偽の申請は、建設業法違反により、6カ月以下の懲役または100万円以下の罰金に処されることになります。 また、虚偽の記載を理由に建設業許可を取り消された場合には、以後5年間建設業許可を受けることができなくなります。営業停止処分や許可取り消しなどにより、社会的信用を失うことにもなります。
今回のご相談者様のように名義貸しにあたる行為を行ってしまう理由として、①元請けから急いで建設業許可を取るように言われているが、人的要件を満たす者がいない。②経営業務管理責任者(常勤役員等)や専任技術者の役割を理解していない。といったことがあげられます。
要件を満たした者の名前でとりあえず建設業許可を取得し、自分が要件を満たした後に交代すればいいのではないか、といったご相談をいただくこともあります。
建設業許可取得にはなぜ経営業務管理責任者(常勤役員等)や専任技術者が必要なのか、経営業務管理責任者(常勤役員等)や専任技術者の役割についてご説明します。
経営業務管理責任者(常勤役員等)の役割とは
経営業務の管理責任者は、建設業の経営業務を総合的に管理し、安定した経営ができるように経営体制を整え、営業取引上の対外的な責任を負う役割を担っています
発注者が安心して工事請負契約を締結できるように、法令を順守し、豊富な実務経験を持ち、経営業務の管理を適正に行う能力を有していることが必要です。
当然、営業所に常勤していなければなりません。
専任技術者の役割とは
専任技術者の役割は、建設工事の請負契約について、契約締結や契約内容の履行を技術面からサポート・管理することです。
具体的には、注文者への技術的な説明、建設工事の見積、入札、請負契約の
締結等が適正に行われるよう技術的なサポートをし、現場技術者に対して
は、建設工事の施工が適正に行われるよう指導します。
営業所に常駐する必要があるため、原則として工事現場に出ることはありません。ただし、技術者の専任性が求められない工事や例外的な場合に兼務することができる場合があります。
今回のご相談者様である、Y様とK様につきましては、経営業務管理責任者(常勤役員等)の職務について理解されておらず、ご説明したところ、お二人とも白紙に戻してY様が経験を積んだ上で改めて許可を申請されるという結論にいたりました。
まとめ
名義貸しで建設業許可を取得した場合、虚偽申請を理由に、営業停止処分や許可取り消しを受け、社会的信用を失うことにもなります。どんな理由があっても虚偽の申請はやってはいけません。まずは、なぜ経営業務管理責任者(常勤役員等)や専任技術者を常駐させなければいけないのか、その者が担う職務は何であるのかをしっかり理解した上で適任者を選定していただく必要があります。
トラスト行政書士事務所では、これまでに数多くのご相談・ご依頼に対応してきた実績にもとづき、お客さまの許可取得をしっかりサポートいたします。
今ご検討中の物件が営業所として使用できるのか、建設業許可申請に関するお困りごとは、ぜひ一度トラスト行政書士事務所へご相談ください。
