以前、経営事項審査についての記事を書かせていただきましたが、建設業者さんの間では「ケイシン(経審)」という呼び名で呼ばれることが多いです。
経審は公共工事を行う上で必ず必要になります。
事例①
会社を設立して建設業許可を取得したら、すぐに公共工事をやっていきたいから経審を受けたい。許可をとるのと一緒にできますか?
この様に新規の建設業許可のご相談の中で聞くことがあります。
結論からお伝えすると、新設会社で建設業許可を得てさえすれば、その業種の経審を受けることは可能です。
経審を受けるにあたり、どのような段階を踏んでいく必要があるのかご説明いたします。
①経営状況分析申請「分析審査」が必要
まず最初に、経審を受けるにあたって必ず受けなければならないのがこの分析審査(以下分析)です。
「分析」とは、公共工事を受注しようとする建設業者の経営を第3者の目で会計的な立場から評価する経営状況分析のことです。経営事項審査(経審)の「経営状況」の審査に該当し、国土交通大臣が登録した経営状況分析機関によって行われます。
この分析は決算書を基に行うものになります。ですので、会社設立間もなく、“決算期未到来”の場合は「分析」を受けたとしても、売上が「0」となりますので、「0点」という事になります。
②決算変更届を提出
弊所では決算変更届と③の経営規模等評価申請を一緒に県に提出することが多いですが、決算変更届を提出していなければ、経審を受けることはできません。決算変更届は決算月から4カ月以内、経営規模等評価申請は5カ月以内に提出する必要があります。余裕をもって提出することが1番望ましいですが、経審を受ける場合は、決算変更届もとても重要になります。
中でも工事経歴書は、経審を受ける場合と受けない場合とでは書き方が異なります。
評点に使う完成工事高は、2期分または3期分の平均によって計算することになります。(決算期が1期の場合は1期分のみになります)
完成工事高については経審の点数に大きく影響するものになりますので工事経歴書の記載はポイントになってきます。
③経営規模等評価申請を行う
これは会社の経営、従業員、社会性等の規模を申請するものになります。
例えば、会社の経営年数(間に休業等があればそれも報告します)や資本金の額、機械の保有や国家資格を持った従業員が多くいれば点数もあがります。
その他にも、会社として次世代育成対策や防災活動への貢献をしているか等も加点項目になっており、経営規模が大きく、技術力があると評価され、高い点数がつきます。
それらを証明する書類としてご提出いただきますので、準備のお時間がかかります。
④経営規模等評価を受ける
経営状況分析結果通知書が県より届きます。
中で一番大事なのがP点です。
このP点によって、入札に参加できる公共工事の規模が変わってきますので、このP点が前年をいかに上げるかがポイントになってくると思います。
⑤入札参加資格を得る
④の経営状況分析結果通知書が手に入ったら、いよいよ入札参加資格の申請を行います。国や都道府県、市町村、独立行政法人など、希望する公共団体などへ入札参加資格審査を申請し、問題なく入札参加できる会社だと審査により認められた場合、入札参加資格者名簿に登録されます。ここで初めて入札参加が可能となります。
まとめ
以上、経審を受けるにあたってご説明しましたが、決算期未到来の状態で経審を受けることは可能ですが、経審を受ける為の第一ステージの「経営状況分析」が必然的に「0点」になってしまいます。
これではいくら、労災保険も入って、技術者もたくさん、資本金も5000万、資格者も多くいます!という状況でもなかなか点数は上がりません。
入札参加を狙っている自治体の状況にもよりますが、点数が低ければせっかく経審を受けたのに受注になりません。
(自治体によっては1年(1期)を経過しない会社はそもそも入札の参加ができないとしているところもあります。)
経審を受けるにもコストがかかります。今の会社のご状況を見つつ、いつどのタイミングで行うのがいいのか一度考えるのも必要だと思います。