- 相談事例
新規で建設業許可を取得されたいという法人の代表からのご相談です。
個人事業から法人化し、建設業許可を取得するために、必要な書類などを調べていたところ、「営業所」と「営業所の使用権原を証する書面」と記載されていたのをみて、疑問が生じたことがご相談に至った経緯でした。
従業員は雇っておらず、自宅の一室を事務所とし使用している。これが「営業所」にあたると思うが、「営業所の使用権原」とはどんな書類が必要になるのか。自宅は妻との共有名義であるが、妻とは別居しており近いうちに離婚することが決まっている。このような状況で妻から協力を得ることはできない。
自宅の一部を「営業所」として使用する場合、建物の所有者から建物を営業所として使用することを許可する「使用承諾書」という書面に署名押印してもらう必要があります。今回のご相談で気がかりだったのは、共有者の内の一人(相談者様ご自身)からのサインでいいのか、というものでした。
- 自宅の一部を営業所として使用する場合の証明書類とは?
1 建物の所有者からの「使用承諾書」
2 建物の登記事項証明書
3 自宅のどこを事務所として使用しているかを示した平面図
4 写真
- 建物の全景 ②看板、看板の設置位置がわかるもの ③事務所内
④ 許可票(既に許可を取得済の場合)
- 「使用承諾書」は建物の共有者全員からの承諾が必要か
答えは必要です。
ただし、個人事業主で、事業主1人の名義である場合は「使用承諾書」は不要になります。
今回のケースでは、建物共有者であるご相談者様と奥様のお二人からの承諾が必要になります。しかし、奥様とは離婚する予定であることから承諾書に署名をもらうことはできない、ということで他の手続きによりご相談者様お一人からの「使用承諾書」で申請できるよう進めていきました。
- 財産分与
財産分与とは、夫婦が婚姻期間中に協力して築き上げた財産を、離婚時に分けることをいいます。
ご相談者様の場合、不動産は自分名義にすることが決まっているが、二人とも日々の忙しさから手続きをすすめることができないでいる。できれば、いつまでも先延ばしせずに早く終わらせてけじめをつけたいということでした。
そこで、自宅建物を含む不動産の奥様の名義をご相談者様へ変更し、変更後の建物の登記事項証明書とご相談者様お一人から法人に対して自宅建物を使用することを許可する「使用承諾書」に署名を頂くことになりました。
住宅ローンが残っており、債務者が奥様と二人だったところを相談者様お一人に変更する手続きも行う為、次の登記を申請しました。
- 財産分与による不動産の所有権移転の登記
- 抵当権抹消登記
- 抵当権設定登記
この手続きにより、自宅は相談者様お一人の名義に変更し、無事に建設業許可を取得することができました。
弊所は司法書士事務所を併設しておりますので、建設業許可と財産分与による所有権移転登記の手続きを並行して進めさせていただきました。手続きする上で、細かい期限を決めたことで、ご相談者様も忙しい時間を割いてご協力くださいました。当初予定していた許可取得時期とほぼ変わらず許可を取得することができご相談者様に大変喜んで頂くことができました。
