「解体工事業」は平成になって追加された29番目の業種です。
解体工事業という業種が出来る前までは「とび・土工・工事業」の許可を持っていれば、現在の「解体工事業許可の中で請け負える工事」も請負可能でしたが、平成28年以降とび・土工・コンクリート工事業から解体工事業が分離する形で29番目の業種として新設されました。
「許可」と「登録」の違い
請負金額が500万円以上の解体工事又は、解体工事を含む建設工事(建築一式工事に該当する解体工事を含む建設工事にあっては請負金額が1,500万円以上)を行う場合は、建設業許可が必要です。
なお、「土木工事業」「建築工事業」「解体工事業」に係る建設業許可を持たず、解体工事を行う場合は、元請・下請の別に関わらず、工事を施工する区域を管轄する都道府県知事の登録を受けなければなりません。
言い換えると、解体工事を行う予定があれば、
500万(税込)未満であれば 登録
500万(税込)以上であれば 許可
になるということです。
余談ではありますが、「土木工事業」「建築工事業」をお持ちの場合は登録がなくても500万未満の工事を請負うことが可能です。
(新潟県HP 「解体工事業の登録について」参照)
解体業許可取得のメリット
許可と登録どちらが取りやすいかというと、提出する書類に数でいえば「登録」が圧倒的に少なくなります。ですが、実務経験証明書を作成する場合が多いので、許可を取得するのと、そこまで大きく変わらないと考えていいです。
もし、許可を取得する要件が揃っているのであれば、断然に「許可」を取得することをオススメします。
許可を取得していれば、いざ500万以上の仕事を請負うことがあった場合、再度許可を取得する為の手続きをしなくてもいいからです。
「許可」と「登録」もなく請け負った場合の罰則
解体工事業の登録をせずに解体工事業を行った場合は、罰則が適用されます。
もし、解体工事業の登録をせずに500万円未満の解体工事を行った場合、「1年以下の懲役または50万円以下の罰金」が科せられます。 加えて、罰金以上の刑を科せられたことは登録拒否事由に該当するため、その後2年間は解体工事業登録ができなくなってしまいます。
「許可」について
解体業の許可を取得するには、建設業のヒト・モノ・カネのなかでも「人」の要件がクリアすれば取得にグッと近づきます。
解体業は下記の資格と場合によっては実務経験をあわせることで専任技術者としての要件を満たします。
資格・試験名 | 種別 |
建設業法による技術検定 | 1級土木施工管理技士(注1) |
1級土木施工管理技士補(実③) | |
2級土木施工管理技士(土木)(注1) | |
2級土木施工管理技士(鋼構)(実⑤) | |
2級土木施工管理技士(薬液)(実⑤) | |
2級土木施工管理技士補(実⑤) | |
1級建築施工管理技士補(実⑤) | |
2級建築施工管理技士(建築)(注1) | |
2級建築施工管理技士(躯体)(注1) | |
2級建築施工管理技士(仕上げ)(実⑤) | |
2級建築施工管理技士補(実⑤) | |
1級造園施工管理技士(実③) | |
1級造園施工管理技士補(実③) | |
2級造園施工管理技士(実⑤) | |
2級造園施工管理技士補(実⑤) | |
技能検定 | 1級とび |
2級とび(実③) | |
その他 | 解体工事施工技士 |
解体工事施工技士試験(注記4参照)合格者 |
(注意1参照) 解体工事業について技術検定にかかる資格は平成27年度までの合格者について、技術士試験資格にかかる資格は当面の間、資格とは別に、解体工事に関する1年以上の実務経験を有している又は登録解体工事講習を受講していることが必要。
(注記4参照) 解体工事施工技士試験とは、公益社団法人全国解体工事業団体連合会が実施する試験。
(実○参照) 資格と実務経験○年の証明が必要
解体工事に関する資格がない場合
□解体工事業(とび・土工・コンクリート工事業)の許可を持っている会社(自社でも他社でも構わない)に勤務して、10年間の実務経験がある
□解体工事業(とび・土工・コンクリート工事業)の許可を持っておらず、登録をしている会社に勤務して、10年間の実務経験がある
(学歴によって5年、若しくは3年で大丈夫な場合もあります)
上記2点をクリアしていれば資格が無くても、専任の技術者になれる可能性があります。
「登録」について
「許可」についてご紹介しましたが、上記にもありますように解体業を取得するには限られた資格や実務経験が必要になりますので、要件が合う人がいない場合もあります。
登録にも専任技術者ではなく「技術管理者」といわれる方を選出する必要があります。
資格・種別 |
1級建設機械施工技士 |
2級建設機械施工技士(種別「第1種」又は「第2種」に限る。) |
1級土木施工管理技士 |
2級土木施工管理技士(種別「土木」に限る) |
1級建築施工管理技士 |
2級建築施工管理技士(種別「建築」又は「躯体」に限る。) |
1級建築士 |
2級建築士 |
1級のとび・土工の技能検定に合格した者 |
2級のとびあるいはとび工の技能検定に合格した後、
解体工事に関し1年以上の実務経験を有する者 |
技術士(2次試験のうち建設部門に合格した者に限る) |
解体工事施工技士試験(注記4参照)合格者 |
資格がない場合
登録の場合は許可が実務経験10年に対し、8年と2年分短い期間で認められます。ただし、解体工事に関する実務経験については、許可と同じ、必要な建設業許可又は解体工事業登録を受けて請け負ったものに限り、認められます。
まとめ
解体業をする上で許可もしくは登録が必要なことをご説明させていただきました。冒頭でもご説明しましたが、解体業は平成28年から新たにできた業種です。
ご取得前に考えていただきたいのですが、例えば、内装のフルリノベーションのため解体工事は「解体工事業」ではなく内装工事のための解体なので「内装仕上工業」となります。(「内装解体のみ」の工事になれば「解体工事」が必要)
今行っている工事が本当に建設業法の”解体工事業”に該当して、必要なのかという点も重要になります。