辞任(退任)した役員が建設業許可の経管者(経営業務の管理責任者)だった。

更新許可の申請をご依頼頂いたお客様のケースです。

 

新規のお客様より更新許可のご依頼を頂きました。はじめての更新ということでした。

とび・土工・コンクリート、内装仕上、電気工事業の3業種を取得されており、お預かりした書類の確認をすすめていくと、あることに気付きました。少し前に役員1名が辞任しており、変更届は提出されていない状態でした。更に、辞任した役員は経管者(経営業務の管理責任者)であり、取得している建設業許可3業種中(とび、内、電)、1業種(電)の専任技術者であることがわかりました。

 

幸いなことに残る役員の内、1名が経管者(経営業務の管理責任者)の要件を満たしていました。

専任技術者についても従業員の中に資格保有者がおりましたが、もともとこの業種については廃業する予定で役員も辞任されたということでしたので、今回は更新許可を申請する前に、経管者の交代、役員の辞任、専任技術者(電)の削除、業種(電)の一部廃業の変更届を提出し更新の許可を受けることができました。

ご依頼頂いたお客様は、更新許可については期限前に確実に申請しなければならないことはわかっていたけど、それ以外に変更届を提出が必要なことは全く頭になかったということでした。

 

 

このように、建設業許可の経管者(経営業務の管理責任者)であることをうっかり忘れて、辞任(退任)登記を申請してしまい、経管者(経営業務の管理責任者)が不在になってしまった。専任技術者であることをうっかり忘れて交代できるものがいないまま退職を受理してしまい、専任技術者が不在となってしまった場合、どうなるのでしょうか。

 

 

建設業許可は、「経管者(経営業務の管理責任者)」や「専任技術者」が1日でも不在となれば、要件を満たさなくなり許可の取り消しとなります。

許可が取り消しとなれば、請負金額500万円以上の工事(建築一式は1500万円以上)を請負うことができなくなります。契約後であれば、関係者に多大な迷惑をかけてしまうことになり、取引先からの信用を失い、経済的な損害を被るリスクを伴います。うっかりでは済まされません。しかし、要件を満たす者が他にいれば、交代してから2週間以内に変更届を提出し、建設業許可を継続することができます。

 

 

経管者(経営業務の管理責任者)の辞任

法人の場合

  • 5年以上の建設業の経営経験(取締役経験)のある常勤取締役が複数名在籍している場合は、適任者を選ぶ。
  • 外部から要件を満たす人を招き常勤役員として取締役に就任させる。

法人・個人事業主の場合

  • 準ずる地位(一定期間の経営業務を補佐した経験がある)に該当する者に交代する。

個人事業の場合

配偶者や子供、共同経営者など長年補佐してきた者が該当します。

法人の場合

役員に次ぐ職制上の地位にある人であり、取締役会設置会社の執行役員や建設業において業務を行っている部長などです。

この場合、地位や経験を証明する書類が必要になります。役員や個人事業主の経験を証明するより書類も多く、難易度が高いと言えます。

※必要な書類については各都道府県によって異なります。

 

 

専任技術者の辞任

次のいずれかの要件を満たす者を選任する。(一般建設業の場合)

  • 指定学科修了者で高卒後5年以上もしくは大卒後3年以上の実務の経験
  • 指定学科修了者で専門学校卒業後5年以上実務の経験、もしくは専門学校卒業後3年以上実務の経験に加えて専門士か高度専門士の称号
  • 許可を受けようとする建設業に係る建設工事で10年以上実務の経験
  • 国家資格者

 

 

次期経営者になりうる人材の育成、従業員に国家資格を取得させる、所定の学科を卒業した者の雇用など、経営者は突然の辞任や退職に備えた早めの対策を考えておかれることをおすすめします。

また、役員変更登記についても、通常、司法書士事務所では、お客様より依頼された通りに手続きをします。よって、許認可に不慣れな司法書士事務所では、役員の辞任について全く疑問に思わないことも少なくありません。許認可をお持ちの事業者様は、許認可に詳しい司法書士事務所にご依頼されることをおすすめします。

 

 

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