社長が2社の代表取締役を兼任している場合、建設業許可はどうなる?

「社長が2社の代表取締役を兼任しています。建設業許可は取得できますか?」

建設業者の方から、このようなご相談をいただくことがあります。

会社経営をしていると、

  • 親会社と子会社の代表を兼任する
  • グループ会社の代表を兼任する
  • 事業承継の過程で2社の代表を一時的に兼任する
  • 会社を買収して、既存会社の社長が新会社の代表にも就任する

といったケースがあります。

では、代表取締役を2社兼任している場合、建設業許可を取得することはできるのでしょうか。

結論からいうと、2社の代表取締役を兼任していることだけを理由に、建設業許可が取得できなくなるわけではありません。

ただし、建設業許可では「常勤性」が重要になるため、2社で本当に常勤しているといえるのかという点が問題になります。

特に、その社長を経営業務の管理責任者(経管)や専任技術者(専技)として配置する場合には、慎重な確認が必要です。

 

1.2社の代表取締役を兼任すること自体は可能

まず、会社法上、

「1人の人が2つの会社の代表取締役になること」

自体は禁止されていません。

例えば、

A株式会社 代表取締役

B株式会社 代表取締役

という状態にすることは可能です。

したがって、

「2社の代表取締役を兼任している=建設業許可を取得できない」

ということではありません。

問題になるのは、建設業許可の要件を満たすために、その人がどの会社でどのように勤務しているのかという点です。

 

2.特に問題になるのが「経営業務の管理責任者」

建設業許可では、経営業務の管理を適正に行うための体制が求められます。

いわゆる「経営業務の管理責任者(経管)」についても、常勤性が重要になります。

例えば、

A社:建設業を営んでいる

B社:別事業を営んでいる

そして、社長がA社とB社の代表取締役を兼任している場合。

「A社の経管として登録できるのか?」

という問題が生じます。

この場合、

A社で実際に常勤して経営業務に従事しているのか

が重要になります。

 

3.「代表取締役だから常勤」とは限らない

ここは非常に重要です。

会社の登記簿に代表取締役として記載されていることと、建設業許可上の「常勤性」が認められることは同じではありません。

例えば、

「A社とB社の代表取締役だが、普段はB社に勤務しており、A社には月に数回しか来ない」

という状態であれば、A社の経管としての常勤性について問題になる可能性があります。

一方で、

「A社を主たる勤務先として毎日勤務し、B社については経営上必要な範囲で代表者として対応している」

というようなケースでは、事情が異なります。

つまり、

登記上の肩書きではなく、実際の勤務実態が重要

ということです。

 

4.「2社とも常勤」は原則として慎重に考える

では、

「A社でも常勤、B社でも常勤です」

という説明なら問題ないのでしょうか。

ここも注意が必要です。

常勤とは、基本的にはその会社で通常の勤務時間を継続的に勤務している状態を意味します。

そのため、1人の人が2社それぞれで常勤しているという場合には、

「実際にどのように勤務時間を分けているのか」

という点について合理的な説明が必要になります。

単に、

「午前中はA社、午後はB社です」

とすれば当然に認められる、というものではありません。

それぞれの会社の所在地、勤務時間、業務内容、会社間の関係などを含めて、実態を確認する必要があります。

 

5.親会社と子会社なら大丈夫?

よくあるのが、

「親会社と子会社なので、社長が両方の代表を兼任しています」

というケースです。

例えば、

親会社A社

子会社B社

という関係で、社長がA社とB社の代表取締役を兼任している場合です。

親子会社だからといって、直ちに問題になるわけではありません。

しかし、

「親会社と子会社だから常勤性の問題はない」

ということでもありません。

あくまで、

  • どこで勤務しているのか
  • どの会社の業務にどれだけ従事しているのか
  • 勤務時間はどうなっているのか
  • 他社で常勤していないか
  • 経管として実際に経営業務を行っているか

などを確認する必要があります。

 

6.「経管+専技」を2社で兼任するのは?

さらに注意が必要なのが、社長が、

A社:経管+専技

B社:経管+専技

という形で、2社の建設業許可について同時に配置されるケースです。

この場合は、より慎重な判断が必要です。

なぜなら、

  • 経管には常勤性
  • 専技には営業所への専任性

が求められるからです。

一人の人が2社それぞれで常勤・専任しているという状態を、実際の勤務状況から合理的に説明できる必要があります。

したがって、

「社長が2社の代表だから、両方の経管・専技になれる」

と簡単に判断することはできません。

 

7.専任技術者の場合はさらに注意

専任技術者については、「専任」という言葉が示すとおり、営業所に専任していることが必要です。

例えば、

A社の営業所:新潟市

B社の営業所:長岡市

で、同じ社長が両社の専任技術者になるというケース。

「車ですぐ移動できるから大丈夫」

という単純な話ではありません。

それぞれの営業所について、本当に専任しているといえる勤務実態があるのかを確認する必要があります。

特に、複数会社の代表者を兼任している場合には、専任性の説明が難しくなることがあります。

 

8.社会保険はどちらの会社に入る?

2社の代表取締役を兼任している場合、社会保険の取扱いも問題になることがあります。

例えば、

A社とB社の両方から役員報酬を受けている

というケースです。

この場合、社会保険の取扱いについては、単純に「どちらか一社だけ」という話ではなく、複数の事業所で勤務する役員等についての社会保険上の手続が関係してきます。

ただし、

社会保険の加入状況だけで建設業許可上の常勤性が決まるわけではありません。

建設業許可では、社会保険の状況だけでなく、実際の勤務実態などを総合的に確認することが重要です。

 

9.建設業を営んでいない会社との兼任ならどうか?

例えば、

A社:建設業

B社:不動産業

という2社の代表を一人が兼任しているケースです。

この場合、

「B社は建設業ではないから問題ない」

と考えてしまう方もいます。

しかし、そうとも限りません。

建設業許可で重要なのは、A社で常勤しているといえるかどうかです。

B社で代表取締役として実際にどの程度業務に従事しているのかによっては、A社での常勤性が問題になる可能性があります。

つまり、

「もう一社が建設業かどうか」だけでは判断できません。

 

10.2社を兼任する場合に重要な資料

2社の代表取締役を兼任している人を経管や専技として配置する場合には、通常のケース以上に勤務実態を説明できる資料が重要になります。

例えば、

  • 各会社の登記事項証明書
  • 出勤状況が分かる資料
  • 社会保険関係書類
  • 給与・役員報酬関係資料
  • 会社間の関係が分かる資料
  • 業務分担が分かる資料
  • 勤務場所が分かる資料
  • その他、実際の勤務状況を確認できる資料

などです。

ただし、必要書類や確認方法は自治体によって異なる場合があります。

そのため、申請前に所管行政庁へ確認しておくことをおすすめします。

 

11.事業承継では「一時的な2社代表」に注意

最近では、事業承継の過程で一時的に2社の代表取締役を兼任するケースもあります。

例えば、

旧会社の社長Aさん

新会社の社長にもAさんが就任

一定期間後に後継者Bさんへ事業承継

というケースです。

このような場合、Aさんが2社の建設業許可に関係する経管や専技になっていると、許可要件について注意が必要です。

事業承継をする際には、

「代表取締役を誰にするか」だけではなく、「建設業許可の経管・専技を誰にするのか」

まで一緒に考えることが重要です。

 

12.「2社経営」そのものが問題なのではない

ここまでの話をまとめると、

2社の代表取締役を兼任すること自体が問題なのではありません。

問題となるのは、

建設業許可の要件を満たすだけの常勤性・専任性があるか

ということです。

したがって、

「2社の代表だから建設業許可は取れない」

というのも間違いですし、

「2社の代表でも問題なく経管・専技になれる」

と決めつけるのも危険です。

重要なのは、個別の勤務実態を確認することです。

 

まとめ

社長が2社の代表取締役を兼任している場合でも、それだけを理由に建設業許可を取得できなくなるわけではありません。

しかし、その社長を経営業務の管理責任者や専任技術者として配置する場合には、特に注意が必要です。

確認すべきポイントは、

  • どの会社で実際に勤務しているか
  • 勤務時間はどうなっているか
  • 他社で常勤していないか
  • 経管として必要な経営経験があるか
  • 専技として必要な資格・実務経験があるか
  • 営業所に専任しているといえるか
  • 2社の所在地・業務内容はどうなっているか
  • 親会社・子会社などの関係があるか
  • 出向などの関係があるか

といった点です。

特に、

「2社の代表取締役を兼任している社長を、両社の経管・専技にしたい」

というケースは、書類だけで判断せず、実際の勤務実態を整理することが重要です。

建設業許可では、**「登記上どうなっているか」だけでなく、「実際にどう働いているか」**が重要になります。

2社の代表を兼任する場合には、許可申請の直前に検討するのではなく、役員就任や事業承継の段階から、建設業許可への影響を確認しておくことをおすすめします。

建設業許可の専任技術者が退職したらどうなる?許可を維持するための注意点

「専任技術者が退職することになりました。建設業許可はどうなりますか?」

建設業者の方から、このようなご相談をいただくことがあります。

専任技術者は、建設業許可を維持するために非常に重要な存在です。

そのため、専任技術者が退職する場合には、

「退職してから考えればいい」

ではなく、できるだけ早く後任者や許可要件を確認する必要があります。

今回は、建設業許可の専任技術者が退職した場合に、何が起こるのか、どのように対応すればよいのかを解説します。

 

1.専任技術者が退職しても、直ちに許可が「取消し」になるわけではない

まず、ここは誤解されやすいポイントです。

専任技術者が退職したからといって、直ちに建設業許可そのものが「取消し」になるという意味ではありません。

しかし、専任技術者がいなくなった結果、建設業許可の要件を満たさなくなれば、許可をそのまま維持できなくなる可能性があります。

つまり、

専任技術者の退職=即許可取消し

ではありませんが、

専任技術者がいない状態を放置する=建設業許可の維持に重大な問題が生じる

ということです。

そのため、退職が決まった時点で早めに対応することが重要です。

 

2.まず確認するのは「後任者がいるか」

専任技術者が退職する場合、最初に確認するのは、

「後任として専任技術者になれる人が社内にいるか」

です。

例えば、

  • 1級・2級の施工管理技士
  • 技術士
  • 建築士
  • 電気工事士
  • 電気主任技術者
  • その他の国家資格者
  • 一定の実務経験を有する社員

など、許可を受けている業種に応じて必要な資格・実務経験等を満たしている人がいるかを確認します。

「現場経験が長いから大丈夫だろう」

と自己判断するのではなく、その人が申請する業種の専任技術者として認められるのかを確認することが重要です。

 

3.後任者は「資格を持っているだけ」ではダメ

専任技術者になるためには、単に資格を持っていればよいというわけではありません。

例えば、

「施工管理技士の資格を持っている社員がいる」

としても、

  • その資格が許可業種に対応しているか
  • 営業所に専任できるか
  • 常勤性が認められるか
  • 他の会社や営業所で専任していないか

などを確認する必要があります。

特に重要なのが、

「その人が営業所に専任できる状態なのか」

という点です。

資格者が現場に出ていて、営業所にほとんどいないという場合には、専任性が問題になることがあります。

 

4.退職日までに後任を決めておくことが理想

専任技術者の退職が決まったら、

「退職してから後任を探す」

のではなく、

「退職する前に後任者を決めておく」

ことが理想です。

例えば、

6月30日 現在の専任技術者が退職

7月1日 新しい専任技術者を配置

というように、できるだけ許可要件に空白が生じないように準備します。

後任者が社内にいない場合には、採用や資格取得、組織変更なども含めて早めに検討する必要があります。

 

5.後任が見つからない場合はどうする?

実務上、一番困るのがこのケースです。

「専任技術者が退職するけれど、社内に後任者がいない」

という場合です。

この場合、

「とりあえずそのまま営業を続ける」

という対応はおすすめできません。

まず、現在の許可について、

  • どの業種の許可を持っているのか
  • 専任技術者が何人いるのか
  • 他の営業所に資格者がいないか
  • 役員や従業員の中に後任候補者がいないか
  • 新たに採用できる可能性があるか

などを確認します。

そのうえで、許可を受けている行政庁へ早めに相談することが重要です。

 

6.専任技術者がいなくなったら「変更届」が必要

専任技術者に変更があった場合には、建設業許可について変更の届出が必要になります。

専任技術者が退職した場合には、

「専任技術者の変更」

として必要な手続きを行うことになります。

ここで重要なのは、

退職したことを会社内部で処理して終わりにしないこと

です。

建設業許可に関する変更は、行政庁への届出が必要になるため、期限や必要書類を確認して対応しましょう。

 

7.「許可を返納しなければならない」のか?

専任技術者が退職し、後任者が見つからない場合、

「建設業許可を返納しなければならないのでしょうか?」

という質問があります。

これもケースによって対応が異なります。

例えば、許可を受けている複数の業種のうち、一部の業種についてだけ専任技術者が確保できなくなった場合には、その業種について許可を維持できるかを検討する必要があります。

また、営業所が複数ある場合には、営業所ごとの専任技術者の配置状況も確認する必要があります。

つまり、

「専任技術者が退職した=すべての建設業許可を失う」

という単純な話ではありません。

どの営業所で、どの業種の専任技術者が不在になるのかを確認することが重要です。

 

8.新しい専任技術者を採用する方法もある

社内に後任者がいない場合には、外部から採用する方法もあります。

例えば、

  • 必要な国家資格を持つ人
  • 必要な実務経験を持つ人
  • 建設業界で十分な経験を有する人

などを採用し、要件を満たすことができれば、専任技術者として配置できる可能性があります。

ただし、

「資格者を採用すれば必ず専任技術者になれる」

というわけではありません。

常勤性や資格の対応業種なども確認する必要があります。

採用する前に、

「この人を採用すれば専任技術者として認められるのか?」

を確認しておくことが重要です。

 

9.経営業務の管理責任者と同じ人だったら要注

さらに注意したいのが、

「退職する専任技術者が、経営業務の管理責任者も兼任している」

というケースです。

例えば、

社長Aさん

経管+専技

という体制だったとします。

Aさんが退任・退職する場合には、単に専任技術者の後任を探せばよいわけではありません。

経管についても後任者を確保する必要があります。

つまり、一人の退職によって、

「専技の問題」

「経管の問題」

が同時に発生する可能性があります。

中小企業では、このように一人の役員や社員に許可要件が集中していることが珍しくありません。

 

10.「社長が専技」という会社は特に注意

中小規模の建設会社では、

社長自身が専任技術者

というケースもあります。

さらに、

社長=経管+専技

となっている会社もあります。

この場合、社長が高齢になったときや、事業承継をするときには特に注意が必要です。

「社長が退任することになったので、新しい社長を決める」

だけでは不十分です。

同時に、

  • 経管は誰が担当するのか
  • 専技は誰が担当するのか
  • 新社長は経管になれるのか
  • 新しい専技は確保できるのか

を確認する必要があります。

 

11.退職前に確認しておきたいチェックリスト

専任技術者の退職が決まったら、次の項目を確認しておきましょう。

許可の確認

□ 現在取得している建設業許可の業種

□ 営業所の数

□ 各営業所の専任技術者

退職者の確認

□ どの業種の専任技術者なのか

□ 経管も兼任していないか

□ 退職予定日はいつか

後任者の確認

□ 社内に資格者がいるか

□ 必要な実務経験を持つ人がいるか

□ 常勤性を満たせるか

□ 営業所に専任できるか

□ 他社・他営業所との兼任がないか

手続き

□ 行政庁への変更届が必要か

□ 必要書類は何か

□ 届出期限はいつか

□ 許可要件を継続して満たせるか

この確認を早めに行うことで、突然の専任技術者退職による混乱を防ぐことができます。

 

12.専任技術者の退職は「事業承継」のタイミングでも要注意

専任技術者の退職は、単なる人事上の問題ではありません。

建設会社にとっては、建設業許可を維持できるかどうかに関わる重要な経営問題です。

特に、

「専任技術者が一人しかいない」

「その人が社長でもある」

「後継者がまだ資格を持っていない」

という会社は、早めに対策する必要があります。

例えば、後継者に必要な資格を取得してもらったり、実務経験を積ませたりするなど、数年単位で準備することも考えられます。

 

まとめ

専任技術者が退職する場合、最も重要なのは、

「退職してから考える」のではなく、「退職する前に対応する」

ことです。

専任技術者の退職そのものが、直ちに建設業許可の取消しを意味するわけではありません。

しかし、後任者が確保できず、許可の要件を満たせなくなれば、建設業許可の維持に大きな影響が生じる可能性があります。

特に、

  • 専任技術者が一人しかいない
  • 社長が専任技術者を兼ねている
  • 経管と専技を同じ人が兼任している
  • 後継者がまだ資格を取得していない
  • 複数の営業所がある

という会社は、早めの確認をおすすめします。

建設業許可は、

「今、許可を取得できているか」だけではなく、「将来も許可を維持できる体制になっているか」

という視点が重要です。

専任技術者の退職が決まったら、退職日を待つのではなく、早めに後任候補者と許可要件を確認しておきましょう。

 

経管と専技は同じ人でも大丈夫?建設業許可の兼任について解説

「経営業務の管理責任者(経管)と専任技術者(専技)は、同じ人でも大丈夫ですか?」

建設業許可のご相談で、よくいただく質問の一つです。

特に中小規模の建設会社では、

「社長が経営もしているし、資格も持っている」

「役員の中に建設業の経験と技術資格の両方を持っている人がいる」

というケースも少なくありません。

結論からいうと、一定の条件を満たせば、経営業務の管理責任者と専任技術者を同じ人が兼任することは可能です。

ただし、単に「経営経験がある」「資格を持っている」というだけでは足りません。

今回は、経管と専技の兼任について、具体例を交えながら解説します。

 

1.経管と専技は同じ人でも大丈夫?

まず結論です。

経管と専技は、一定の要件を満たせば同一人物が兼任できます。

例えば、社長が、

  • 建設業の経営経験を有している
  • 必要な資格や実務経験を有している
  • その営業所に常勤している

という場合には、社長自身が経管と専技を兼任することが可能です。

中小企業では、むしろ珍しいことではありません。

 

2.経管と専技では「求められる要件」が違う

ここで重要なのは、経管と専技では、そもそも役割が違うということです。

経営業務の管理責任者

会社の経営を適切に行うための体制についての要件です。

建設業に関する一定の経営経験などが求められます。

専任技術者

請負契約の適正な締結・履行を確保するため、営業所ごとに配置される技術者です。

一定の資格や実務経験などが必要です。

つまり、

「経営の要件」と「技術の要件」の両方を、一人の人が満たしていれば兼任できる

ということです。

 

3.例えば「社長兼専任技術者」は可能?

例えば、次のような会社を考えてみます。

社長Aさんは、

  • 建設会社で10年以上の経営経験がある
  • 1級建築施工管理技士の資格を持っている
  • 現在も会社に常勤している

この場合、必要な要件を満たしていれば、

Aさん=経管+専技

とすることが可能です。

中小規模の建設会社では、

「社長自ら現場のことも分かっていて、会社経営もしている」

というケースがあります。

このような会社では、経管と専技を同じ人が担当することがあります。

 

4.ただし「営業所の専任技術者」であることに注意

専技について特に重要なのが、**「専任」**という点です。

専任技術者は、営業所に常勤して、その職務に専任することが原則です。

そのため、

「社長だから専技になれる」

わけではありません。

例えば社長が、

  • ほとんど現場に出ている
  • 遠方の現場を頻繁に回っている
  • 営業所にほとんどいない

という状態であれば、専任技術者としての「専任性」が問題になる可能性があります。

経管としての常勤性と、専技としての専任性。

両方の要件を満たしている必要があります。

 

5.経管と専技を兼任する場合の最大のポイント

兼任する場合に最も重要なのは、

「その人が本当に営業所で常勤しているのか」

という点です。

例えば、

「社長は会社の代表者だけれど、普段は県外の現場に出ている」

という場合には注意が必要です。

会社の登記簿に代表取締役として記載されていることと、建設業許可上の常勤性・専任性が認められることは別問題だからです。

つまり、

登記上の地位だけではなく、実際の勤務状況が重要

ということです。

 

6.経管と専技を兼任しながら現場に出ることはできる?

 

「社長が経管と専技を兼任している場合、現場にも出てはいけないのでしょうか?」

という問題です。

専任技術者は営業所に専任することが求められますが、一定の条件のもとで、専任技術者が工事現場の技術者を兼ねることが認められる場合があります。

ただし、すべての工事で自由に兼任できるわけではありません。

特に、

  • 営業所と工事現場との距離
  • 工事現場への専任が必要かどうか
  • 工事の規模
  • 工事現場で必要となる技術者の要件

などを確認する必要があります。

したがって、

「専技だから現場に一切出られない」

とも、

「社長だから自由に現場に行っていい」

とも一概には言えません。

個々の工事ごとに確認する必要があります。

 

7.経管と専技を兼任できないケースもある

「同じ人で大丈夫」とはいっても、当然ながらすべてのケースで兼任できるわけではありません。

例えば、

経管の要件を満たしていない

建設業に関する必要な経営経験などが不足している場合です。

専技の要件を満たしていない

必要な国家資格や実務経験等がない場合です。

常勤性が認められない

他社で常勤している、勤務実態がないなどの場合です。

専任性が認められない

営業所に専任しているとはいえない勤務状況の場合です。

このような場合には、経管と専技の兼任はできません。

 

8.2つ以上の営業所がある場合は特に注意

会社に営業所が1か所しかない場合には、社長が経管と専技を兼任することは比較的イメージしやすいでしょう。

しかし、営業所が複数ある場合には注意が必要です。

例えば、

  • 本店
  • 新潟営業所
  • 長岡営業所

の3か所があるとします。

「社長一人を全部の営業所の専技にすればいい」

ということはできません。

専任技術者は、原則としてそれぞれの営業所に専任する必要があるためです。

複数の営業所がある場合には、それぞれの営業所について必要な人員を確保する必要があります。

 

9.経管と専技の「常勤性」は非常に重要

経管と専技を同じ人にする場合、どちらについても常勤性が問題になります。

例えば、

「社長はA社の代表取締役だけれど、B社の仕事もしている」

「親会社から出向してきた役員を経管・専技にしたい」

「2社の代表取締役を兼任している」

といったケースでは、慎重な判断が必要です。

単純に、

「役員だから常勤」

「資格を持っているから専技になれる」

とはいきません。

実際の勤務場所や勤務状況、他社での勤務状況などを確認する必要があります。

 

10.経管と専技の兼任は中小企業にとって大きなメリット

経管と専技を同じ人が兼任できることは、中小企業にとって大きなメリットがあります。

例えば、

「社員が少ないので、経管と専技をそれぞれ別の人にするのは難しい」

という会社でも、社長が両方の要件を満たしていれば、一人で対応できます。

ただし、これは「一人に依存してよい」という意味ではありません。

その人が退職したり、病気になったり、代表者を交代したりすると、建設業許可の維持に影響する可能性があります。

そのため、

現在の許可要件を満たすだけでなく、将来の人材育成まで考えること

が重要です。

 

11.事業承継の際には特に注意

例えば、現在、

社長Aさん

経管+専技

という体制だったとします。

そして、Aさんが引退して息子さんに社長を交代することになった場合です。

「社長を交代すれば終わり」

ではありません。

Aさんが経管と専技を一人で兼任していたのであれば、

後任者が経管の要件を満たしているか

後任者が専技の要件を満たしているか

を事前に確認する必要があります。

特に、長年会社を経営してきた社長が経管と専技を一人で兼任している会社では、事業承継の際に問題が発生しやすいため、早めの準備が大切です。

 

12.「経管+専技」のチェックポイント

経管と専技を同じ人にする場合には、次の点を確認してみましょう。

経管について

□ 必要な建設業の経営経験等を満たしている

□ 会社で常勤している

□ 他社で常勤していない

専技について

□ 必要な資格・実務経験等を満たしている

□ その営業所に専任している

□ 他の営業所の専技になっていない

□ 他社の専任技術者になっていない

さらに確認したいこと

□ 実際の勤務実態と書類が一致している

□ 事業承継後も要件を維持できる

□ 複数営業所がある場合、それぞれの専技が確保されている

このチェックを行うだけでも、許可申請時のトラブルをかなり防ぐことができます。

 

まとめ

経営業務の管理責任者(経管)と専任技術者(専技)は、一定の要件を満たせば同じ人が兼任できます。

特に中小規模の建設会社では、

「社長=経管+専技」

という体制も珍しくありません。

ただし、重要なのは、

経管としての要件を満たしていること

専技としての要件を満たしていること

常勤性・専任性が認められること

です。

また、経管と専技を一人に頼っている会社では、その人の退職や事業承継が建設業許可に大きな影響を与える可能性があります。

「今は問題ないから大丈夫」ではなく、

「社長が引退したときも建設業許可を維持できるか」

という視点で、後継者や次の技術者を早めに育てておくことが重要です。

建設業許可は、単に取得するだけではなく、将来にわたって維持できる体制を作ることが大切です。

 

出向社員は「経管」や「専技」になれるのか?建設業許可における出向社員の注意点

「グループ会社から社員を出向させれば、建設業許可の経営業務の管理責任者(経管)や専任技術者(専技)にできるのでしょうか?」

建設業者の方から、このようなご相談をいただくことがあります。

特に、親会社・子会社・グループ会社の間で人材を出向させるケースでは、

「出向社員は、出向先の会社の社員として扱えるのか?」

という点が問題になります。

結論からいうと、出向社員だから一律に経管や専技になれない、というわけではありません。

ただし、重要なのは「出向」という名称ではなく、実際の雇用関係や勤務実態、出向契約の内容などから、出向先で常勤していると認められるかという点です。

今回は、建設業許可における出向社員と経管・専技について解説します。

 

1.そもそも「出向」とは?

出向とは、一般的に、会社との雇用関係を維持したまま、別の会社で勤務することをいいます。

例えば、

  • 親会社の社員を子会社へ出向させる
  • グループ会社間で社員を出向させる
  • 建設会社へ技術者を出向させる

といったケースがあります。

出向には、一般的に「在籍出向」と「移籍出向」があります。

在籍出向

出向元との雇用関係を残したまま、出向先で勤務する形です。

移籍出向

出向元との雇用関係を終了し、出向先との間で新たに雇用関係を結ぶ形です。

建設業許可で問題になるのは、単に「出向」という名称ではなく、実際にどの会社との間に雇用関係があり、どの会社で勤務しているのかという点です。

 

2.出向社員でも「専技」になれる場合がある

まず、専任技術者についてです。

専任技術者は、営業所ごとに一定の資格や実務経験などを有する技術者を専任で配置する必要があります。

ここで重要なのが、

「出向社員だから専任技術者になれない」とは限らない

ということです。

出向先の会社において、実際にその営業所に常勤し、専任技術者としての要件を満たしているのであれば、出向社員であっても認められる可能性があります。

ただし、出向元と出向先の関係や、出向契約の内容、勤務実態などを確認する必要があります。

 

3.専技で特に重要なのは「専任性」

専任技術者については、名前だけを置いておけばよいわけではありません。

その営業所に専任していることが重要です。

例えば、

「親会社から週1回だけ出向先に来る」

「普段は親会社で仕事をしている」

というような状態では、出向先の専任技術者として認められることが難しくなります。

一方で、出向契約に基づいて出向先で継続的に勤務し、その営業所で専任技術者として職務を行っているのであれば、認められる可能性があります。

つまり、

出向しているかどうかよりも、出向先で本当に専任技術者として勤務しているか

が重要になります。

 

4.経管についても「常勤性」がポイン

次に、経営業務の管理責任者(経管)です。

経管についても、出向社員だから直ちに対象外になるというわけではありません。

ただし、経管については特に常勤性が重要になります。

経営業務の管理責任者として認められるためには、一定の経営経験などの要件を満たすだけでなく、申請会社において常勤していることが重要です。

例えば、

親会社の取締役が子会社へ出向し、子会社で経営業務を担当している

というケースでは、出向契約や役員としての地位、勤務実態などを確認する必要があります。

 

5.「出向=常勤」ではありません

ここが一番重要なポイントです。

出向契約を締結したからといって、自動的に出向先での常勤性が認められるわけではありません。

例えば、

「親会社の社員を子会社に出向させる」

という契約書があったとしても、実際には親会社で勤務しているのであれば、出向先での常勤性に疑問が生じます。

逆に、

  • 出向先で勤務している
  • 出向先の営業所に継続的に勤務している
  • 出向先の業務に専ら従事している
  • 出向契約の内容と実際の勤務状況が一致している

といった事情があれば、常勤性を説明しやすくなります。

したがって、書類だけではなく実態が重要です。

 

6.出向契約書は非常に重要

出向社員を経管や専技として配置する場合には、出向契約書の内容が重要になります。

例えば、

  • 出向期間
  • 出向先
  • 出向元
  • 業務内容
  • 勤務場所
  • 勤務時間
  • 給与の負担
  • 指揮命令関係
  • 社会保険の取扱い

などを確認します。

特に重要なのは、

「誰の指揮命令を受けて、どこで、どのような仕事をしているのか」

という点です。

出向契約書の内容と実際の勤務実態が一致していることが重要です。

 

7.給与を出向元が支払っていても大丈夫?

実務上、よくある質問です。

「出向社員の給与は親会社が支払っています。それでも子会社の専技になれますか?」

というケースです。

在籍出向の場合、給与を出向元が支払い、出向先が出向元に給与相当額を負担するような仕組みもあります。

そのため、

「給与を出向元が支払っている=絶対に出向先の常勤者になれない」

と単純に考えることはできません。

重要なのは、給与の支払者だけではなく、実際の勤務関係や出向契約、指揮命令関係などを総合的に確認することです。

ただし、自治体によって確認資料や運用が異なる場合がありますので、申請前に所管行政庁へ確認することをおすすめします。

 

8.社会保険だけで判断するのも危険

常勤性を確認する際、社会保険の加入状況は重要な資料の一つです。

しかし、

「社会保険が出向元だからダメ」

「社会保険が出向先だから必ず大丈夫」

というように、社会保険だけで判断することも適切ではありません。

建設業許可では、

  • 雇用関係
  • 出向契約
  • 勤務場所
  • 勤務時間
  • 指揮命令関係
  • 給与負担
  • 社会保険
  • 実際の業務内容

などを総合的に確認することが重要です。

 

9.親会社と子会社の「兼任」には特に注意

グループ会社の場合、次のようなケースがあります。

親会社の取締役Aさんが、子会社の取締役も兼任している。

さらに、子会社の経管になっている。

このような場合には、本当に子会社で常勤しているのかが重要になります。

親会社でも常勤し、子会社でも常勤しているという状態は、通常は簡単には説明できません。

「役員を兼任しているから大丈夫」

ではなく、

それぞれの会社でどのような勤務実態があるのか

を確認する必要があります。

 

10.経管と専技を同じ人が兼任することは?

経管と専技については、要件を満たせば同一人物が兼任できる場合があります。

例えば、建設業に関する十分な経営経験を持ち、さらに必要な資格・実務経験等を有する技術者である場合です。

ただし、経管としての常勤性と、専技としての専任性の両方を満たす必要があります。

出向社員の場合には、

「出向先で経営業務を行っているのか」

「営業所で専任技術者として勤務しているのか」

を確認する必要があります。

単に「資格があるから兼任できる」というものではありません。

 

11.出向社員を活用する場合のチェックポイント

出向社員を経管や専技として配置する場合には、少なくとも次の事項を確認しておきましょう。

出向関係

□ 出向契約書があるか

□ 出向先・出向元が明確になっているか

□ 出向期間が明確になっているか

勤務実態

□ 出向先で実際に勤務しているか

□ 勤務場所が明確になっているか

□ 勤務時間は明確になっているか

□ 指揮命令関係が明確になっているか

経管の場合

□ 建設業に関する必要な経営経験があるか

□ 出向先で常勤していると説明できるか

□ 他社で常勤していないか

専技の場合

□ 必要な資格・実務経験等を満たしているか

□ 営業所に専任しているか

□ 他の営業所や他社で技術者として勤務していないか

このように、「出向社員だからOK・NG」という単純な判断ではなく、個別の勤務実態を確認することが重要です。

 

12.許可申請前に行政庁へ確認することが重要

出向社員を経管や専技として配置するケースは、通常の従業員の場合よりも確認事項が多くなります。

特に、

  • 親会社・子会社間の出向
  • グループ会社間の出向
  • 役員の兼任
  • 給与を出向元が支払っている
  • 社会保険が出向元になっている
  • 複数法人で勤務している

といった事情がある場合には、申請前に所管行政庁へ確認しておくことをおすすめします。

自治体によって必要書類や確認方法が異なることもあるためです。

 

まとめ

出向社員について、

「出向社員だから経管・専技にはなれない」

と一律に考える必要はありません。

一方で、

「出向契約があるから、経管・専技として認められる」

というものでもありません。

重要なのは、

出向先の会社で、本当に常勤・専任の職員として勤務しているのか

という実態です。

特に確認したいのは、

  • 出向契約の内容
  • 実際の勤務場所
  • 勤務時間
  • 指揮命令関係
  • 給与の負担関係
  • 社会保険
  • 他社との兼任状況
  • 経管・専技それぞれの資格・経験要件

です。

親会社・子会社などのグループ会社で人材を有効活用する場合、出向制度は非常に便利な仕組みです。

しかし、建設業許可の要件については、「形式」ではなく「実態」まで確認することが重要です。

「親会社から社員を出向させて経管にしたい」

「グループ会社の技術者を専技として配置したい」

「役員を兼任しているが常勤性に問題はないか」

このようなケースでは、申請前に出向関係と勤務実態を整理し、必要に応じて行政庁へ確認しておくと安心です。

 

建設業許可の「経営業務の管理責任者」は常勤でなければならない?常勤性のポイントを解説

建設業許可の申請で重要な要件の一つに、「経営業務の管理を適正に行うに足りる能力」があります。

その中でも、会社の役員などが経営業務の管理責任者として認められるためには、原則として常勤であることが重要なポイントになります。

では、「常勤」とは具体的にどのような状態をいうのでしょうか。

今回は、建設業許可における経営業務の管理責任者の常勤性について解説します。

 

1.経営業務の管理責任者とは?

建設業許可を取得するためには、建設業に関する経営経験などを有する者を配置し、適正な経営体制を確保する必要があります。

一般的に「経営業務の管理責任者」と呼ばれています。

例えば、株式会社であれば、

  • 代表取締役
  • 取締役

などが該当するケースがあります。

ただし、単に「役員になっている」というだけで認められるわけではありません。

建設業に関する一定の経営経験があることなど、法律上の要件を満たす必要があります。

そして、もう一つ重要なのが「常勤性」です。

 

2.「常勤」とはどういう意味?

建設業許可における「常勤」とは、原則として、その営業所において休日その他勤務を要しない日を除き、一定の計画のもとに毎日所定の時間中、その職務に従事している状態をいいます。

つまり、

「会社の役員として名前が載っている」

だけでは十分ではありません。

実際にその会社で継続的に勤務し、経営業務を行っていることが重要です。

例えば、代表取締役であっても、

「普段は東京に住んでいて、新潟の会社には月に1~2回しか来ない」

というような状態では、常勤性について問題になる可能性があります。

 

3.「週に何日働けば常勤?」という単純な話ではありません

常勤性について、

「週5日勤務なら常勤ですか?」

という質問を受けることがあります。

しかし、単純に勤務日数だけで判断するものではありません。

重要なのは、

その会社の営業所において、通常の勤務時間を継続的に勤務している実態があるか

という点です。

そのため、勤務実態、所在地、勤務時間、他社での勤務状況などを総合的に確認する必要があります。

 

4.他の会社の代表取締役を兼任している場合は?

実務上、特に注意が必要なのが他社の代表取締役との兼任です。

例えば、

A社の代表取締役

B社の代表取締役

を同じ人が兼任している場合です。

「どちらも自分の会社だから、両方とも常勤でいいだろう」

という考え方は危険です。

常勤性については、実際にどこで勤務しているのか、他社での勤務状況などを確認する必要があります。

特に、他社の代表者として常勤していることが明らかな場合には、同時に別会社の経営業務の管理責任者として常勤性を認めてもらうことが難しくなる場合があります。

複数法人の役員を兼任している場合には、事前に行政庁へ確認することをおすすめします。

 

5.他社の役員を兼任している場合も注意

代表取締役だけではありません。

例えば、

  • A社の取締役
  • B社の取締役
  • C社の監査役

など、複数の法人の役員を兼任している場合にも注意が必要です。

特に、建設業許可を申請する会社以外の会社で、実際に業務に従事している場合には、常勤性について確認される可能性があります。

「登記上の役員だから問題ない」

「非常勤ということにしているから大丈夫」

とは限りません。

実際の勤務実態がどうなっているのかが重要です。

 

6.個人事業主として他の事業をしている場合は?

法人の役員ではなく、個人事業主として別の事業を行っている場合も注意が必要です。

例えば、

建設会社の取締役をしながら、別の場所で個人事業を営んでいる

というケースです。

この場合も、

「個人事業をしている=絶対に常勤性が認められない」

という単純な話ではありません。

しかし、建設業許可を申請する会社に本当に常勤しているのか、他の事業との時間的な両立が可能なのかなど、実態を確認する必要があります。

 

7.常勤性は「社会保険」などから確認されることがあります

常勤性を確認する際には、社会保険の加入状況なども重要な資料となります。

例えば、

  • 健康保険・厚生年金の加入状況
  • 雇用関係を示す資料
  • 住民票
  • 出勤状況
  • 給与の支払い状況
  • その他、勤務実態を確認できる資料

などです。

ただし、社会保険に加入していることだけで常勤性が自動的に認められるわけではありません。

逆に、社会保険の状況だけで判断するのではなく、実際の勤務実態を含めて総合的に判断されます。

 

8.「名前だけ役員」は危険で

建設業許可のために、

「とりあえず父親を取締役に入れておこう」

「以前建設会社を経営していた人を役員にすればいい」

というような考え方は注意が必要です。

経営業務の管理責任者には、単に役員として登記されているだけではなく、一定の経営経験や常勤性など、法律上の要件があります。

さらに、許可取得後も、その要件を満たす状態を維持する必要があります。

つまり、

「許可を取るときだけ条件を整える」

という考え方ではなく、

「許可を取得した後も継続して要件を満たせる体制を作る」

ことが重要です。

 

9.経営業務の管理責任者が退職するとどうなる?

もう一つ重要なのが、経営業務の管理責任者が退職した場合です。

例えば、

「社長が高齢になったので退任する」

「経営業務の管理責任者になっていた取締役が退職する」

という場合です。

その結果、建設業許可の要件を満たす人がいなくなると、許可の維持に影響する可能性があります。

そのため、経営者の交代や役員変更を行う場合には、

「登記の変更だけを考える」のではなく、「建設業許可の要件を引き続き満たせるか」

まで確認することが重要です。

特に事業承継や親族への代表者変更を予定している会社では、早めの準備をおすすめします。

 

10.「常勤性」は書類だけでなく実態が重要

経営業務の管理責任者については、

「登記簿に役員として載っている」

「社会保険に加入している」

といった書類上の形式だけではなく、実際にその会社で経営業務に従事しているかという実態が重要です。

建設業許可の申請では、形式と実態が一致していることが大切です。

無理に書類を整えるのではなく、

  • 誰が経営しているのか
  • 誰が日常的に会社に勤務しているのか
  • 他社との兼任はないか
  • 社会保険の加入状況はどうなっているか
  • 将来も要件を維持できるか

を一つずつ確認することが重要です。

 

まとめ

経営業務の管理責任者については、「経営経験があるか」だけでなく、「常勤性があるか」も重要なポイントです。

特に注意したいのは、

  • 他社の代表取締役を兼任している
  • 複数会社の役員を兼任している
  • 別の事業を営んでいる
  • 遠方に居住している
  • 実際には会社にほとんど勤務していない
  • 事業承継などで役員が交代する

といったケースです。

建設業許可は、「許可を取れるか」だけでなく、「許可を維持できるか」まで考えておくことが大切です。

「この人を経営業務の管理責任者にして大丈夫?」

「社長が2社の代表を兼任しているけれど問題ない?」

「事業承継で社長を交代しても建設業許可は維持できる?」

このようなケースでは、申請前に専門家へ確認しておくと安心です。

一般建設業許可しかないのに大型案件を受注しても大丈夫?知っておきたい「特定建設業許可」の境界線

「大型の工事を受注することになったけれど、当社は一般建設業許可しか持っていない。大丈夫だろうか?」

建設業者の方から、このようなご相談をいただくことがあります。

結論からいうと、工事の請負金額が大きいという理由だけで、直ちに特定建設業許可が必要になるわけではありません。

一般建設業許可と特定建設業許可の違いは、基本的には**「元請として受注した工事について、いくらの工事を下請に出すのか」**によって判断します。

 

1.大型工事だから特定建設業許可が必要、ではない

例えば、元請として1億円の工事を受注したとします。

「1億円の工事だから、一般建設業許可ではできないのでは?」

と思われるかもしれません。

しかし、これは必ずしも正しくありません。

令和7年2月1日以降、発注者から直接請け負った工事について、下請契約の合計額が5,000万円以上(建築一式工事の場合は8,000万円以上)となる場合には、特定建設業許可が必要となります。

つまり、判断のポイントは元請工事の請負金額そのものではなく、下請に出す金額です。

例えば……

1億円の工事を元請として受注した会社が、

  • 下請A社 2,000万円
  • 下請B社 1,500万円
  • 下請C社 1,000万円

合計4,500万円を下請に出す場合。

この場合、下請契約の合計額は5,000万円未満です。

したがって、他の要件を満たしていることを前提として、一般建設業許可で対応することが可能です。

一方、

  • 下請A社 3,000万円
  • 下請B社 2,500万円

合計5,500万円を下請に出す場合には、特定建設業許可が必要となります。

 

2.「大型案件を受注できない」ということではありません

ここが非常に重要です。

一般建設業許可だから、請負金額の大きな工事を受注できない、ということではありません。

例えば、1億円、2億円という大型工事であっても、下請に出す金額が特定建設業許可を必要とする基準を超えないのであれば、一般建設業許可で請け負うことができます。

そのため、

「大型案件が入ったから、すぐに特定建設業許可を取得しなければならない」

という判断は早計です。

受注金額だけではなく、その工事をどのような施工体制で完成させるのかを確認する必要があります。

 

3.下請に出す金額は「合計額」で考える

特定建設業許可が必要かどうかを判断する際には、下請契約の金額を合計して考える必要があります。

例えば、

  • A社 2,000万円
  • B社 1,500万円
  • C社 1,800万円

であれば、

2,000万円+1,500万円+1,800万円=5,300万円

となります。

この場合、建築一式工事業以外であれば、5,000万円以上となるため、元請会社には特定建設業許可が必要となります。

また、下請契約の金額は、複数の下請契約に分かれていても合計して判断します。国土交通省の資料でも、特定建設業許可の要否は下請に発注する金額によって判断することが示されています。

 

4.令和7年2月1日から金額が変わっています

ここは建設業者の方にぜひ知っておいていただきたいポイントです。

令和7年2月1日から、特定建設業許可が必要となる下請代金額の基準が引き上げられました。

現在の基準

建築工事業以外

5,000万円以上

建築工事業

8,000万円以上

以前は、

  • 建築工事業以外:4,500万円
  • 建築工事業:7,000万円

でしたが、現在はそれぞれ5,000万円、8,000万円に引き上げられています。

古い資料や以前のブログ記事を参考にしている場合には、注意が必要です。

5.ただし「請負金額が大きい=何でも一般建設業でできる」わけではありません

ここも注意が必要です。

特定建設業許可の要否とは別に、建設業許可そのものが必要かどうか、また、許可を受けている工事業種が適切かどうかを確認しなければなりません。

例えば、土木工事業の許可しか持っていない会社が、専門工事である電気工事を請け負う場合などには、別途その工事に対応する許可が必要となる可能性があります。

したがって、大型案件を受注する際には、

その工事について必要な業種の許可を持っているか

一般建設業か特定建設業か

下請契約の総額はいくらになるのか

技術者の配置や施工体制に問題がないか

という順番で確認することが重要です。

6.「大型案件を受注したら、すぐ許可変更」ではありません

実務上、よくあるのが、

「今回、1億円の工事を受注することになったので、一般建設業から特定建設業に変更したい」

というケースです。

しかし、実際には受注金額だけを見て判断するのではなく、下請契約の予定額を確認することが重要です。

例えば1億円の工事でも、下請への発注が4,000万円であれば、特定建設業許可の基準には達しません。

反対に、工事全体が1億円であっても、下請への発注額が5,000万円以上になるのであれば、特定建設業許可が必要となります。

つまり、

「工事がいくらなのか」ではなく、「その工事をどのように施工するのか」

を見る必要があります。

 

7.大型案件を受注する会社ほど、事前確認が重要です

大型工事では、受注後に「実は特定建設業許可が必要だった」ということになると、施工体制そのものを見直さなければならなくなる可能性があります。

そのため、契約を締結する前に、

  • 工事の種類
  • 元請・下請の関係
  • 工事全体の請負金額
  • 下請予定額
  • 下請業者の数
  • 自社施工する部分
  • 技術者の配置
  • 施工体制台帳等の要否

などを確認しておくことをおすすめします。

特に大型案件の場合、「受注できるか」だけではなく、「その施工体制で適法に完成させられるか」まで考えることが大切です。

 

まとめ

一般建設業許可しか持っていない会社でも、大型工事を受注すること自体が直ちに問題になるわけではありません。

重要なのは、

「元請として受注する工事の金額」ではなく、「その工事について下請に出す金額」

です。

令和7年2月1日以降は、

  • 建築工事業以外:下請契約の合計5,000万円以上
  • 建築工事業:下請契約の合計8,000万円以上

の場合、原則として特定建設業許可が必要となります。

大型案件の受注が決まったときこそ、契約前に許可の種類と施工体制を確認しておきましょう。

「この工事は一般建設業許可で大丈夫なのか?」

判断に迷われた場合は、工事の請負金額だけで判断せず、下請に発注する予定額まで含めて専門家に確認することをおすすめします。

建設業許可「500万円未満の軽微な工事」の正しい計算方法とは?

「請負金額だけ見れば大丈夫」は大きな間違いです

建設業許可の相談で非常に多い質問があります。

「工事代金が500万円未満なら建設業許可は不要ですよね?」

実は、この考え方は半分正解で半分間違いです。

500万円未満かどうかの判断には、建設業法独自のルールがあります。

今回は、多くの事業者が勘違いしている「500万円未満」の正しい計算方法を分かり

やすく解説します。

 

軽微な建設工事とは?

建設業法では、次の工事を「軽微な建設工事」としています。

建築一式工事以外

1件の請負代金が500万円未満

建築一式工事

  • 1件1,500万円未満
    または
  • 延べ面積150㎡未満の木造住宅

この範囲であれば、原則として建設業許可は不要です。

 

消費税込みで500万円を判断する

一番多い勘違いです。

500万円とは

「税込価格」

で判断します。

例えば

税抜価格 税込価格 許可
450万円 495万円 不要
454万5千円 499万9,500円 不要
460万円 506万円 必要

つまり

税抜500万円ではありません。

税抜460万円でも税込では500万円を超えるため、建設業許可が必要になります。

 

発注者支給材料も含める

これも非常によくある誤解です。

例えば

施工費

300万円

材料

施主(発注者)が250万円分を支給

業者は

「私は300万円しか受け取っていない」

と思いがちですが、

建設業法では

300万円+250万円=550万円

として判断します。

つまり

建設業許可が必要

になります。

しかも、

材料は

市場価格

で計算します。

 

材料の運送費も加算

支給材料には

  • 運送費

も含めます。

例えば

施工費 380万円

支給材料 90万円

運送費 40万円

合計

510万円

この場合も建設業許可が必要です。

 

契約を分けても合算される

こんな相談もあります。

「250万円ずつ2回契約にすれば許可はいりませんよね?」

答えは

原則としてNOです。

工事完成を目的として

不自然に契約を分割した場合は

250万円

+250万円

=500万円

として判断されます。

契約を分ければ許可が不要になるわけではありません。

本体工事と付帯工事は合算されることになります。

逆に、工事の内容・場所・時期が明確に別であれば、契約を分割すること自体は問題

ありません(例:同じ建物でも時期がずれた別工事、場所が異なる別現場など)。

実際によくあるケース

ケース①

施工費490万円(税込)

支給材料なし

許可不要

——————————————————————————————-

ケース②

施工費450万円(税込)

支給材料80万円

→530万円

許可必要

——————————————————————————————-

ケース③

施工費300万円

材料180万円

運送費40万円

→520万円

許可必要

——————————————————————————————

ケース④

260万円契約

240万円契約

同一工事

→500万円

許可必要

 

「手間請けだから大丈夫」は危険

最近多いのが

元請から

「材料はこちらで用意するので施工だけお願いします。」

というケースです。

施工費だけ見ると

300万円

400万円

ですが、

材料費を加えると600万円になることも珍しくありません。

この場合は

無許可営業になる可能性があります。

 

判断を間違えると…

無許可で500万円以上の工事を請け負うと、

建設業法違反となるおそれがあります。

また、

将来建設業許可を取得する際にも、

過去の契約内容を確認されることがあります。

「知らなかった」では済まされないケースもあるため、契約前の確認が重要です。

無許可で500万円以上の工事を請け負うと、3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金の対象になります。

まとめ

500万円未満の軽微な工事であっても、他法令による登録や届出が免除されるわけ

ではありません。

解体工事を行う場合:500万円未満でも「解体工事業登録」が必要

電気工事を行う場合:500万円未満でも「登録電気工事業者」の登録が必要

500万円未満かどうかは、単純に契約書の金額だけでは判断できません。

確認すべきポイントは次の4つです。

  • 請負金額は税込で判断する
  • 発注者支給の材料費を加算する
  • 運送費も加算する
  • 契約を分割しても合算される場合がある

建設業許可の要否を誤って判断すると、思わぬ法令違反につながる可能性がありま

す。

工事を受注する前に、正しい計算方法を確認することが大切です。

 

株式会社アイカ建設 様

 

土木工事業

とび・土工工事業

解体工事業

許可年月日:令和8年7月17日

ご紹介よりご依頼いただきました。

合同会社ゼアレット技研 様

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

とび・土工工事業

許可年月日:令和8年3月13日

新潟市秋葉区

HPからご依頼を頂きました。

有限会社一真ワークス 様

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

内装仕上工事業
建具工事業

許可年月日:令和8年1月23日

新潟市東区

HPからご依頼を頂きました。

建設業の許可に関するお問い合わせ
お電話でのお問い合わせ

「建設業のホームページを見た」とお伝えください。

           
受付時間:平日9:00-12:00 / 13:00-17:45(土日祝休み)
メールでのお問い合わせ

    ページトップへ戻る