自宅を営業所として建設業許可を取ることはできるのか。

ご相談事例

個人で建築事務所営んでおり、私名義の自宅の一室を事務所として使用しています。事務作業は妻が手伝い、他に従業員はいません。建設業許可を取得するには、自宅では難しいと聞いたことがあります。自宅以外の場所に事務所を移さないと建設業許可を取得することはできませんか。

 

 

回答

ご相談者様のように、人を一人も雇っていない場合は、個人・法人に関わらず、自宅の一室や一部を事務所として業務を行っているケースは少なくありません。結論からいいますと、「営業所」としての実態を確認できる資料をそろえることが出来れば大丈夫です。今回のご相談者様のケースでは、次の書類を提出し、自宅の一室が「営業所」であることが認められ建設業許可を取得することができました。

 

 

 

営業所の確認書類

1.  建物謄本(法務局にて取得します)

2.  建物図面(建物内のどこを事務所として使用しているかをわかるように示します)

3.  使用承諾書(事務所の使用については、賃貸契約を結んでいなかったので、使用権原を確認できる書類として作成しました)

4.  写真(建物の外観、看板、事務所内を撮影したもの)

 

 

建設業許可を申請するための許可要件の一つに「営業所」があります。

この営業所について詳しくご説明いたします。

 

建設業許可の「営業所」とは

常時建設工事の請負契約のための見積、入札、契約締結に係る実体的な行為を行う事務所をいいます。また、他にある店舗や営業所に対し請負契約に関する指導監督を行うなど、建設業に係る営業に実質的に関与する場合も、「営業所」になります。

次のような事務所は「営業所」としては認められません。

  • 建設業に関係のない本店、支店及び営業所
  • 単なる登記上の本店
  • 単なる打合せスペース
  • 現場の作業事務所

 

営業所の要件とは

  • 請負契約のための見積、入札、契約締結に係る実体的な行為をおこなっていること。
  • 営業所の使用権原があること
  • 看板、標識等を設置していること
  • 備品が揃っていること。(デスク、パソコン、コピー機等)
  • 自宅兼事務所の場合、居住用とは明確に分けていること。
  • 経営業務の管理責任者が常勤していること
  • 専任技術者が常勤していること

 

確認書類とは

要件が満たしているかどうかは、書類の提出により証明します。

営業所の使用権原を確認する書類

(1)自社所有の場合、以下のいずれか1点

・営業所建物の不動産登記簿謄本

・営業所建物の資産評価額証明書

(2)賃貸の場合、以下のいずれか1点

・営業所建物の賃貸借契約書

・公共料金の領収書(賃貸借契約書がない場合)

 

営業所の写真

・営業所の看板を含め、建物の全景を撮影したもの

・執務室内を撮影したもの

・周辺状況も含め、標識(法第40条)の設置場所が確認できるよう撮影したもの

・記載内容が判読できるように標識をアップで撮影したもの

・営業所名が表示された入口等を撮影したもの

・フロア案内を撮影したもの(ビル内に営業所を設けている場合に限る)

 

 

トラスト行政書士事務所では、多くの経験と実績により、「営業所」として要件を満たしているか確認・アドバイスさせていただきます。写真撮影や図面作成もお受けいたします。是非ご相談ください。

個人事業主の経営経験の年数が足りない場合、建設業許可は取得できないのか。

弊所でご相談頂き、建設業許可を取得されたケースです。

相談者様は、3年前に独立し、主に配管工事業を営んでおりました。元請け業者から「これからは、建設業許可を持っていないとなかなか仕事が出せなくなる」と言われて、建設業許可について調べてみたところ、どうやら自分は経営経験の年数が足りていないので、許可をとることは難しいということがわかりました。それでもなんとかして建設業許可を取ることはできないものか。という理由でご相談に来られました。

建設会社で2年勤めてから転職し、個人経営の建設業者で15年勤めたのち独立。役員経験や補佐経験は一切無いということでした。

 

経営者としての経験も経営を補佐した経験もないのにどうやって許可を取得することができたのか。

お話を伺っていくと、既に会社を退職された相談者様のお父様が建設会社で長年役員をされていたということがわかりました。

相談者様は「建設会社の役員をしていたと言っても、自分とは違う電気工事を請負う会社だったため、まさか父親の経験が生かせるとは思ってもみませんでした。」とおっしゃっていました。

もちろん、お父様の経営経験の年数が要件を満たしているからといって、すぐに許可を申請できるわけではありません。相談者様は、個人事業主であったため、個人事業主の場合は、経営経験や補佐経験が事業主になければならないからです。

 

そこで、ご提案したのが、個人事業を法人化し、お父様を役員として迎え入れることです。

ただし、法人化については、顧問先の税理士の先生にもご相談頂くようお願いしました。お父様についても、親子とはいえ役員として就任していただき、重要な立場になられる訳ですから、慎重にお考え頂きたいとお伝えしました。

 

数日後、ご相談者様から連絡があり、「会社を設立することを、税理士事務所に相談したところ、事業も軌道に乗ってきたところでもあり、法人化することは問題ないと言っていただきました。私も今が法人化にするいいチャンスではないかと思いました。父も、第二の人生に生きがいができたと役員を引き受けてくれることになりました。」

相談者様はお父様ととても良好な関係にあり、お父様も相談者様の経営を常に気にかけていらしたということでした。

こうして、会社設立と建設業許可申請の手続きを同時に進め、無事に新規許可を取得することができました。

 

 

建設業許可の要件を「自分で調べた」、「既に許可を取得している同業者に話をきいた」、結果、許可の要件を満たしていないからと建設業許可の取得をあきらめていませんか。

多くの実績をもつトラスト行政書士事務所に是非一度ご相談ください。

弊所では、司法書士事務所も併設しておりますので、会社設立と建設業許可の手続きを同時に進めることが可能です。一度のご来所で会社設立と建設業許可のご相談をお受けすることが出来ますので、お客様の貴重な時間を節約することができます。

 

 

合同会社か株式会社か

これから建設業で起業する方、または個人事業として既に建設業を営んでいる方が法人化し会社を設立するという場合に、株式会社と合同会社どちらがお勧めなのでしょうか。

 

私たちの事務所でお手伝いをさせていただく場合は、圧倒的に株式会社の方が多いですし、株式会社をお勧めしております。

 

株式会社の方が合同会社と比較しても知名度・信用が高い

仮にあなたが一般の方の立場で自宅のリフォーム工事や修繕工事を依頼する場合に、株式会社○○と合同会社▲▲からほぼ同額の見積もりで担当者の対応も同じだとしたらどちらに発注しますか。

やはり、株式会社の方が安心できるのではないでしょうか。

 

株式会社は合同会社より設立費用が高い

株式会社を設立する場合は約30万円、合同会社を設立する場合は約15万円となっており、約倍であり、15万円程の差があります。

ただし、設立後のランニングコストについてはほぼ同額になります。

株式会社、合同会社設立件数

令和2年 令和3年 令和4年
株式会社 85,688 95,222 92,371
合同会社 33,236 37,072 37,127

 

最近は合同会社の設立が増えてきておりますが、やはり設立時の金額が安いというところに理由があると思われます。

 

たとえば、飲食店や美容室等は合同会社でも全く問題ありません。皆さんが食事に行くときに、そのお店が株式会社なのか合同会社なのかは関係ないですよね。

 

そもそもお店の名前には会社名が記載されてなく株式会社なのか合同会社なのかわかりません。

しかし、建設会社においては発注した会社が信用の置ける会社なのかということが重要になってきます。

最近は、建設会社を合同会社で設立した方が株式会社への変更するという依頼を多くいただいております。

会社設立時の僅か15万円程度の費用よりも後々のことも考え「信用」を大切にすべきでしょう。

 

建設会社が会社設立する場合の目的(定款)

会社を設立する場合には、定款という会社の規則を定めた書類を作成しなければなりません。

この定款の中に「目的」という項目があります。

 

目的というと

「地域社会に貢献する」

「地域で一番の住宅会社になる」

というようなイメージがあるかもしれませんが、ここは少し違います。

 

たとえば

「土木工事業」

「リフォーム工事業」

などの取扱業務を記載するような感じになります。

 

あくまでも私の感想、意見になりますが、今まで多くの建設業者様のお手伝いをしてきましてこの目的部分を見ると優良企業かどうかを判断することができます。

 

定款に記載する「目的」は、現在行っている事業だけでなく、将来行う予定の事業を記載することができます。

たとえば、当初は「下水道工事」を行い、近い将来「産業廃棄物収集運搬業」を行いたいと考えていたとします。

現在行っている事業のみ定款で定めるということになると、新規業務を行う時点で定款変更や変更登記の費用が追加で必要になります。

 

そこで通常、会社設立時に司法書士から「将来行う可能性がある事業をあらかじめ記載することによって費用を軽減できますよ」といったアドバイスを受けることになります。

この司法書士のアドバイスは全く間違いではないのですが、ここぞとばかりに目的を20個も30個も定める会社があります。

大谷翔平でさえ二刀流です。

建設業もやってインターネット通販もやって飲食店もやって上手く行くでしょうか。

一つの事業が上手くいかない人が、二つ三つの事業を成功させることは難しいということになります。

 

私の経験上、建設会社で優良企業とされる会社はこの目的が2~3個というケースが多いです(大規模な会社を除く)。

やはり、軸がしっかりしているということなのでしょう。

 

会社の定款の目的と言うより、いかに本業に対して真剣に取り組んでいるかということだと思います。

建設業許可取得に要する事務所の要件

◇建設業許可取得に要する事務所の要件

 

建設業許可を取得する上で、営業所(=事務所)を設置することが必須になります。

建設業許可の申請書では、営業所とする場所の使用権限があるのか、という点と営業所が実在し、事業を行えるような環境であるかどうかを確認するために必要な書類と写真を添付して申請書類として提出します。

 

では、営業所として認められるのはどのようなものなのか、「建設業許可事務ガイドライン」には下記のとおりになっています。

 

 

 

2.営業所の範囲について

「営業所」とは、本店又は支店若しくは常時建設工事の請負契約を締結する事務所をいう。したがって、本店又は支店は常時建設工事の請負契約を締結する事務所でない場合であっても、他の営業所に対し請負契約に関する指導監督を行う等、建設業に係る営業に実質的に関与するものである場合には、当然本条の営業所に該当する。

また「常時建設工事の請負契約を締結する事務所」とは、請負契約の見積り、入札、狭義の契約締結等、請負契約の締結に係る実体的な行為を行う事務所をいい、契約書の名義人が当該事務所を代表する者であるか否かを問わない。

 

出典:「建設業許可事務ガイドライン」(国土交通省) (https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/const/content/001581332.pdf)

 

 

わかりやすくまとめると、

 

請負契約の見積り、入札、請負契約等を発行し、建設業工事に係る業務を行う場所を、建設業法上、営業所となります。

また、営業所自体が請負契約等を行っておらず、他の事務所に対して請負契約に関する指導等の監督を行う場合は営業所として認められることになります。

 

◇営業所としての要件

 

  • 請負契約の見積もり、入札、請負契約等の実態的な業務を行える営業所
  • 電話、机、事務台帳、応接場所が備わっている
  • 他社または住居等と明確に区分されている
  • 経営業務管理責任者または支店長が常勤している
  • 専任技術者が常勤している
  • 営業所としての使用権原を有している
  • 看板、郵便受けに商号・営業所名が表示され外部から建設業の営業所だとわかる

これらの要件をクリアしていることが条件になります。

 

◇「主たる営業所」とは

 

建設業許可の営業所には「主たる営業所」と「従たる営業所」の2種類に分けられます。

 

主たる営業所とは…

・経営業務管理責任者

・専任技術者

が常勤している場所であり、建設業に関する営業を統括する事務所です。

従たる営業所がなく、主たる営業所のみで営業する建設業者が弊所では圧倒的に多いので、一般的には本社や本店といわれるようなところが主たる営業所とされます。

 

しかし、登記上の本店では建設業を営まず、別の事務所が建設業における営業所である場合、建設業許可においては、その営業所のことを事実上の事務所として「主たる事務所」とすることができます。

ここで、気を付けたいところは、

 

・経営業務責任者と専任技術者の常勤

・請負契約等の締結

 

です。これらは営業所で行うことになりますので、会社の代表が経営業務責任者や専任技術者の場合は気を付けなければならないところです。

 

◇「従たる営業所」とは

 

従たる営業所とは、主たる営業所以外で建設業を行う場合必要であり、経営業務管理責任者の代わりに工事請負契約締結等の代理権限を委譲されている者(令3 条に規定する使用人)の常勤が必要となります。

 

また、従たる営業所にも専任技術者の常勤が必要になります。

ですので、従たる営業所1つを設置する場合は、主たる営業所と合わせて専任技術者は2名の方が必要になります。

 

◇営業所として認められないものは?

 

建設業法における営業所には該当しないものは次のとおりです。

 

・単なる登記上の本店

・経理業務等の事務作業を行うだけの事務所

・倉庫

・海外の支店等

 

 

◇申請の提出書類について

 

冒頭でも記載させていただいた通り、建設業許可の提出書類は使用権限があるかどうかの確認と写真(営業所の写真)で判断されます。

新潟県では、自己所有の場合は登記されている場合は、不動産登記簿謄本、未登記の場合は資産評価額証明書の提出が求められますし、賃貸の場合は使用承諾書や賃貸借契約書、公共料金の領収書でも確認資料として認められています。

 

 

◇まとめ

 

建設業許可における営業所の要件をこれまでお伝えしましたが、許可取得後は、建設業許可を受けた業種については、軽微な建設工事(500万円未満の工事)のみを請負う場合でも、届出をしている営業所以外で請負契約(見積・入札など)を締結することはできません。

つまり、基本的に営業所以外での請負契約等はできない、ということです。

逆に取得していない業種については軽微な建設工事しか請け負うことができませんし、営業所以外でも可能になります。

 

また、建設業許可取得後、営業所の住所変更や業種変更、新設は、必ず変更届が必要になります30日以内の届出が必要ですので、提出書類の作成を考えると早くから動き始める必要があります。

 

会社分割(新設分割)をする場合、建設業許可はどうなるのか?

建設業許可を取得して建設業を営んでいる法人が、建設業に関する事業の切り離しを行い、新会社を設立して権利を承継することを『新設分割』といいます。

その際、新会社に建設業許可を引き継ぎたいと考えるのが一般的だと思いますが、新設会社はもともとの法人とは別会社となるので、そもそも引き継ぐことが出来るのかが問題となります。

 

先日、弊所で会社分割(新設分割)のお手続きをご依頼いただいたお客様からも問い合わせがありました。

果たして、建設業許可についても承継できるのでしょうか?

 

承継できるかどうかは許認可によって違う

合併や会社分割といった組織再編を行う際、取得済みの許認可がどうなるかは許認可の種類によって違います。

それぞれの許認可が何に該当するかをまずは確認しなければなりません。

パターンとしては3つ挙げられます。

➀自動的に承継されるもの
事業を承継する際、許認可も承継会社へそのまま承継されるパターン
➁行政庁の承認などが必要なもの
承継することは可能ですが、行政庁の承認を事前に得る必要があるパターン
➂再申請の必要があるもの
会社分割による許認可の承継が認められておらず、新規取得し直す必要があるパターン

 

法律により合併や会社分割で許認可が承継する規定が無い場合は、新たに許認可を取得しなければならないのです。

許認可のことを考えないで、組織再編の手続だけ行うと、後で『許認可が無いから営業ができない!!』なんて大変なことになるので注意が必要です。

 

今までは承継できなかった!?

実はこれまで、建設業者が事業譲渡などの【組織再編(譲渡・合併・分割等)】を行った場合、譲受会社、合併又は分割後の存続会社は許認可を承継することが出来ず、新たに建設業許可を取り直さなければなりませんでした。

そうすると、新たに許可が下りるまでの間、建設業許可の“空白期間”が生じてしまい、建設業を営むことが出来ないという事態に陥ってしまいます。

また、

• 建設業許可番号が変わってしまう
• 建設業許可業者としての地位を引き継ぐことができない
• 経営事項審査の結果を引き継ぐことができない
• 廃業してから新たに許可を取得するまでに500万円以上の工事を受注することができない

 

といった不具合が出てきます。
せっかく、建設業の事業譲渡や、建設会社の合併・分割をして会社の再編を行おうとしているのに、「建設業許可業者の地位を引き継げない」「新たな許可を取得するまでは未許可業者になってしまう」というのでは、会社を再編するメリットが失われてしまいます。
そして、「建設業許可」を引き継ぐことができず、新たに建設業許可を取得しなおさなければならなかったので、手続きも2度手間になります。

 

しかし、令和2年10月1日に施行された改正建設業法により、

建設業許可に関する会社分割に関する制度が新設されました。
この改正により、【組織再編】を行う場合は、あらかじめ事前の認可を受けることで空白期間を生じることなく、元の会社の建設業者としての地位を承継することができるようになりました。

つまり、これまでできなかった建設業許可の承継が可能となったのです。

※なお、この事前認可においては、承継する会社が建設業の許可要件を備えていることが必要です。

 

認可手続きの流れ(新潟県の場合)

1 事前相談

2 申請書提出(効力発生日の30日以上前)

3 審査

4 認可

5 通知書送付

6 後日提出資料の提出

 

新潟県の場合、空白期間を無くすよう許可を取得するためには最低でも30日以上前に申請書類一式を提出する必要があります。

その前に官公庁との事前協議が必須となりますので、2~3か月前には手続き着手する必要があります。

スケジュールに余裕をもってご相談ください。

 

認可申請の条件

認可申請ができるのは、分割会社(元の会社)と承継される新会社の双方が新潟県知事許可業者、又は建設業を営む営業所が新潟県内にのみある場合に限ります。

 

元の会社と承継される新会社のいずれか一方でも、新潟県以外の許可を受けた建設業者である場合は、国土交通大臣の認可が必要となりますのでご注意下さい。

 

◇承継可能な業種について

許可を取得している業種のうち、一部の業種だけを承継することはできません。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

不可能

 

 

 

 

 

 

 

 

 

◇引き続き使用できる番号について

分割会社(元の会社)の許可番号が引き継がれます。

ただし、複数の建設業許可業者間での分割(承継)が行われる場合は、引き継ぐ許可番号の選択が可能です。(官公庁との事前協議が必須となります。)

 

◇効力発生日以降の決算報告書について

分割される新会社は、分割会社(元の会社)の建設業許可業者としての地位を承継することとなるため、分割会社(元の会社)の決算報告を提出する義務があります。

分割日時点で分割会社(元の会社)の未提出の決算報告がある場合は、分割される新会社がその分の決算報告を提出する必要があります。

 

◇専任技術者について

承継される許可業種の専任技術者は、分割した日以降も原則として業種毎に同じ専任技術者が引き続き常勤する必要があります。

もし異なる専任技術者を置く場合、分割日から2週間以内に変更届を提出しなくてはなりません。

 

◇認可後の許可の有効期間

分割当日から許可は有効です。許可の有効期間は分割の日の翌日から5年間となります。

 

◇承継の範囲

“建設業者としての地位を継承する”とは、建設業の許可を受けたことで発生する義務や権利のことで、承継した側は承継された側と同じ立場になります。

したがって、承継された側が受けた【監督処分】や【経営事項審査の結果】についても承継することになるので、注意しましょう。

 

一方、罰則については、罰則の構成要件を満たす違反行為を行った法人に対して刑罰を科すものであるため、承継されることはありません。

 

 

 

まとめ

今回ご依頼いただいたお客様は前もってご相談頂いていたので、空白期間なく許可を承継することが出来ました。

 

会社分割は手続きに長期間を要します。

官公庁においても審査に時間がかかると思われますので、あらかじめ余裕をもって準備し、事前協議する必要があります。

 

また、あまり多いケースではないため、手続きに戸惑ったり大切なポイントを見落としていたなんてことにならないよう、慎重に進めなくてはなりません。

そして、法令や運用は変わる可能性がありますので、組織再編をする際は、常に最新の法令や運用を確認する必要もあります。

 

ぜひ、経験豊富なトラスト行政書士事務所にご相談ください。

辞任(退任)した役員が建設業許可の経管者(経営業務の管理責任者)だった。

更新許可の申請をご依頼頂いたお客様のケースです。

 

新規のお客様より更新許可のご依頼を頂きました。はじめての更新ということでした。

とび・土工・コンクリート、内装仕上、電気工事業の3業種を取得されており、お預かりした書類の確認をすすめていくと、あることに気付きました。少し前に役員1名が辞任しており、変更届は提出されていない状態でした。更に、辞任した役員は経管者(経営業務の管理責任者)であり、取得している建設業許可3業種中(とび、内、電)、1業種(電)の専任技術者であることがわかりました。

 

幸いなことに残る役員の内、1名が経管者(経営業務の管理責任者)の要件を満たしていました。

専任技術者についても従業員の中に資格保有者がおりましたが、もともとこの業種については廃業する予定で役員も辞任されたということでしたので、今回は更新許可を申請する前に、経管者の交代、役員の辞任、専任技術者(電)の削除、業種(電)の一部廃業の変更届を提出し更新の許可を受けることができました。

ご依頼頂いたお客様は、更新許可については期限前に確実に申請しなければならないことはわかっていたけど、それ以外に変更届を提出が必要なことは全く頭になかったということでした。

 

 

このように、建設業許可の経管者(経営業務の管理責任者)であることをうっかり忘れて、辞任(退任)登記を申請してしまい、経管者(経営業務の管理責任者)が不在になってしまった。専任技術者であることをうっかり忘れて交代できるものがいないまま退職を受理してしまい、専任技術者が不在となってしまった場合、どうなるのでしょうか。

 

 

建設業許可は、「経管者(経営業務の管理責任者)」や「専任技術者」が1日でも不在となれば、要件を満たさなくなり許可の取り消しとなります。

許可が取り消しとなれば、請負金額500万円以上の工事(建築一式は1500万円以上)を請負うことができなくなります。契約後であれば、関係者に多大な迷惑をかけてしまうことになり、取引先からの信用を失い、経済的な損害を被るリスクを伴います。うっかりでは済まされません。しかし、要件を満たす者が他にいれば、交代してから2週間以内に変更届を提出し、建設業許可を継続することができます。

 

 

経管者(経営業務の管理責任者)の辞任

法人の場合

  • 5年以上の建設業の経営経験(取締役経験)のある常勤取締役が複数名在籍している場合は、適任者を選ぶ。
  • 外部から要件を満たす人を招き常勤役員として取締役に就任させる。

法人・個人事業主の場合

  • 準ずる地位(一定期間の経営業務を補佐した経験がある)に該当する者に交代する。

個人事業の場合

配偶者や子供、共同経営者など長年補佐してきた者が該当します。

法人の場合

役員に次ぐ職制上の地位にある人であり、取締役会設置会社の執行役員や建設業において業務を行っている部長などです。

この場合、地位や経験を証明する書類が必要になります。役員や個人事業主の経験を証明するより書類も多く、難易度が高いと言えます。

※必要な書類については各都道府県によって異なります。

 

 

専任技術者の辞任

次のいずれかの要件を満たす者を選任する。(一般建設業の場合)

  • 指定学科修了者で高卒後5年以上もしくは大卒後3年以上の実務の経験
  • 指定学科修了者で専門学校卒業後5年以上実務の経験、もしくは専門学校卒業後3年以上実務の経験に加えて専門士か高度専門士の称号
  • 許可を受けようとする建設業に係る建設工事で10年以上実務の経験
  • 国家資格者

 

 

次期経営者になりうる人材の育成、従業員に国家資格を取得させる、所定の学科を卒業した者の雇用など、経営者は突然の辞任や退職に備えた早めの対策を考えておかれることをおすすめします。

また、役員変更登記についても、通常、司法書士事務所では、お客様より依頼された通りに手続きをします。よって、許認可に不慣れな司法書士事務所では、役員の辞任について全く疑問に思わないことも少なくありません。許認可をお持ちの事業者様は、許認可に詳しい司法書士事務所にご依頼されることをおすすめします。

 

 

更新・業種追加の許可を申請できないケース

新規申請は行政書士事務所に依頼して取得できたから、その後の更新や業種追加などの申請は、費用を抑えるために事業者様自身で手続きを行いたいとお考えの場合も多いと思います。そんなとき、次にあげる手続きしていないことで許可の申請を受付けしてもらえなかったということがないように注意しましょう。

 

 

◇毎事業年度終了後に決算変更届を提出していない

事業年度終了後4か月以内に事業税の納税証明書と共に提出します。

納税証明書の発行期限が過ぎていて、発行してもらえない場合は、始末書を提出しなければなりません。

弊所に新規で更新をご依頼いただく中で最も多いケースです。提出されていない決算期分が多いほど、ご準備頂く書類も増え、作成にも大変時間がかかります。

 

◇変更届を提出していない

 

・役員の就任、辞任、重任登記

新たに役員が就任した場合は、会社謄本の他に新役員の登記されていないことの証明者や身分証明書を提出します。

 

・本店移転

移転先の事務所の使用する権限に関する書面(賃貸契約書、使用承諾書等)や、事務所の外観、内部の写真を提出します。内部の写真では、事務机やPC、応接室(あれば)の他に許可票が事務所のどの位置に掲示されているかがわかるように撮影した写真も提出します。

 

・商号変更  等

商号変更した後で許可を申請する場合、社会保険や雇用保険の商号を変更したことが確認できる書類も必要になります。

変更内容によっては、添付書類の取得に時間のかかるものもあります。

 

・常勤役員等(経営業務管理責任者)や専任技術者が既に退職しているが、交代の変更届を出していない

事実発生時より2週間以内に変更届を提出します。

要件を満たした者がいない場合は、廃業届を提出し、許可は取り消しとなり、新たに要件を満たしてから「新規」で許可を申請し直すことになります。

 

◇役員、株主等が欠格要件に該当しているが、変更届を提出していない

正直に廃業届を提出しない場合、重い罰則がありますので注意が必要です。

  • 業種追加の申請で、新規許可を取得してから一度も更新を迎えておらず、直近の決算書の純資産が500万円未満であり、500万円を調達できない場合(500万円以上の残高証明書を発行できない)

更新後に申請するか純資産500万円以上の決算書や残高証明書を取得できるようになるまで申請できません。

 

 

他にも必要な書類がひとつでも不足していると許可を受付けてもらえません。

例えば、役員の身分証明書。これは本籍地のある市町村で発行してもらいます。

本籍地が遠方であることを知らずに申請ギリギリで取得しようとすると大変時間がかかってしまいます。後日提出しますという訳にはいかないので、時間に余裕を持って準備をしましょう。

 

至急業種追加の申請をしてほしい、更新期限が迫っているので早く手続きをしてほしいというご依頼に限って、過去の届出を怠っているというケースが多くみられます。

今後、至急業種を増やさなければならないといった場合も大いにあり得ます。各種変更届については、期限内に提出するように心がけましょう。

 

 

 

 

建設業で成功する方の特徴

私は、約20年前から行政書士として建設業者様のお手伝いをしてきました。数多くの手続きをする中で「成功する人」はどのような方なのかについて感じたことをお話いたします。

 

  • 社交的である

これは、建設業だけではなく、経営者だけではなく「人として」成功するには共通の事項であると思いますが、成功している方はほぼ当てはまります。

 

  • 計画性がある

建設業として起業するにあたり、場当たり的ではなく、計画性をもって居ることが重要であると感じます。

何年も前から起業に向けて準備をし、資金も用意している人がいる反面、急な思い付きで預貯金もほとんどなく起業する人がいるのも事実です。

果たしてどちらが成功する確率が高いでしょうか。答えは明らかです。

 

  • 誠実である

当たり前のことですが、工期を守る、法令遵守、品質の良い仕事をする。

残念ながらこの当たり前のことができていない人が多いという印象を受けます。

 

  • 従業員を大切にする

建設業は、他の業界と比較しても「人手不足」が深刻です。従業員を「経費」として捉え、できるだけ安くという社長さんがいるのも事実です。

逆に自社で働く従業員の待遇改善を考えている社長さんの会社は業績が伸びている印象を受けます。

 

  • 異業種に手を出さない

私の知る限りでは、建設業の方が異業種に進出した場合、かなりの確率で失敗しています。仮に、失敗したとしてもその失敗の責任を社長が取り、社長自身の給与を下げる等の対応をとるのであればよいのですが、最悪なのは、社長の失敗なのに従業員の給与や賞与が減額になる等の場合です。

最悪、組織崩壊につながりますので十分注意をしてください。

 

 

以上「建設業で成功する方の特徴」について参考にしていただければと思います。

建設業で「廃業したい」「辞めたい」とお考えの社長さん

建設業を経営している社長さんで

「もう、仕事辞めようかな」

「もう会社経営に疲れたな」

という方もいらっしゃると思います

 

でも、いざ会社を畳むとしても

「取引先に迷惑が掛からないだろうか」

「従業員の今後の生活は」

「子供は継ぐ意思がないし、後継者もいない」

等の悩みがあるのではないでしょうか。

 

 

今回は、建設業を経営されている方向けに「事業承継」について説明したいと思います。

一般的には、事業承継として大きく3つの方法挙げられます

 

◇親族内承継

お子さん等に承継させる場合です。この親族内承継を望む方が多いと思うのですが、お子さんにその意思がないというケースが増え、年々割合は減少し、現在では30%程度まで減少しているようです。

 

メリット

・社内や取引先等周囲の理解、納得を得られやすい

「社長の子供が後を継ぐ」というのは、一般的には常識のとなっているので周囲の理解が得やすいということになると思います。

・株の承継に関し「贈与」「相続」「売買」等の複数の選択肢があり、税金面でも有利です。

 

デメリット

・親族の中に適任者がいるとは限らない

たとえば「長男だから」という理由で承継させた場合、資質がなく経営悪化ということもあります。

・相続人が複数いる場合、株の承継に関し相続問題が起こる可能性があります。

 

◇親族外承継

親族の中に適任者がいない場合に、役員や従業員の中から適任者を選任するケースです。

 

メリット

・親族でなくても会社を承継できるということは、従業員にとって夢のある会社ということになります。

 

デメリット

・株を買い取る必要があるため資金が必要になります。

・会社に負債がある場合、株だけでなく「負債の個人保証」も新代表者が引き継ぐことになります。

・従業員の中から「新社長」が誕生した場合、それまでの社内の序列が入れ替わることにより「軋轢」が生じる可能性があります。

 

 

◇M&A

親族や従業員に適任者がいない場合に、第三者に譲渡するケースです。

 

メリット

・親族や従業員等が承継する場合に問題となる「資金面」の心配がいらない。

・旧オーナーは個人保証等の問題から完全に開放される。

 

デメリット

・必ずしも希望額での買い手が見つかるとは限らない

・オーナーが替わることにより取引先の理解を得られない場合がある

・会社の待遇、方針が変わることにより退職者が出る場合がある

 

◇廃業

廃業とは、事業を廃止し、会社を閉じることです。

 

メリット

・なし

 

デメリット

・残余財産がある場合、みなし配当となり①~③と比較して多くの税金がかかる

・従業員の雇用が守られず、又補償に多額の費用が掛かる

 

 

いかがでしたでしょうか

「もう仕事を辞めたい」と思っても、その辞め方にはいくつかの方法があり、それぞれメリット・デメリットがあります。

私たちは新潟の建設業者様の廃業・事業承継を支援しております。

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