会社分割で建設業許可は承継できるのか?

会社の事業再編や事業承継の方法の一つに「会社分割」があります。

例えば、複数の事業を営んでいる会社が、建設業部門を切り離して新会社を設立するケースです。

このような場合、会社分割によって建設業の事業を新会社へ移すことはできますが、問題になるのが建設業許可の取扱いです。

「会社分割をした場合、建設業許可も新会社に引き継げるのでしょうか?」

「新設分割で設立する会社は、改めて建設業許可を取得する必要がありますか?」

「会社分割によって建設業許可番号は変わりますか?」

「建設業許可を承継するためには、どのような手続きが必要ですか?」

実際に、当事務所で会社分割の手続きをご依頼いただいたお客様からも、建設業許可の承継についてご相談をいただいたことがあります。

結論から申し上げると、会社分割によって建設業許可を承継することは可能です。

ただし、会社分割をすれば自動的に建設業許可が引き継がれるわけではありません。

原則として、会社分割の効力が発生する前に、許可行政庁から建設業許可の承継認可を受ける必要があります。

今回は、新設分割を中心に、建設業許可の承継制度、認可申請の要件、手続きの流れ、注意点について詳しく解説します。

1.会社分割とは?

会社分割とは、会社が営んでいる事業に関する権利義務の全部または一部を、別の会社に承継させる会社法上の組織再編手続きです。

会社分割には、大きく分けて次の2種類があります。

① 新設分割

新設分割とは、既存の会社が事業の全部または一部を切り離し、新たに設立する会社へ承継させる方法です。

例えば、株式会社Aが建設業と不動産業を営んでいるとします。

株式会社Aは、今後、建設業と不動産業を別々の会社で経営することにしました。

そこで、新設分割によって株式会社Bを設立し、建設業に関する事業を株式会社Bへ承継させます。

この場合、会社分割後の事業は次のようになります。

株式会社A(分割会社)

  • 不動産業を継続

株式会社B(新設会社)

  • 建設業を承継

このように、新会社を設立して事業を切り離す方法が新設分割です。

② 吸収分割

吸収分割とは、既存の会社が事業の全部または一部を、すでに存在している別の会社へ承継させる方法です。

例えば、株式会社Aの建設業部門を、既存の株式会社Bへ移すケースです。

新設分割と異なり、事業を承継する会社はすでに存在しています。

なお、会社分割は、事業を承継させる会社が新設会社か既存会社かによって区分されます。

2.会社分割をすると建設業許可はどうなる?

会社分割によって建設業の事業を新会社へ承継させる場合、建設業許可も引き継ぎたいと考えるのが一般的でしょう。

しかし、建設業許可は会社ごとに取得する許可です。

そのため、会社法上の会社分割によって建設業に関する事業を承継したとしても、建設業許可が当然に承継されるわけではありません。

例えば、株式会社Aが次の建設業許可を取得していたとします。

  • 土木一式工事業
  • とび・土工工事業
  • 舗装工事業

株式会社Aが新設分割によって株式会社Bを設立し、建設業部門を承継させる場合、株式会社Bが建設業許可を引き継ぐためには、原則として事前の承継認可が必要になります。

会社分割の登記が完了しただけでは、建設業許可の承継手続きは完了しません。

この点は、会社分割を検討する際に特に注意しなければならないポイントです。

3.2020年10月から建設業許可の承継制度が導入された

以前は、建設業者が事業譲渡や会社分割などによって組織再編を行う場合、建設業許可をそのまま引き継ぐことができませんでした。

そのため、事業を承継する会社が新たに建設業許可を取得する必要がありました。

しかし、この方法には大きな問題がありました。

それは、建設業許可の空白期間が生じる可能性があることです。

従来の制度の問題点

例えば、建設業許可を取得している株式会社Aが、新設分割によって株式会社Bを設立したとします。

従来の制度では、株式会社Bが建設業許可を新規取得する必要がありました。

ところが、新設分割の場合、株式会社Bは会社分割の登記によって成立します。

そのため、会社設立後に建設業許可の新規申請を行うことになり、許可が下りるまでの間、株式会社Bは建設業許可を持たない状態になってしまいます。

この期間中は、建設業許可を必要とする規模の工事を新たに請け負うことができません。

また、次のような問題もありました。

  • 建設業許可番号が変わってしまう
  • 建設業許可業者としての地位を引き継げない
  • 許可取得まで事業運営に制約が生じる
  • 取引先との契約や受注計画に影響する
  • 公共工事への参加に影響する可能性がある

会社分割によって事業を効率化しようとしても、建設業許可の問題によって事業継続に支障が生じるおそれがあったのです。

改正建設業法によって承継が可能に

こうした問題を解消するため、2020年10月1日に施行された改正建設業法によって、建設業許可の承継制度が導入されました。

この制度では、事業譲渡、合併、会社分割などについて、事前に許可行政庁の認可を受けることで、建設業者としての地位を承継できるようになりました。

つまり、新設分割によって新会社を設立する場合でも、所定の要件を満たして事前認可を受ければ、建設業許可の空白期間を生じさせずに事業を承継することが可能になったのです。

4.新設分割による建設業許可の承継には事前認可が必要

新設分割によって建設業許可を承継する場合には、会社分割の効力が発生する前に、許可行政庁から認可を受ける必要があります。

根拠となるのは、建設業法第17条の2の規定です。

例えば、株式会社Aが新設分割によって株式会社Bを設立する場合、次のような流れになります。

① 株式会社Aが新設分割を計画する

建設業部門を切り離し、株式会社Bを設立することを検討します。

② 建設業許可の承継について事前相談する

許可行政庁に対して、新設分割の内容や承継予定の許可業種などを説明します。

③ 建設業許可の承継認可を申請する

必要な書類を作成し、会社分割の効力発生前に認可申請を行います。

④ 許可行政庁による審査を受ける

新設会社が建設業許可の要件を満たすかなどについて審査が行われます。

⑤ 承継認可を受ける

認可が認められれば、会社分割によって建設業者としての地位を承継できることになります。

⑥ 新設分割の登記を行う

会社分割の登記によって新設会社が成立し、認可された建設業者としての地位が承継されます。

⑦ 会社分割後に必要な書類を提出する

新設会社の登記事項証明書など、会社分割後に提出が必要な書類について、許可行政庁の指示に従って提出します。

このように、会社分割の手続きと建設業許可の承継認可は、並行して進める必要があります。

5.新潟県で建設業許可を承継する場合の手続き

新潟県知事許可を取得している会社が新設分割を行う場合には、新潟県の取扱いに従って手続きを進める必要があります。

一般的には、次のような流れになります。

① 事前相談

まず、会社分割の内容について許可行政庁へ事前相談を行います。

この段階では、次のような事項を確認します。

  • 新設分割の予定日
  • 分割会社の建設業許可の内容
  • 新設会社へ承継する建設業の範囲
  • 新設会社の役員構成
  • 常勤役員等の配置予定
  • 営業所技術者等の配置予定
  • 新設会社の営業所所在地
  • 一般建設業・特定建設業の区分

特に、新設会社が建設業許可の要件を満たせるかどうかは重要な確認事項です。

② 承継認可申請書の提出

新潟県の承継認可手続きでは、会社分割の効力発生日の30日以上前までに、不備のない申請が受理される必要があります。

そのため、効力発生日の直前になってから申請することはできません。

また、30日前までに提出すれば必ず認可されるというわけでもありません。

書類に不備がある場合には、修正や追加資料の提出が必要になることがあります。

③ 許可行政庁による審査

申請書類が受理されると、許可行政庁による審査が行われます。

新設会社が建設業許可の要件を満たすかどうかなどが確認されます。

④ 承継認可

審査の結果、要件を満たしていると認められれば、承継認可が行われます。

⑤ 新設分割の効力発生

新設分割の登記によって新会社が成立し、建設業者としての地位を承継します。

⑥ 会社分割後の書類提出

新設会社の登記事項証明書など、認可申請時点では提出できなかった資料について、所定の手続きを行います。

会社分割の2~3か月前には相談を

新潟県では、効力発生日の30日以上前までに申請を受理してもらう必要があります。

しかし、実際にはその前に事前相談や書類の準備が必要です。

また、会社分割では、会社法上の手続きも並行して進めなければなりません。

そのため、少なくとも2~3か月程度の余裕を持って準備を始めることをおすすめします。

会社の規模や分割内容によっては、さらに長い準備期間が必要になることもあります。

6.建設業許可の承継認可を受けるための要件

会社分割による建設業許可の承継認可を受けるには、一定の要件を満たす必要があります。

主なポイントをご紹介します。

① 新設会社が建設業許可の要件を満たすこと

新設分割によって設立される会社についても、建設業許可の要件を満たす必要があります。

具体的には、次のような要件です。

  • 建設業の経営業務を適正に管理する体制があること
  • 営業所技術者等を適切に配置すること
  • 財産的基礎の要件を満たすこと
  • 誠実性の要件を満たすこと
  • 欠格要件に該当しないこと
  • 適切な社会保険への加入要件を満たすこと

新設会社だからといって、これらの要件が免除されるわけではありません。

特に、常勤役員等と営業所技術者等の配置については、事前に十分な確認が必要です。

② 承継する許可業種について制限がある

建設業許可の承継制度では、原則として、分割会社が保有する建設業許可の全部を承継する必要があります。

そのため、一部の許可業種だけを選んで承継することはできません。

この点については、後ほど詳しく解説します。

③ 一般建設業と特定建設業の区分に注意する

一般建設業許可と特定建設業許可の区分にも注意が必要です。

特に、すでに建設業許可を取得している会社へ吸収分割する場合には、同一業種について一般建設業許可と特定建設業許可が重複することが問題になる場合があります。

そのため、会社分割前に、双方の許可業種や許可区分を整理する必要があります。

④ 分割会社の許可が有効であること

会社分割の効力発生日に、承継対象となる建設業許可が有効であることも重要です。

例えば、会社分割の前に建設業許可の有効期間が満了してしまった場合には、承継に支障が生じます。

更新時期と会社分割の予定日が近い場合には、特に注意が必要です。

7.一部の建設業許可だけを新会社へ承継できる?

会社分割による建設業許可の承継で、特に注意したいのが許可業種の取扱いです。

建設業許可の承継認可制度では、原則として、分割会社が保有する許可業種の一部だけを承継することはできません。

例えば、株式会社Aが次の3業種の許可を取得しているとします。

  • 土木一式工事業
  • とび・土工工事業
  • 舗装工事業

株式会社Aは、新設分割によって株式会社Bを設立し、舗装工事業だけを承継させたいと考えています。

しかし、このように一部の許可業種だけを承継する方法は、原則として認められません。

承継できる例

株式会社Aが保有する3業種すべてを株式会社Bへ承継する場合です。

株式会社Aの許可業種

  • 土木一式工事業
  • とび・土工工事業
  • 舗装工事業

↓

株式会社Bが3業種すべてを承継

この場合、その他の認可要件を満たしていれば、承継認可を受けられる可能性があります。

承継できない例

株式会社Aが保有する3業種のうち、舗装工事業だけを株式会社Bへ承継する場合です。

株式会社Aの許可業種

  • 土木一式工事業
  • とび・土工工事業
  • 舗装工事業

↓

株式会社Bが舗装工事業だけを承継

このような一部業種のみの承継は、原則として認められません。

一部の業種だけを承継したい場合は?

一部の業種だけを新会社へ移したい場合には、会社分割前に承継しない業種を廃業する方法などが考えられます。

ただし、この方法では、分割会社が廃業した業種の許可を失うことになります。

そのため、分割会社に残す事業との関係も慎重に検討する必要があります。

「事業の一部を分割できること」と「建設業許可の一部を承継できること」は別の問題です。

会社分割の計画を立てる際には、許可業種の取扱いを最初に確認することをおすすめします。

8.新設分割後も元の会社に建設業許可を残せる?

会社分割を検討する際、次のようなご相談があります。

「建設業部門の一部を新会社へ移したいが、元の会社でも建設業を続けたい」

この場合、建設業許可の承継認可制度だけで、同じ許可を元の会社と新会社の双方に残すことはできません。

例えば、株式会社Aが管工事業の許可を取得しているとします。

株式会社Aが新設分割によって株式会社Bを設立し、管工事業の許可を株式会社Bへ承継させた場合、その許可を株式会社Aにも残しておくことはできません。

株式会社Aも引き続き管工事業の許可を必要とする場合には、別途、建設業許可の取得を検討する必要があります。

そのため、会社分割を行う前に、次の点を確認しておくことが重要です。

  • 分割会社にどの事業を残すのか
  • 新設会社にどの事業を移すのか
  • それぞれの会社で必要な建設業許可は何か
  • それぞれの会社が許可要件を満たせるか

この検討を行わずに会社分割を進めると、会社分割後に必要な許可がないという問題が生じる可能性があります。

9.新設分割によって建設業許可番号は変わる?

会社分割による建設業許可の承継認可を受けた場合、原則として、承継する建設業許可の許可番号を引き継ぐことができます。

例えば、株式会社Aが次の許可番号を持っていたとします。

新潟県知事許可(般-○)第12345号

株式会社Aが新設分割によって株式会社Bを設立し、建設業許可を承継する場合、株式会社Bは原則として同じ許可番号を引き継ぐことになります。

建設業許可番号は、取引先や元請会社などが建設業者を確認する際にも使用されるものです。

そのため、許可番号を引き継げることは、会社分割による事業承継のメリットの一つといえます。

ただし、複数の建設業許可業者が関係する組織再編では、許可番号の取扱いについて別途調整が必要になる場合があります。

事前相談の段階で確認しておくことが重要です。

10.新設分割後の建設業許可の有効期間は?

建設業許可の承継認可を受けて新設分割を行った場合、承継後の許可の有効期間は、原則として会社分割による承継の日から5年間となります。

例えば、2027年4月1日に新設分割の効力が発生した場合には、原則として2032年3月31日までが許可の有効期間となります。

この場合、分割会社がもともと取得していた建設業許可の有効期間をそのまま引き継ぐわけではありません。

承継の日を基準として、新たに有効期間が定められます。

なお、許可の有効期間が満了する前には、通常の建設業許可と同様に更新申請が必要になります。

11.新設会社の常勤役員等はどうなる?

新設分割によって建設業許可を承継する場合、新設会社においても経営業務の管理体制に関する要件を満たす必要があります。

そのため、常勤役員等の配置が重要になります。

例えば、株式会社Aの代表取締役が常勤役員等として届け出られている場合です。

新設分割によって株式会社Bを設立し、株式会社Aの代表取締役が株式会社Bの常勤役員等になることを予定しているとします。

この場合、株式会社Bにおける役員としての地位や常勤性などを確認する必要があります。

また、株式会社Aと株式会社Bの双方で建設業を営む場合には、両社の常勤役員等の配置について慎重な検討が必要です。

同じ人が2社の常勤役員等になれる?

常勤役員等には、常勤性が求められます。

そのため、同じ人が別々の会社でそれぞれ常勤役員等として認められるかどうかは、慎重に判断する必要があります。

一般的には、2社それぞれの常勤役員等を同じ人が兼ねることは困難な場合が多いと考えられます。

ただし、具体的な勤務実態や制度上の取扱いによって判断されるため、個別の確認が必要です。

会社分割によって2社で建設業を営む予定がある場合には、常勤役員等の配置を早い段階で検討することが重要です。

12.新設会社の営業所技術者等はどうなる?

建設業許可を承継する新設会社では、営業所技術者等についても要件を満たす必要があります。

営業所技術者等は、建設業許可を取得している業種ごとに必要な資格や実務経験を有し、営業所に配置される技術者です。

例えば、株式会社Aが次の許可を取得していたとします。

  • 管工事業
  • 電気工事業

新設分割によって株式会社Bがこれらの許可を承継する場合、株式会社Bでも管工事業と電気工事業の営業所技術者等を適切に配置する必要があります。

分割会社の技術者を新設会社へ移す場合

株式会社Aの営業所技術者等が株式会社Bへ移籍し、引き続き必要な要件を満たすのであれば、新設会社の営業所技術者等として配置できる可能性があります。

ただし、雇用関係や勤務実態、営業所への配置状況などを確認する必要があります。

新しい技術者を配置する場合

新設会社に別の営業所技術者等を配置することも考えられます。

この場合には、その方が承継する許可業種に対応した資格や実務経験を有している必要があります。

また、常勤性や営業所への専任性などの要件も確認されます。

分割会社にも技術者を残したい場合

会社分割後も分割会社が建設業を継続する場合には、双方の会社における技術者配置が問題になります。

原則として、同じ人を別々の会社の営業所技術者等として重複して配置することはできません。

そのため、分割会社と新設会社のそれぞれで必要な技術者を確保することが重要です。

13.新設分割によって経営事項審査の結果は承継できる?

公共工事を受注している建設会社では、経営事項審査の取扱いも重要です。

建設業許可の承継認可制度では、建設業者としての地位を承継することになります。

そのため、一定の条件のもとで、経営事項審査に関する地位や結果についても承継の対象となる場合があります。

ただし、経営事項審査の結果通知書をそのまま使用できるか、改めて審査を受ける必要があるかなどについては、会社分割の内容や申請状況によって取扱いが異なる場合があります。

また、公共工事を受注するためには、建設業許可や経営事項審査だけでなく、発注機関ごとの入札参加資格も必要になります。

会社分割によって入札参加資格が当然に承継されるとは限りません。

そのため、公共工事を受注している会社が新設分割を行う場合には、次の事項についても事前に確認する必要があります。

  • 経営事項審査の取扱い
  • 入札参加資格の承継手続き
  • 施工実績の取扱い
  • 継続中の公共工事契約の取扱い

特に、入札参加資格については、発注機関ごとに必要な手続きが異なる場合があります。

14.過去の監督処分や行政処分も承継される?

建設業許可の承継認可では、建設業者としての地位が承継されます。

そのため、許可に伴う権利だけでなく、一定の義務や行政上の地位についても承継されることになります。

例えば、分割会社が過去に建設業法に基づく監督処分を受けていた場合には、その取扱いが問題になることがあります。

建設業許可の承継制度は、会社分割によって過去の違反行為や行政処分の影響をすべてなくすための制度ではありません。

したがって、承継前の会社に監督処分歴などがある場合には、承継後への影響を確認する必要があります。

一方、刑事罰については、原則として違反行為を行った法人や個人に対して科されるものであり、会社分割によって刑事責任そのものが当然に新会社へ移転するわけではありません。

ただし、過去の違反行為や処分歴が建設業許可の審査に影響する場合はあります。

そのため、会社分割前の法令遵守状況についても確認しておくことが重要です。

15.会社分割前に決算変更届を提出していない場合

建設業許可を取得している会社は、毎事業年度終了後4か月以内に決算変更届を提出する必要があります。

ところが、会社分割を検討している会社の中には、過去の決算変更届が提出されていないケースもあります。

例えば、株式会社Aが過去2年分の決算変更届を提出していなかったとします。

この状態で新設分割による建設業許可の承継認可を申請する場合、未提出となっている決算変更届について確認や対応が必要になります。

承継認可を受けた場合には、建設業者としての地位に伴う一定の義務も承継されるため、過去の届出状況を整理しておくことが重要です。

ただし、未提出の決算変更届について、分割会社と新設会社のどちらが、いつ、どのように提出するかは、具体的な状況や許可行政庁の取扱いを確認する必要があります。

会社分割を予定している場合には、承継認可の申請前に、決算変更届や各種変更届の提出状況を確認しておきましょう。

16.会社分割の登記を先にしてしまった場合は?

会社分割による建設業許可の承継では、事前認可が重要です。

では、建設業許可の承継認可を受けないまま、新設分割の登記をしてしまった場合はどうなるのでしょうか。

この場合、原則として、会社分割後に遡って承継認可を受けることはできません。

そのため、新設会社が建設業許可を必要とする工事を請け負うためには、改めて建設業許可の新規取得を検討する必要があります。

許可の空白期間が生じる可能性

新設会社が建設業許可を新規取得する場合、許可が下りるまで一定の期間が必要になります。

その間、新設会社は建設業許可を持たないため、原則として500万円以上(税込)の建設工事を新たに請け負うことができません。

なお、建築一式工事については、別の軽微な建設工事の基準があります。

このような問題を避けるためにも、会社分割の登記を行う前に、建設業許可の承継認可について確認しておくことが重要です。

17.会社分割と建設業許可の手続きは同時に進めることが重要

会社分割を行う場合には、会社法上の手続きと建設業法上の手続きを並行して進める必要があります。

会社法上の新設分割では、分割計画の作成、株主総会の承認、債権者保護手続き、会社分割登記など、さまざまな手続きが必要になります。

一方、建設業許可の承継では、許可行政庁との事前相談、承継認可申請、許可要件の確認などが必要です。

これらを別々に進めてしまうと、次のような問題が生じる可能性があります。

  • 会社分割の予定日までに承継認可が間に合わない
  • 新設会社の常勤役員等の要件を満たしていない
  • 営業所技術者等の配置ができない
  • 承継したい許可業種の一部だけを移すことができない
  • 会社分割後に必要な許可がないことに気づく
  • 公共工事の入札参加資格に影響が生じる

特に、新設分割では、会社分割の登記によって新会社が成立するため、登記日と建設業許可の承継日との関係が重要になります。

そのため、会社分割を検討する段階から、司法書士と行政書士が連携して手続きを進めることが望ましいといえます。

18.司法書士と行政書士が連携するメリット

会社分割は、会社法と建設業法の両方に関係する手続きです。

会社分割に関する商業登記は司法書士が専門とする業務であり、建設業許可の承継認可申請は行政書士が専門とする業務です。

それぞれの専門家が別々に手続きを進める場合、会社分割の効力発生日や必要書類などについて、十分な情報共有が必要になります。

特に、建設業許可の承継認可では、会社分割の効力発生日より前に認可を受ける必要があります。

そのため、会社分割登記のスケジュールと建設業許可の承継認可申請のスケジュールを調整することが重要です。

当事務所では司法書士法人を併設しているため、会社分割登記と建設業許可の承継認可について、連携して対応することが可能です。

例えば、次のような事項を一体的に確認できます。

  • 会社分割の方法
  • 新設会社の役員構成
  • 会社分割の効力発生日
  • 建設業許可の承継要件
  • 常勤役員等の配置
  • 営業所技術者等の配置
  • 建設業許可の承継認可申請
  • 新設分割の登記

会社分割と建設業許可の手続きを一体的に検討することで、許可の空白期間が生じるリスクを抑え、円滑な事業承継につなげることができます。

19.まとめ|新設分割による建設業許可の承継は事前準備が重要

新設分割によって建設業の事業を新会社へ承継させる場合、建設業許可も承継することが可能です。

ただし、会社分割をすれば自動的に建設業許可が引き継がれるわけではありません。

原則として、会社分割の効力発生前に、許可行政庁から承継認可を受ける必要があります。

特に重要なのは、次の点です。

  • 新設分割でも建設業許可を承継できる
  • 建設業許可の承継には原則として事前認可が必要
  • 新設会社も建設業許可の要件を満たす必要がある
  • 一部の許可業種だけを承継することは原則としてできない
  • 建設業許可番号は原則として引き継ぐことができる
  • 常勤役員等や営業所技術者等の配置が必要
  • 会社分割の登記前に承継認可を受ける必要がある
  • 会社分割登記と建設業許可の承継認可を並行して進めることが重要

新潟県では、会社分割の効力発生日の30日以上前までに、不備のない承継認可申請が受理される必要があります。

そのため、会社分割の直前になってから準備を始めるのでは、間に合わない可能性があります。

会社分割によって建設業許可を承継する場合には、会社分割の計画段階から建設業許可の取扱いを確認することが重要です。

会社分割による建設業許可の承継はトラスト行政書士事務所へ

トラスト行政書士事務所では、新潟県を中心に建設業許可の新規申請、更新、業種追加、各種変更届、事業承継に伴う承継認可申請などの手続きをサポートしております。

また、当事務所では司法書士法人を併設しておりますので、会社分割登記と建設業許可の承継認可申請について、まとめてご相談いただくことが可能です。

「建設業部門を切り離して新会社を設立したい」

「新設分割によって建設業許可を引き継ぎたい」

「会社分割後も同じ建設業許可番号を使用したい」

「建設業許可の空白期間を生じさせずに事業を承継したい」

「会社分割の登記と建設業許可の手続きをまとめて依頼したい」

このようなお悩みがありましたら、トラスト行政書士事務所までお気軽にご相談ください。

会社分割の計画段階から、建設業許可の承継要件や手続きのスケジュールを確認し、円滑な事業承継をサポートいたします。

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