電気通信工事業とは、有線・無線による通信設備、ネットワーク設備、情報設備、放送設備などを設置する工事を行う建設業のことです。
国土交通省では、電気通信工事を次のように区分しています。
有線電気通信設備、無線電気通信設備、ネットワーク設備、情報設備、放送機械設備等の電気通信設備を設置する工事
簡単にいえば、電話やインターネット、データ通信、テレビ放送など、情報を送受信するための設備を設置する工事です。
例えば、会社の事務所にLANケーブルを配線する工事や、建物内に通信ネットワークを構築する工事などが該当します。
また、通信設備を新しく設置する工事だけでなく、既存の設備を改修・修繕する工事も電気通信工事に該当する場合があります。
2.電気通信工事業に該当する工事の種類
電気通信工事業には、さまざまな種類の工事があります。
代表的なものをご紹介します。
① LAN配線工事
オフィスや工場、学校、病院などで、パソコンや通信機器をネットワークに接続するための配線工事です。
例えば、次のような工事が該当します。
- オフィス内のLANケーブル配線工事
- ネットワーク機器の設置工事
- 通信ラックの設置工事
- 社内ネットワークの構築工事
- 通信設備の増設・改修工事
LAN配線工事は、電気通信工事業の代表的な工事の一つです。
ただし、単にパソコンを接続したり、機器の設定を変更したりするだけの作業は、建設工事に該当しない場合があります。
② 光ファイバー工事
光ファイバーを利用した通信回線を設置する工事です。
例えば、建物への光ファイバーケーブルの引込みや、建物内の光配線工事などがあります。
インターネット回線の高速化や通信設備の整備に伴い、さまざまな施設で行われています。
③ 電話設備工事
会社や施設などに電話設備を設置する工事です。
具体的には、電話配線工事、ビジネスホンの設置工事、構内交換設備の設置工事などがあります。
既存の電話設備を更新する工事も、施工内容によって電気通信工事に該当します。
④ 防犯カメラ設置工事
防犯カメラの設置工事も、工事内容によっては電気通信工事業に該当します。
例えば、ネットワークカメラを設置し、映像を通信ネットワーク経由で録画装置などに送信するための配線・通信設備工事です。
ただし、防犯カメラの設置工事がすべて電気通信工事に該当するわけではありません。
電源設備の工事を伴う場合には、電気工事業に該当する部分が含まれることもあります。
そのため、実際の施工内容を確認することが重要です。
⑤ インターホン設備工事
住宅やマンション、オフィスビルなどのインターホン設備を設置する工事です。
例えば、集合住宅のインターホンシステムの更新や、映像付きインターホンの通信設備工事などが考えられます。
こちらも、電源配線などの工事内容によっては電気工事業との区分を確認する必要があります。
⑥ アンテナ設備工事
テレビ放送や無線通信などに使用するアンテナ設備の設置工事です。
例えば、テレビアンテナ設備工事、無線通信設備のアンテナ工事などがあります。
また、テレビ電波障害を防止するための設備工事も電気通信工事に該当します。
⑦ 放送設備工事
放送に関する機械設備や情報伝達設備を設置する工事です。
例えば、施設内の放送設備や情報伝達システムの設置工事などが考えられます。
ただし、消防法上の非常警報設備などについては、消防施設工事業との区分にも注意が必要です。
3.電気通信工事業と電気工事業の違い
電気通信工事業について、特にお問い合わせが多いのが電気工事業との違いです。
名前が似ているため、同じ業種だと思われる方もいらっしゃいます。
しかし、建設業許可では明確に区分されています。
電気工事業とは
電気工事業は、発電設備、変電設備、送配電設備、構内電気設備などを設置する工事です。
例えば、次のような工事があります。
- 照明設備工事
- コンセントの増設工事
- 分電盤の設置工事
- 受変電設備工事
- 電気配線工事
- 太陽光発電設備の電気工事
主に、電力を供給・利用するための設備を設置する工事が対象になります。
電気通信工事業とは
一方、電気通信工事業は、電話、インターネット、データ通信、無線通信などの設備を設置する工事です。
両者の違いを整理すると、次のようになります。
| 工事内容 | 主に該当する業種 |
|---|---|
| 照明器具の設置 | 電気工事業 |
| コンセントの増設 | 電気工事業 |
| 分電盤の設置 | 電気工事業 |
| LAN配線工事 | 電気通信工事業 |
| 光ファイバー配線工事 | 電気通信工事業 |
| 電話設備工事 | 電気通信工事業 |
| ネットワーク設備工事 | 電気通信工事業 |
| 防犯カメラ設置工事 | 施工内容により判断 |
電気工事業の許可を取得していても、それだけで電気通信工事業の許可が必要な規模の工事を自由に請け負えるわけではありません。
反対に、電気通信工事業の許可だけで、電気工事業に該当する工事をすべて請け負えるわけでもありません。
両方の工事を継続的に請け負う場合には、両業種の許可取得を検討する必要があります。
4.電気通信工事業の建設業許可は500万円未満でも必要?
建設業許可は、すべての工事に必要というわけではありません。
電気通信工事業の場合、原則として、1件の工事の請負代金が500万円以上(税込)となる工事を請け負う場合には、建設業許可が必要です。
一方、1件の請負代金が500万円未満(税込)の軽微な建設工事のみを請け負う場合には、原則として建設業許可は必要ありません。
例えば、次のようなケースです。
ケース①:300万円のLAN配線工事
1件の請負代金が300万円(税込)の場合、原則として建設業許可は必要ありません。
ケース②:700万円の通信設備工事
1件の請負代金が700万円(税込)の場合、電気通信工事業の建設業許可が必要になります。
ケース③:450万円の工事を2件請け負う場合
それぞれ独立した工事で、各契約が450万円(税込)であれば、原則として建設業許可は必要ありません。
ただし、本来一つの工事であるものを、許可を避ける目的で複数の契約に分割した場合には、合計額で判断されることがあります。
また、注文者が材料を提供する場合には、その材料費などを請負代金に加算して判断する必要があることにも注意が必要です。
なお、500万円未満の工事しか行わない場合でも、元請け会社や取引先から建設業許可の取得を求められることがあります。
5.電気通信工事業の許可を取得するための要件
電気通信工事業の建設業許可を取得するには、建設業法で定められた要件を満たす必要があります。
主な要件は次のとおりです。
① 経営業務を適正に管理する体制があること
建設業許可では、建設業の経営業務について一定の経験を有する常勤役員等を配置する方法などにより、適切な経営業務の管理体制を確保する必要があります。
代表的な例として、建設業に関して5年以上の経営業務の管理責任者としての経験がある場合などが挙げられます。
また、一定の管理経験や補佐経験などによって要件を満たす場合もあります。
② 営業所技術者等がいること
電気通信工事業の許可を取得するには、営業所ごとに、必要な資格または実務経験を有する営業所技術者等を配置する必要があります。
以前は「専任技術者」と呼ばれていた要件です。
営業所技術者等は、取得する業種に対応した専門的な知識や経験を持ち、原則として営業所に常勤している必要があります。
③ 財産的基礎の要件を満たしていること
一般建設業許可では、次のいずれかの要件を満たす必要があります。
- 自己資本が500万円以上あること
- 500万円以上の資金調達能力があること
- 許可申請直前の過去5年間、許可を受けて継続して営業した実績があること
新規で建設業許可を取得する場合には、自己資本や資金調達能力によって証明するケースが一般的です。
なお、会社の資本金が500万円未満であっても、一定の要件を満たせば建設業許可を取得できる可能性があります。
④ 誠実性があること
請負契約の締結や履行に関して、不正または不誠実な行為をするおそれが明らかな者でないことが必要です。
⑤ 欠格要件に該当しないこと
役員等が建設業法に定められた欠格要件に該当しないことなども必要です。
6.電気通信工事業の営業所技術者になれる資格とは?
電気通信工事業の許可取得では、営業所技術者等の要件を満たせるかどうかが重要になります。
一般建設業許可の場合、代表的な資格には次のようなものがあります。
- 1級電気通信工事施工管理技士
- 2級電気通信工事施工管理技士
- 技術士(電気電子部門など、対象となる資格)
- 電気通信主任技術者(資格者証交付後、所定の実務経験が必要)
- 対象となる工事担任者資格(資格者証交付後、所定の実務経験が必要)
例えば、電気通信主任技術者については、資格者証の交付後5年以上の所定の実務経験が必要です。
また、工事担任者についても、対象となる資格の種類や取得時期などに条件があり、資格者証交付後3年以上の所定の実務経験が必要となる場合があります。
電気工事士の資格を持っているだけでは、電気通信工事業の営業所技術者の資格要件を当然に満たすわけではありません。
資格によって対象となる建設業許可の業種が異なるため、事前に確認することが重要です。
7.資格がなくても10年の実務経験で許可を取得できる?
電気通信工事業の許可を取得したいものの、対象となる国家資格を持っていない方もいらっしゃいます。
そのような場合でも、一般建設業許可では、原則として10年以上の電気通信工事に関する実務経験があれば、営業所技術者の要件を満たせる可能性があります。
例えば、長年LAN配線工事や通信設備工事に従事していた方です。
ただし、実務経験があると説明するだけでは認められません。
過去の工事経験を客観的な資料で証明する必要があります。
具体的には、次のような資料が考えられます。
- 工事請負契約書
- 工事の注文書・請書
- 工事代金の請求書
- 工事台帳
- 実務経験証明書
- 在籍期間を確認できる資料
また、電気通信工事業に対応する指定学科を卒業している場合には、所定の実務経験年数が短縮されることがあります。
なお、実務経験の証明に必要な書類や確認方法は、許可行政庁によって異なります。
8.電気通信設備の保守点検だけでも建設業許可は必要?
電気通信設備の仕事をしている会社の中には、新設工事よりも保守点検を中心に行っている会社もあります。
例えば、通信設備の定期点検や機器の動作確認などです。
ここで重要なのは、設備の設置・改修工事と、単なる保守点検業務は区別されるということです。
既存の電気通信設備を改修・修繕・補修する工事は、電気通信工事に該当します。
一方、設備の機能や性能を維持するための点検、整備などの役務提供は、建設工事に該当しない場合があります。
例えば、通信設備の動作確認や設定確認だけを行う場合と、設備そのものを交換・改修する場合とでは、建設業法上の取扱いが異なる可能性があります。
そのため、保守点検業務を中心に行っている会社が建設業許可を取得する場合には、実際の業務内容を確認する必要があります。
9.電気通信工事業の許可があれば電気工事もできる?
電気通信工事業の許可を取得している会社が、通信設備の設置に伴って電気工事を行うケースもあります。
例えば、ネットワーク設備を設置する際に、電源設備の工事も必要になる場合です。
この場合、電気通信工事業の許可だけで、すべての電気工事を自由に請け負えるわけではありません。
電気工事業に該当する工事を独立して請け負う場合には、その工事の規模などに応じて電気工事業の建設業許可が必要になります。
また、建設業法には、許可を受けた建設工事に附帯する他業種の工事を請け負うことができる規定があります。
ただし、附帯工事に該当するかどうかは、主たる工事との関係などから判断する必要があります。
さらに、電気工事については、建設業法とは別に電気工事士法や電気工事業法などの規制もあります。
そのため、電気工事を行う場合には、建設業許可の有無だけでなく、必要な資格や登録・届出についても確認することが重要です。
10.電気通信工事業の許可を取得するメリット
電気通信工事業の建設業許可を取得することには、さまざまなメリットがあります。
① 500万円以上の工事を請け負える
建設業許可を取得することで、軽微な建設工事の範囲を超える電気通信工事を請け負うことができます。
例えば、大規模なオフィスのネットワーク設備工事や、施設全体の通信設備更新工事など、より大きな案件に対応できるようになります。
② 元請け会社からの信用につながる
建設業許可を取得していることは、一定の経営体制や技術者の配置など、法令上の要件を満たしていることを示します。
そのため、元請け会社や取引先からの信用につながる場合があります。
実際、500万円未満の工事であっても、取引条件として建設業許可の取得を求められるケースがあります。
③ 公共工事への参入を検討できる
建設業許可を取得することで、公共工事への参入を検討することもできます。
ただし、公共工事を元請として直接受注するためには、建設業許可だけでなく、経営事項審査や入札参加資格審査など、別途必要な手続きがあります。
④ 事業拡大につながる
電気通信設備は、オフィス、工場、病院、学校、商業施設など、さまざまな建物で必要とされています。
建設業許可を取得することで、受注できる工事の幅が広がり、事業拡大につながる可能性があります。
11.電気通信工事業の許可申請で注意したいこと
電気通信工事業の許可申請では、特に次の点に注意が必要です。
電気工事業との区分を確認する
過去に行ってきた工事が電気通信工事業に該当するのか、それとも電気工事業に該当するのかを確認する必要があります。
工事の名称だけでは判断できないこともあるため、実際の施工内容が重要です。
実務経験の証明資料を準備する
資格ではなく実務経験によって営業所技術者の要件を満たす場合、過去の工事実績を証明する資料が必要になります。
特に、請求書などに具体的な工事内容が記載されていない場合には注意が必要です。
複数業種の許可取得も検討する
電気通信工事業を営んでいる会社では、電気工事業も行っているケースがあります。
今後の事業展開を考慮して、電気通信工事業と電気工事業の両方の許可を取得することも選択肢になります。
ただし、それぞれの業種について営業所技術者等の要件を満たす必要があります。
12.まとめ|電気通信工事業の建設業許可は専門家に相談を
電気通信工事業とは、電話設備、LAN配線、光ファイバー、無線通信設備、ネットワーク設備など、情報通信に関する設備を設置する工事を行う建設業です。
電気通信工事業は、電気工事業とは別の業種として区分されています。
そのため、電気工事業の許可を持っていても、電気通信工事業の許可が必要な工事を当然に請け負えるわけではありません。
また、一般建設業許可では、対象となる国家資格がなくても、原則10年以上の実務経験などによって営業所技術者の要件を満たせる場合があります。
ただし、建設業許可の取得には、経営業務の管理体制、営業所技術者等、財産的基礎など、さまざまな要件があります。
特に電気通信工事業では、工事内容の判断や技術者の資格・実務経験の確認が重要になります。
建設業許可の取得を検討している場合には、事前に専門家へ相談することをおすすめします。
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電気通信工事業の許可取得についても、お客様の工事内容や資格、実務経験などを確認し、必要な手続きをご案内いたします。
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