「建設業許可を取得したいけれど、何から始めればよいかわからない」
「建設業許可を取得するには、どのような条件が必要なのでしょうか?」
「独立して間もない個人事業主でも建設業許可は取得できますか?」
「資本金が500万円未満ですが、許可を取得することはできますか?」
「建設業許可の申請は自分でもできるのでしょうか?」
建設業許可について、このようなご相談をいただくことがあります。
建設業許可は、建設業を営むうえで非常に重要な許可です。
一定規模以上の建設工事を請け負うために必要となるだけでなく、元請会社との取引や、会社の信用力を高めるうえでも大きな意味があります。
しかし、建設業許可を取得するためには、建設業法で定められた複数の要件を満たす必要があります。
そのため、ご自身で調べた結果、
「経営経験が足りないから無理だろう」
「国家資格を持っていないから許可は取れない」
「資本金が500万円ないので難しい」
と考えて、許可取得をあきらめてしまう方もいらっしゃいます。
ところが、実際には、ご自身では要件を満たしていないと思っていても、詳しく経歴や事業の状況を確認することで、建設業許可を取得できる場合があります。
今回は、建設業許可が必要になる工事、許可取得の6つの要件、必要書類、申請の流れ、注意点について、行政書士が詳しく解説します。
これから建設業許可を取得したいと考えている方は、ぜひ参考にしてください。
1.そもそも建設業許可とは?
建設業許可とは、建設業法に基づき、一定の建設工事を請け負うために必要となる許可です。
建設業法では、建設工事の適正な施工を確保し、発注者を保護するため、建設業者に対してさまざまな規制を設けています。
その一つが建設業許可制度です。
建設業許可を取得するためには、経営管理体制、技術者、財産的基礎などについて、一定の要件を満たす必要があります。
そのため、建設業許可を取得していることは、建設業者として一定の基準を満たしていることを示すものでもあります。
建設業許可を取得するメリット
建設業許可を取得するメリットには、次のようなものがあります。
- 一定規模以上の建設工事を請け負えるようになる
- 元請会社から仕事を受注しやすくなる場合がある
- 発注者や取引先からの信用につながる
- 事業拡大の選択肢が広がる
- 公共工事への参入を検討できる
- 会社の経営体制を整えるきっかけになる
特に最近では、工事金額にかかわらず、下請業者に建設業許可の取得を求める元請会社もあります。
そのため、法律上は許可が必要ない規模の工事を中心に行っている建設業者でも、将来を見据えて建設業許可を取得するケースがあります。
2.建設業許可が必要になる工事金額
建設業を営む場合、原則として建設業許可が必要ですが、一定の軽微な建設工事のみを請け負う場合には、建設業許可を受けずに営業することが認められています。
この「軽微な建設工事」に該当するかどうかが、許可の必要性を判断する重要なポイントになります。
建築一式工事以外の場合
建築一式工事以外の工事では、1件の請負代金が500万円未満の工事が軽微な建設工事に該当します。
例えば、次のような工事です。
- 管工事
- 電気工事
- 塗装工事
- 防水工事
- 内装仕上工事
- とび・土工・コンクリート工事
- 解体工事
これらの工事では、原則として1件の請負代金が500万円以上になる場合、該当する業種の建設業許可が必要になります。
なお、金額は消費税を含めて判断します。
建築一式工事の場合
建築一式工事については、次のいずれかに該当する工事が軽微な建設工事とされています。
① 1件の請負代金が1,500万円未満の工事
または、
② 請負代金の額にかかわらず、延べ面積が150平方メートル未満の木造住宅工事
ここでいう木造住宅には、主要構造部が木造で、住宅として使用する建築物などについて所定の条件があります。
したがって、建築一式工事では、単純に1,500万円以上であれば必ず許可が必要になるわけではありません。
木造住宅工事の例外についても確認する必要があります。
500万円未満なら何でも許可なしで工事できる?
注意していただきたいのは、建設業許可が不要な工事であっても、他の法律による規制が適用される場合があることです。
例えば、電気工事では電気工事業法など、解体工事では建設リサイクル法に基づく解体工事業の登録制度などが関係することがあります。
また、工事を分割して契約した場合でも、正当な理由なく契約を分割して許可を回避することはできません。
そのため、請負金額だけでなく、工事内容や契約形態についても確認することが重要です。
3.建設業許可は29業種に分かれている
建設業許可は、29の業種に分かれています。
大きく分けると、次の2種類です。
一式工事
- 土木一式工事
- 建築一式工事
専門工事
- 大工工事
- 左官工事
- とび・土工・コンクリート工事
- 石工事
- 屋根工事
- 電気工事
- 管工事
- タイル・れんが・ブロック工事
- 鋼構造物工事
- 鉄筋工事
- 舗装工事
- しゅんせつ工事
- 板金工事
- ガラス工事
- 塗装工事
- 防水工事
- 内装仕上工事
- 機械器具設置工事
- 熱絶縁工事
- 電気通信工事
- 造園工事
- さく井工事
- 建具工事
- 水道施設工事
- 消防施設工事
- 清掃施設工事
- 解体工事
建設業許可は、原則として請け負う工事の業種ごとに取得する必要があります。
例えば、管工事業の許可を取得していても、それだけで電気工事業や内装仕上工事業の許可を取得したことにはなりません。
また、建築一式工事業の許可を取得していれば、すべての専門工事を自由に請け負えるというわけでもありません。
そのため、まずは自社が請け負っている工事が、建設業法上のどの業種に該当するのかを確認することが重要です。
4.一般建設業許可と特定建設業許可の違い
建設業許可には、「一般建設業許可」と「特定建設業許可」があります。
この違いについても、よくご質問をいただきます。
一般建設業許可
一般建設業許可は、特定建設業許可が必要となる場合を除き、建設工事を請け負うための許可です。
元請工事だけでなく、下請工事を請け負う場合にも利用できます。
特定建設業許可
特定建設業許可は、発注者から直接建設工事を請け負った元請業者が、一定金額以上の下請契約を締結する場合に必要になります。
2025年2月1日から、特定建設業許可が必要となる下請契約の金額基準は、次のとおりです。
| 工事の種類 | 下請契約の合計金額 |
|---|---|
| 建築一式工事以外 | 5,000万円以上 |
| 建築一式工事 | 8,000万円以上 |
※消費税を含む金額です。
例えば、元請会社が1億円の管工事を受注し、そのうち6,000万円を下請業者に発注する場合には、原則として特定建設業許可が必要です。
一方、元請として1億円の工事を受注していても、下請契約の合計金額が基準未満であれば、その金額を理由として特定建設業許可が必要になるわけではありません。
なお、特定建設業許可は、一般建設業許可よりも厳しい技術者や財産的基礎の要件が設けられています。
5.建設業許可を取得するための6つの要件
建設業許可を取得するためには、主に次の6つの要件を満たす必要があります。
① 建設業の経営業務を適正に管理する体制があること
② 営業所技術者等を配置していること
③ 誠実性があること
④ 財産的基礎または金銭的信用があること
⑤ 欠格要件に該当しないこと
⑥ 適切な社会保険に加入していること
これらの要件は、建設業許可を取得するために非常に重要です。
一つでも満たしていなければ、原則として許可を取得することはできません。
しかし、現在の状況だけで判断すると、許可取得の可能性を見落としてしまう場合があります。
例えば、経営経験が不足していても、別の方を役員として迎えることで要件を満たせる場合があります。
また、国家資格がなくても、一定の実務経験によって営業所技術者等の要件を満たせる場合があります。
それでは、それぞれの要件について詳しく説明します。
【要件①】建設業の経営業務を適正に管理する体制があること
建設業許可を取得するためには、建設業の経営業務を適正に管理する体制が必要です。
以前は「経営業務の管理責任者」という言葉が一般的に使われていました。
現在の制度では、一定の経営経験を有する常勤役員等を配置する方法や、常勤役員等と補佐者による体制を整える方法などが設けられています。
6.常勤役員等とは?
常勤役員等とは、法人の場合には常勤の役員のうち一定の要件を満たす方、個人事業主の場合には事業主本人や支配人などをいいます。
建設業許可では、建設工事の施工技術だけでなく、経営を適切に管理できる体制があることが求められています。
なぜなら、建設業では次のような経営業務が重要になるからです。
- 工事請負契約の締結
- 資金繰りの管理
- 従業員の雇用管理
- 下請業者への発注
- 工事代金の回収
- 工事原価の管理
- 安全管理体制の整備
これらの業務を適切に管理するため、一定の経営経験などが求められています。
7.常勤役員等に必要な経営経験
代表的な要件は、次のとおりです。
① 建設業に関して5年以上の経営業務の管理責任者としての経験
例えば、次のような経験です。
- 建設会社の取締役として5年以上経営に携わっていた
- 個人事業主として建設業を5年以上営んでいた
- 建設業を営む法人の業務執行役員等として5年以上の経営経験がある
このような経験があり、その他の条件も満たしていれば、常勤役員等の要件を満たせる場合があります。
② 建設業に関して5年以上、経営業務の管理責任者に準ずる地位で経営業務を管理した経験
取締役などではなくても、経営業務の管理責任者に準ずる地位で、経営業務を管理した経験が認められる場合があります。
ただし、単に部長や支店長という肩書があっただけでは足りません。
実際にどのような権限を与えられ、どのような経営業務を担当していたのかが重要です。
③ 建設業に関して6年以上、経営業務の管理責任者を補佐した経験
経営業務の管理責任者を補佐した経験についても、一定の条件を満たせば認められる場合があります。
例えば、財務管理や労務管理、業務運営など、経営業務に関する補佐経験です。
ただし、一般的な事務作業や現場管理の経験が、そのまま補佐経験として認められるわけではありません。
④ 常勤役員等と補佐者による体制
2020年10月の建設業法改正により、一定の常勤役員等と、その方を直接補佐する者を配置する方法も設けられました。
この方法では、常勤役員等に所定の経営経験があることに加え、財務管理、労務管理、業務運営について、それぞれ必要な経験を有する補佐者を配置することなどが求められます。
具体的には、常勤役員等について、建設業に関する2年以上の役員等経験を含む所定の5年以上の経験がある場合や、建設業に関する2年以上の役員等経験を含む5年以上の役員等経験がある場合など、法令で定められた類型があります。
また、直接補佐する者については、申請する建設業者における5年以上の財務管理、労務管理、業務運営の経験などが必要です。
一人が複数の補佐業務を担当することも可能ですが、実際に必要な経験を有していることが前提になります。
この方法は要件が複雑なため、個別の確認が重要です。
8.経営経験が5年未満でも建設業許可を取得できる?
当事務所でも、次のようなご相談をいただくことがあります。
「独立して3年しか経っていません」
「建設会社で20年働いていますが、役員経験はありません」
「経営経験が足りないので、建設業許可は取れないと思っています」
しかし、経営経験が5年未満だからといって、必ずしも許可取得をあきらめる必要はありません。
例えば、過去の経歴を詳しく確認すると、経営業務の管理に関する経験が認められる場合があります。
また、法人化して、必要な経営経験を有する方を常勤役員等として迎える方法も考えられます。
実際に当事務所では、独立して3年のお客様が、建設会社で長年役員を務めていたお父様を新設会社の取締役として迎え、建設業許可を取得した事例があります。
もちろん、名前だけの役員では認められません。
実際に常勤役員等として勤務し、経営に携わる必要があります。
このように、現在の経営経験が不足していても、別の方法で要件を満たせる場合があります。
【要件②】営業所技術者等を配置していること
建設業許可を取得するためには、営業所ごとに営業所技術者等を配置する必要があります。
以前は「専任技術者」と呼ばれていましたが、2024年12月13日施行の改正により、現在は「営業所技術者等」という名称が使用されています。
9.営業所技術者等とは?
営業所技術者等とは、建設工事の請負契約に関する技術的な業務を担当する技術者です。
建設業許可では、許可を受けようとする業種について、必要な資格や実務経験などを有する方を営業所ごとに配置する必要があります。
また、営業所技術者等は、原則として所属する営業所に常勤し、専らその職務に従事する必要があります。
ただし、一定の要件を満たす場合には、現場の主任技術者や監理技術者との兼務が認められることがあります。
10.営業所技術者等になるための要件
一般建設業許可の場合、主に次の方法があります。
① 国家資格による方法
許可を取得したい建設業種に対応する国家資格などを有している場合です。
例えば、次のような資格があります。
- 1級土木施工管理技士
- 2級土木施工管理技士
- 1級建築施工管理技士
- 2級建築施工管理技士
- 1級管工事施工管理技士
- 2級管工事施工管理技士
- 1級電気工事施工管理技士
- 2級電気工事施工管理技士
ただし、資格によって対応する建設業種は異なります。
また、資格の種別や取得状況によっても取扱いが異なることがあります。
そのため、国家資格を持っていれば、どの業種の許可でも取得できるというわけではありません。
② 指定学科の卒業と実務経験による方法
一定の指定学科を卒業し、必要な実務経験を有する場合にも、営業所技術者等の要件を満たせることがあります。
一般的な基準は、次のとおりです。
| 学歴 | 必要な実務経験 |
|---|---|
| 大学の指定学科卒業 | 卒業後3年以上 |
| 高等専門学校の指定学科卒業 | 卒業後3年以上 |
| 高等学校の指定学科卒業 | 卒業後5年以上 |
| 中等教育学校の指定学科卒業 | 卒業後5年以上 |
一定の専門学校卒業者などについても、所定の条件により実務経験年数が短縮される場合があります。
また、施工管理技術検定の第一次検定合格者についても、対象業種などの条件を満たせば、必要な実務経験年数が短縮される制度があります。
③ 10年以上の実務経験による方法
国家資格がなく、指定学科を卒業していない場合でも、原則として許可を取得したい建設業種について10年以上の実務経験があれば、営業所技術者等の要件を満たせる場合があります。
例えば、管工事業の許可を取得したい場合、管工事に関する10年以上の実務経験が認められれば、要件を満たせる可能性があります。
ただし、建設会社に10年間勤務していただけでは足りません。
その期間に、実際にどのような工事に従事していたのかが重要です。
実務経験を証明できるかが重要
営業所技術者等の要件では、資格や実務経験があることだけでなく、それを証明できることも重要です。
例えば、実務経験を証明するために、次のような資料が必要になることがあります。
- 工事請負契約書
- 注文書
- 請求書
- 建設業許可関係書類
- 在籍期間を確認できる資料
必要な資料は、過去の勤務先や申請先の取扱いによって異なります。
また、特定建設業許可では、一般建設業許可より厳しい技術者要件が設けられています。
11.常勤役員等と営業所技術者等は兼任できる?
建設業許可について、よくいただくご質問です。
「社長一人で建設業許可を取得することはできますか?」
結論として、必要な要件をすべて満たしていれば、一人で常勤役員等と営業所技術者等を兼ねることは可能です。
例えば、個人事業主として10年以上建設業を営んでおり、必要な経営経験と技術者としての実務経験を有している場合です。
このような場合には、事業主本人が両方の要件を満たせる可能性があります。
ただし、それぞれの経験を証明できることや、常勤性などの要件を満たす必要があります。
【要件③】誠実性があること
建設業許可を取得するためには、請負契約の締結や履行について、不正または不誠実な行為をするおそれが明らかな者でないことが求められます。
これが誠実性の要件です。
12.不正な行為とは?
不正な行為とは、請負契約の締結や履行に関して、法律に違反する行為をいいます。
例えば、次のような行為です。
- 詐欺
- 脅迫
- 横領
- 文書偽造
これらの行為について、一定の事情がある場合には、誠実性の要件を満たさないと判断される可能性があります。
13.不誠実な行為とは?
不誠実な行為とは、請負契約に違反する行為などをいいます。
例えば、正当な理由なく契約内容に反する施工を行う場合などです。
また、建築士法や宅地建物取引業法などに基づく免許取消処分を受けている場合には、その内容や経過期間などによって、誠実性の判断に影響することがあります。
建設業許可では、単に技術力があるだけでなく、発注者や取引先に対して誠実に対応できることが求められています。
【要件④】財産的基礎または金銭的信用があること
建設業許可を取得するためには、一定の財産的基礎または金銭的信用が必要です。
建設業では、工事代金が入金される前に、材料費や外注費、従業員の給与などを支払わなければならないことがあります。
そのため、建設工事を適正に施工するための資金的な裏付けが求められています。
14.一般建設業許可の財産的基礎
一般建設業許可の場合、原則として次のいずれかの要件を満たす必要があります。
① 自己資本が500万円以上あること
② 500万円以上の資金調達能力があること
③ 許可申請直前の過去5年間、許可を受けて継続して営業した実績があること
新規許可申請の場合には、主に①または②の要件を確認することになります。
自己資本500万円とは?
ここで注意していただきたいのは、自己資本と資本金は必ずしも同じではないということです。
例えば、株式会社の資本金が500万円であっても、その後の経営状況によっては、自己資本が500万円未満になっている場合があります。
逆に、資本金が300万円でも、利益剰余金などを含めた自己資本が500万円以上になっている場合があります。
そのため、単純に資本金だけで判断することはできません。
資本金が500万円未満でも許可は取れる?
はい。資本金が500万円未満でも、建設業許可を取得できる場合があります。
例えば、500万円以上の資金調達能力を証明できる場合です。
申請先の取扱いによっては、金融機関の残高証明書などによって確認することがあります。
ただし、残高証明書の有効期間や必要な記載内容などは、申請先によって異なります。
また、500万円以上の預金残高がない場合でも、金融機関の融資証明書などによって資金調達能力を確認できる場合があります。
そのため、資本金や預金残高が500万円未満だからといって、必ずしも建設業許可をあきらめる必要はありません。
なお、特定建設業許可の場合には、欠損比率、流動比率、資本金、自己資本などについて、一般建設業許可より厳しい財産的基礎の要件があります。
【要件⑤】欠格要件に該当しないこと
建設業許可を取得するためには、申請者や一定の役員等が、建設業法で定められた欠格要件に該当していないことが必要です。
欠格要件に該当している場合には、原則として建設業許可を取得できません。
15.欠格要件の対象となる人
欠格要件の確認対象となる方には、例えば次のような方が含まれます。
法人の場合
- 取締役などの役員
- 一定の執行役員等
- 相談役や顧問などで、会社に対して役員と同等以上の支配力を有する者
- 一定の株主や出資者
- 令第3条に規定する使用人
個人事業主の場合
- 個人事業主本人
- 登記された支配人など
実際の対象範囲は、会社の形態や役員構成などによって異なります。
主な欠格要件
例えば、次のようなものがあります。
- 破産手続開始の決定を受け、復権を得ていない場合
- 一定の理由で建設業許可を取り消され、所定の期間を経過していない場合
- 一定の刑罰を受け、所定の期間を経過していない場合
- 暴力団員等に該当する場合
- 暴力団員等に事業活動を支配されている場合
- 申請書類に重要な虚偽の記載がある場合
欠格要件は、単に犯罪歴の有無だけで判断するものではありません。
処分の内容、刑罰の種類、経過期間、役員との関係などによって判断が異なります。
そのため、気になる事情がある場合には、申請前に確認することが重要です。
許可取得後に欠格要件に該当した場合
建設業許可を取得した後でも、役員等が欠格要件に該当することになった場合には、許可の取消しにつながることがあります。
また、所定の届出が必要になる場合もあります。
そのため、建設業許可を取得した後も、役員の変更や欠格要件への該当について注意する必要があります。
【要件⑥】適切な社会保険に加入していること
建設業許可を取得するためには、健康保険、厚生年金保険、雇用保険について、法令上必要な届出が適切に行われていることが求められます。
ただし、すべての建設業者が、必ず3種類すべての保険に加入しなければならないというわけではありません。
法人か個人事業主か、従業員を雇用しているかなどによって、加入義務が異なります。
16.健康保険・厚生年金保険
法人の場合
株式会社や合同会社などの法人は、原則として健康保険・厚生年金保険の適用事業所になります。
社長一人の会社であっても、役員報酬の支給状況などによって加入義務が生じます。
個人事業主の場合
建設業を営む個人事業主の場合、原則として常時5人以上の従業員を使用している場合には、健康保険・厚生年金保険の強制適用事業所になります。
一方、常時使用する従業員が5人未満の場合には、原則として強制適用事業所にはなりません。
ただし、従業員数の数え方や雇用形態などによって判断が異なる場合があります。
また、建設国保などの国民健康保険組合に加入している場合には、健康保険の適用除外承認が関係することがあります。
17.雇用保険
雇用保険は、法人か個人事業主かにかかわらず、原則として雇用保険の適用対象となる労働者を1人でも雇用している場合には、加入手続きが必要になります。
ただし、すべての従業員が必ず雇用保険の対象になるわけではありません。
例えば、所定労働時間や雇用見込み期間などによって、加入対象になるかどうかが判断されます。
また、法人の役員のみで構成される会社や、個人事業主本人と同居の親族のみで営む事業については、雇用保険の取扱いが異なる場合があります。
建設業許可の申請では、加入義務のある社会保険について、適切な届出が行われていることを確認する必要があります。
18.建設業許可には営業所も必要
ここまで6つの要件を説明してきましたが、建設業許可では営業所についても確認が必要です。
建設業法上の営業所とは、建設工事の請負契約の締結に関する実体的な行為を継続して行う事務所などをいいます。
例えば、次のような業務を行う場所です。
- 工事の見積書の作成
- 工事請負契約の締結
- 工事の受注に関する交渉
- 請負契約に関する指導監督
単に会社の住所として登記されているだけでは、営業所として認められない場合があります。
自宅でも建設業許可は取得できる?
自宅を営業所として建設業許可を取得することも可能です。
例えば、個人事業主が自宅の一室で見積書の作成や契約事務を行っている場合です。
ただし、営業所としての実態があり、必要な要件を満たしていることが重要です。
賃貸住宅やマンションの場合には、賃貸借契約や管理規約などについても確認する必要があります。
19.知事許可と大臣許可の違い
建設業許可には、都道府県知事許可と国土交通大臣許可があります。
この違いは、営業所の所在地によって判断します。
都道府県知事許可
一つの都道府県内にのみ建設業の営業所を設ける場合には、原則として都道府県知事許可になります。
例えば、新潟県内にのみ営業所がある建設会社であれば、新潟県知事許可の対象になります。
国土交通大臣許可
二つ以上の都道府県に建設業の営業所を設ける場合には、国土交通大臣許可が必要になります。
例えば、新潟県と東京都の両方に建設業の営業所を設ける場合です。
知事許可でも県外の工事はできる?
はい。知事許可であっても、営業所の配置に関する要件を満たしていれば、他の都道府県の工事を施工することができます。
「新潟県知事許可だから新潟県内の工事しかできない」というわけではありません。
ただし、建設工事の請負契約を締結する営業所の設置状況には注意が必要です。
20.建設業許可を取得するまでの流れ
建設業許可を取得する場合、一般的には次のような流れになります。
STEP1.取得したい建設業種を確認する
まず、自社が請け負っている工事が、29業種のうちどの業種に該当するか確認します。
業種の判断を誤ると、必要な許可を取得できない場合があります。
STEP2.許可要件を確認する
常勤役員等、営業所技術者等、財産的基礎などの要件を満たしているか確認します。
特に、経営経験や実務経験については、過去の経歴を詳しく確認することが重要です。
STEP3.必要な証明資料を収集する
建設業許可では、申請書を作成するだけでなく、各要件を証明するための資料が必要です。
例えば、次のような資料です。
- 登記事項証明書
- 決算書
- 工事請負契約書
- 工事注文書
- 請求書
- 資格証明書
- 卒業証明書
- 社会保険関係書類
- 財産的基礎を確認する資料
必要な資料は、申請内容や過去の経歴によって異なります。
STEP4.建設業許可申請書を作成する
必要な情報を整理し、建設業許可申請書や各種添付書類を作成します。
STEP5.許可行政庁へ申請する
必要書類が整ったら、許可行政庁へ申請します。
申請方法については、窓口申請のほか、電子申請に対応している場合もあります。
STEP6.審査を受ける
申請後、許可行政庁による審査が行われます。
書類に不備がある場合には、補正や追加資料の提出を求められることがあります。
STEP7.建設業許可を取得する
審査の結果、要件を満たしていると認められれば、建設業許可を取得できます。
21.建設業許可の申請に必要な費用
建設業許可の申請には、申請手数料などが必要です。
都道府県知事許可の場合
新規許可申請の手数料は、原則として9万円です。
国土交通大臣許可の場合
新規許可申請では、登録免許税として原則15万円が必要です。
なお、一般建設業許可と特定建設業許可を同時に申請する場合などには、費用の取扱いが異なります。
また、行政書士に申請手続きを依頼する場合には、別途報酬が必要になります。
22.建設業許可の取得にはどのくらいの期間がかかる?
建設業許可の取得までに必要な期間は、申請先や申請内容によって異なります。
また、許可行政庁による審査期間とは別に、申請書類を準備する期間も必要です。
特に、次のような場合には、準備に時間がかかることがあります。
- 過去の経営経験を証明する資料が不足している
- 実務経験を証明するための工事資料が大量に必要
- 過去の勤務先から資料を取り寄せる必要がある
- 会社設立と同時に許可を取得する
- 営業所の使用関係を整理する必要がある
- 社会保険の加入手続きが必要
そのため、建設業許可が必要になる時期が決まっている場合には、できるだけ早めに準備を始めることをおすすめします。
23.建設業許可を取得した後にも手続きが必要
建設業許可は、取得したら終わりではありません。
許可取得後にも、さまざまな手続きが必要になります。
① 決算変更届
建設業許可を取得している業者は、原則として毎事業年度終了後4か月以内に決算変更届を提出する必要があります。
② 各種変更届
例えば、次のような変更があった場合には、所定の変更届が必要になります。
- 商号の変更
- 本店所在地の変更
- 役員の変更
- 常勤役員等の変更
- 営業所技術者等の変更
- 営業所の変更
変更内容によって提出期限が異なるため、注意が必要です。
③ 建設業許可の更新
建設業許可の有効期間は5年間です。
引き続き建設業許可を維持するためには、有効期間満了前に更新申請を行う必要があります。
更新を忘れて許可が失効すると、原則として新規許可を取得し直す必要があります。
そのため、許可取得後も適切な管理を行うことが重要です。
24.建設業許可の要件を満たしていない場合はどうする?
当事務所では、建設業許可のご相談を受けた際、まずはお客様の現在の状況を詳しく確認しています。
その結果、現時点では許可要件を満たしていないこともあります。
しかし、そこで終わりにするのではなく、要件を満たすための方法がないか検討することが重要だと考えています。
例えば、次のようなケースです。
ケース①.経営経験が不足している
個人事業主として独立して3年しか経っていない場合です。
この場合、過去の経営経験や補佐経験を確認するほか、経営経験のある方を役員として迎えて法人化する方法などが考えられます。
ケース②.国家資格がない
国家資格を持っていなくても、一定の実務経験によって営業所技術者等の要件を満たせる場合があります。
ケース③.資本金が500万円未満
資本金が500万円未満でも、自己資本や資金調達能力などによって財産的基礎の要件を満たせる場合があります。
ケース④.自宅を営業所にしている
自宅兼事務所でも、営業所としての実態があり、必要な要件を満たしていれば許可を取得できる場合があります。
ケース⑤.法人化を検討している
個人事業主のままでは要件を満たせなくても、法人化によって経営体制を整えられる場合があります。
ただし、法人化には税務や社会保険などの問題もあるため、慎重な検討が必要です。
25.建設業許可の取得を自分であきらめないでください
建設業許可のご相談では、
「インターネットで調べたところ、自分では許可を取れないと思いました」
「知り合いの建設会社の社長から、難しいと言われました」
「経営経験が足りないので、あと数年待つしかないと思っています」
といったお話を伺うことがあります。
もちろん、建設業許可には法律で定められた要件があるため、どのような場合でも取得できるわけではありません。
しかし、許可要件は複雑です。
ご自身で調べただけでは、取得できる可能性を見落としてしまうことがあります。
特に、経営経験や実務経験については、過去の勤務先や担当業務を詳しく確認することで、要件を満たせる場合があります。
また、法人化や役員構成の見直しなどによって、許可取得の可能性が生まれることもあります。
建設業許可を取得できるかどうかは、現在の状況だけでなく、過去の経歴や今後の事業計画も含めて判断することが重要です。
私は、建設業許可の取得を検討している方には、要件を満たしていないと思っても、すぐにあきらめず、専門家に相談していただきたいと考えています。
26.建設業許可の取得を行政書士に依頼するメリット
建設業許可の申請は、ご自身で行うことも可能です。
しかし、建設業許可では、申請書の作成だけでなく、経営経験や実務経験などを証明するための資料を準備する必要があります。
特に、次のような場合には、手続きが複雑になることがあります。
- 過去の経営経験を証明する資料が不足している
- 複数の会社での勤務経験を確認する必要がある
- 国家資格がなく、実務経験で申請する
- 個人事業主から法人化する
- 複数の建設業種の許可を取得する
- 会社設立と同時に建設業許可を取得する
行政書士に依頼することで、要件の確認から必要書類の収集、申請書の作成、許可行政庁との確認などをサポートしてもらうことができます。
また、申請前に問題点を確認し、必要な対策を検討できることもメリットです。
27.会社設立と建設業許可を同時に進めることも可能
これから建設会社を設立する方や、個人事業主から法人化する方の場合には、会社設立と建設業許可を同時に検討することをおすすめします。
なぜなら、会社設立後に建設業許可の要件を確認すると、役員構成や資本金、営業所などについて問題が生じる場合があるからです。
例えば、次のようなケースです。
「会社を設立したものの、常勤役員等の要件を満たす人がいなかった」
「営業所技術者等の資格を確認していなかった」
「資本金の額について、建設業許可との関係を検討していなかった」
このような問題を避けるためには、会社設立前から建設業許可の要件を確認しておくことが重要です。
当事務所では司法書士法人を併設しておりますので、会社設立登記と建設業許可申請について、連携して対応することが可能です。
28.まとめ|建設業許可の取得は事前の要件確認が重要
建設業許可を取得するためには、建設業法で定められた要件を満たす必要があります。
主な要件は、次の6つです。
① 建設業の経営業務を適正に管理する体制があること
② 営業所技術者等を配置していること
③ 誠実性があること
④ 財産的基礎または金銭的信用があること
⑤ 欠格要件に該当しないこと
⑥ 適切な社会保険に加入していること
これらに加えて、営業所の実態などについても確認する必要があります。
建設業許可の要件は複雑であり、過去の経歴や現在の事業状況によって判断が異なることがあります。
そのため、建設業許可の取得を検討している場合には、まずは必要な要件を満たしているか確認することが重要です。
また、現時点で要件を満たしていない場合でも、別の方法によって許可を取得できる可能性があります。
建設業許可の取得は、単なる手続きではなく、これから事業を成長させていくための重要な一歩です。
建設業許可を取得することで、これまで受注できなかった工事を請け負えるようになったり、新しい元請会社との取引が始まったりする可能性があります。
建設業許可の取得をお考えの方は、ぜひ一度、専門家へご相談ください。
建設業許可の取得はトラスト行政書士事務所へ
トラスト行政書士事務所では、新潟県を中心に、建設業許可の新規申請、更新、業種追加、各種変更届などの手続きをサポートしております。
これまで多くの建設業者の方から、建設業許可に関するご相談をいただいてまいりました。
「建設業許可を取得したいが、何から始めればよいかわからない」
「経営経験が足りないので、許可を取得できるか相談したい」
「国家資格がないが、実務経験で許可を取得したい」
「資本金が500万円未満でも許可を取得できるか確認したい」
「個人事業主から法人化して建設業許可を取得したい」
「会社設立登記と建設業許可をまとめて依頼したい」
このようなお悩みがありましたら、トラスト行政書士事務所までお気軽にお問い合わせください。
お客様の経歴や事業の状況を詳しく確認し、建設業許可を取得するために必要な手続きをご案内いたします。
また、司法書士法人を併設しておりますので、会社設立登記から建設業許可の取得まで、連携してサポートすることが可能です。
建設業許可の取得を、要件が難しそうだからという理由だけであきらめないでください。
これからの事業の成長・発展に向けて、トラスト行政書士事務所がお手伝いいたします。




