給排水設備工事や空調設備工事、ガス配管工事などを営んでいる建設業者様の中には、「管工事業の建設業許可を取得したい」「どのような工事が管工事業に該当するのだろうか」「許可を取得するには、どのような要件を満たす必要があるのだろうか」と疑問をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
管工事業は、住宅や店舗、工場、事務所などの建築物に欠かせない設備を施工する専門工事です。給排水や冷暖房、空調、ガスなど、私たちの生活や事業活動を支える幅広い工事が含まれます。
一方で、管工事業と水道施設工事業、機械器具設置工事業などは、工事の内容によって区別する必要があります。
この記事では、管工事業に該当する工事の具体例から、建設業許可が必要になるケース、許可取得の要件、取得するメリットまで、わかりやすく解説します。
1.管工事業とは?
管工事業とは、冷暖房、冷凍冷蔵、空気調和、給排水、衛生などのための設備を設置する工事や、金属製などの管を使用して水、油、ガス、水蒸気などを送配するための設備を設置する工事をいいます。
具体的には、建物の中に給水管や排水管を設置したり、エアコンなどの空調設備を施工したり、ガスを供給するための配管を設置したりする工事が代表例です。
管工事業は、建物を利用する人が安全かつ快適に生活・活動するために欠かせない業種です。
例えば、住宅であれば、キッチンや浴室、トイレなどに水を供給し、使用した水を排出するための設備が必要です。また、店舗や工場では、業務内容に応じて空調設備や冷凍冷蔵設備などが必要になります。
こうした設備の施工に携わる建設業者にとって、管工事業の建設業許可は重要なものといえます。
2.管工事業に該当する工事の具体例
管工事業には、次のような工事が含まれます。
(1)給排水設備工事
建物に水を供給し、使用した水を排出するための設備を設置する工事です。
例えば、次のような工事があります。
- 建物内部の給水管・排水管の設置
- キッチンや浴室、トイレなどの給排水配管工事
- 給湯設備の配管工事
- 建物内の給排水設備の改修工事
給排水設備は、住宅だけでなく、店舗、事務所、工場などにも必要です。
なお、建物の敷地内で行う配管工事と、公道下などで行う上下水道関連の工事では、該当する建設業許可の業種が異なる場合があります。工事場所や施工内容を確認することが大切です。
(2)空調設備工事
建物の温度や湿度、空気の流れなどを調整するための設備を設置する工事です。
例えば、次のような工事があります。
- 業務用エアコンの設置に伴う配管工事
- 空調設備の冷媒配管工事
- ビルや工場などの空調設備工事
- 空調設備の更新に伴う配管工事
住宅用・業務用を問わず、空調設備の設置工事は、施工内容に応じて管工事業に該当します。
ただし、エアコンの設置に伴う工事であっても、電気配線工事など、別の業種に該当する工事が含まれる場合があります。
(3)冷凍冷蔵設備工事
冷凍・冷蔵設備を設置するための工事です。
例えば、食品を取り扱う店舗や飲食店、食品工場などで使用される冷凍冷蔵設備に関する配管工事が挙げられます。
冷凍冷蔵設備の施工では、冷媒配管などの専門的な技術が必要となります。
工事の内容によっては、機械器具設置工事業などとの区別が必要になるため、実際に請け負う工事の内容を確認することが重要です。
(4)ガス配管工事
ガスを供給するための配管設備を設置する工事です。
例えば、建物内でガスコンロや給湯器などを使用するための配管工事が該当する場合があります。
ただし、ガス配管工事については、建設業許可の業種区分だけでなく、工事の対象や内容に応じて、ガス事業法などの関係法令や必要な資格・資格者の配置などを確認する必要があります。
建設業許可を取得すれば、関連するすべての工事を無条件に行えるというわけではありません。
(5)ダクト工事
空気を送ったり排出したりするためのダクトを設置する工事です。
例えば、次のような工事があります。
- 空調設備に伴うダクトの設置
- 換気設備のダクト工事
- 厨房の排気設備に関するダクト工事
- ビルや工場などの換気設備工事
ダクト工事は、空調設備や換気設備と密接に関係する工事です。施工内容によっては、管工事業に該当します。
(6)浄化槽工事
浄化槽を設置するための工事も、建設業許可の業種区分上、管工事業に含まれる場合があります。
ただし、浄化槽に関連する工事のすべてが管工事業になるわけではありません。浄化槽の設置に関する工事なのか、処理施設そのものを築造する工事なのかなど、実際の施工内容によって区分が異なることがあります。
3.管工事業とほかの建設業許可の業種との違い
管工事業は、ほかの建設業許可の業種と区別が必要になることがあります。
特に、水道施設工事業、土木工事業、機械器具設置工事業、電気工事業などとの違いを理解しておくことが重要です。
(1)管工事業と水道施設工事業の違い
管工事業と水道施設工事業は、給排水や水道に関係する工事で混同されやすい業種です。
一般的には、建物の敷地内で行う給排水配管工事などは管工事業に該当する場合があります。
一方、上水道の取水・導水・配水施設や、下水処理場内の処理設備などを築造・整備する工事は、水道施設工事業に該当する場合があります。
例えば、住宅の内部に給水管を設置する工事と、上水道の配水施設そのものを整備する工事では、対象となる設備や工事の性質が異なります。
ただし、配管工事であれば必ず管工事業になるというわけではありません。公道下の下水道配管工事などは、施工内容によって土木一式工事などに区分される場合もあります。
(2)管工事業と土木工事業の違い
土木工事業は、総合的な企画、指導、調整のもとに土木工作物を建設する工事を対象とする業種です。
一方、管工事業は、給排水設備や空調設備などの設備を設置する専門工事です。
例えば、建物内の給排水管を施工する工事は管工事業に該当する場合があります。
これに対し、道路の下に下水道管を敷設する工事などは、施工内容に応じて土木一式工事などに該当する場合があります。
同じ配管工事でも、施工する場所や工事の目的によって業種区分が変わる可能性があるため、注意が必要です。
(3)管工事業と機械器具設置工事業の違い
機械器具設置工事業は、機械器具の組立てなどにより工作物を建設し、または工作物に機械器具を取り付ける工事を対象とする業種です。
例えば、機械器具の組立てや据付けを伴う設備工事などが該当する場合があります。
一方、空調設備や冷凍冷蔵設備などに関する工事は、原則として、それぞれの設備の施工内容に応じて管工事業などに区分されます。
機械設備が関係するからといって、すべて機械器具設置工事業になるわけではありません。関連する専門工事の業種区分を確認する必要があります。
(4)管工事業と電気工事業の違い
電気工事業は、発電設備、変電設備、送配電設備、構内電気設備などを設置する工事を対象とする業種です。
一方、管工事業は、給排水設備や空調設備などの設置を中心とする業種です。
例えば、業務用エアコンの設置では、冷媒配管などの工事が管工事業に該当する一方、電源の配線などは電気工事業に該当する場合があります。
一つの工事契約の中に複数の業種に関係する施工が含まれることもあるため、契約内容や施工の実態に応じて必要な許可を検討することが大切です。
4.管工事業の建設業許可が必要になるのはどのような場合?
建設業を営む場合、原則として建設業許可が必要ですが、軽微な建設工事のみを請け負う場合には、許可が不要とされています。
管工事業のような専門工事では、原則として、1件の請負代金が**500万円未満(税込)**の工事のみを請け負う場合は、建設業許可がなくても営業できます。
一方、1件の請負代金が500万円以上(税込)の管工事を請け負う場合には、原則として管工事業の建設業許可が必要です。
ここで注意したいのは、500万円という金額は、材料費や工事費などを含めた請負代金を基準に判断するという点です。
注文者から材料の提供を受ける場合には、その材料の市場価格なども考慮する必要があります。また、正当な理由なく契約を分割しても、許可が不要になるわけではありません。
建設業許可には、主に次のような区分があります。
- 都道府県知事許可・国土交通大臣許可:営業所の設置状況などによって区分されます。
- 一般建設業許可・特定建設業許可:元請として締結する下請契約の規模などによって区分されます。
管工事業の許可を取得する場合にも、自社の営業所の状況や受注する工事の内容などを踏まえて、適切な許可を選択する必要があります。
5.管工事業の建設業許可を取得するための要件
管工事業の建設業許可を取得するには、建設業法に定められた要件を満たす必要があります。
主な確認事項は、次のとおりです。
(1)経営業務の管理体制
建設業の経営について、一定の経験や管理能力を有する体制が必要です。
過去の建設業の経営経験や役職、経営に関与していた期間などを確認し、法令で定められた要件を満たしているかを判断します。
以前の制度で使われていた「経営業務の管理責任者」という言葉だけで判断するのではなく、現在の制度に沿って経営体制全体を確認する必要があります。
(2)営業所技術者等の配置
許可を受けようとする営業所には、管工事業について必要な知識や経験を有する営業所技術者等を配置する必要があります。
一般建設業許可では、一定の国家資格を有していることや、学歴に応じた実務経験、原則10年以上の実務経験などによって要件を満たせる場合があります。
管工事業では、管工事施工管理技士などの資格が関係しますが、保有資格によって認められる許可の区分や要件が異なります。
また、指定学科を卒業している場合には、一定の実務経験によって要件を満たせることもあります。管工事業に関係する指定学科には、土木工学、建築学、機械工学、都市工学、衛生工学に関する学科などがあります。
特定建設業許可では、一般建設業許可よりも厳しい技術者要件が定められています。
資格や学歴、実務経験の内容によって要件を満たせるかどうかが異なるため、申請前に確認することが重要です。
(3)誠実性
請負契約の締結や履行に関して、不正または不誠実な行為をするおそれが明らかな場合には、許可を受けられないことがあります。
建設業許可を取得するためには、法令に定められた誠実性の要件を満たす必要があります。
(4)財産的基礎など
一般建設業許可では、一定の財産的基礎や資金調達能力などが求められます。
例えば、自己資本の額や資金調達能力など、法令で定められた基準を満たしているかを確認します。
特定建設業許可では、一般建設業許可よりも厳しい財産的基礎の要件が設けられています。
(5)欠格要件などに該当しないこと
申請者や役員などが、法令で定められた欠格要件に該当しないことも必要です。
これらの要件を確認したうえで、必要な申請書類や確認資料を準備し、申請を行います。
6.管工事業の建設業許可を取得するメリット
管工事業の建設業許可を取得することには、次のようなメリットがあります。
(1)500万円以上の工事を請け負える
管工事業の許可を取得することで、軽微な建設工事の範囲を超える工事を原則として請け負えるようになります。
大規模な給排水設備工事や空調設備工事、工場の配管工事など、請負金額の大きい工事にも対応しやすくなります。
(2)元請会社との取引に対応しやすくなる
元請会社によっては、下請業者に対して建設業許可の取得を求める場合があります。
許可を取得しておくことで、取引先の要望に対応しやすくなり、新たな受注機会につながる可能性があります。
特に、設備工事を継続的に請け負っている会社にとっては、事業の拡大を検討するうえで重要なポイントとなります。
(3)会社の信用力向上につながる
建設業許可を取得するには、経営体制や技術者、財産的基礎などについて一定の要件を満たす必要があります。
そのため、許可を取得していることは、取引先に自社の体制を説明する際の一つの材料になります。
ただし、許可を取得すれば必ず受注が増えるというわけではありません。施工実績や技術力、取引先との信頼関係なども重要です。
7.管工事業の建設業許可を取得する際の注意点
管工事業の許可申請では、経営経験や技術者の資格・実務経験などを証明するための資料が必要になります。
特に、実務経験によって営業所技術者等の要件を満たそうとする場合には、どのような工事に従事していたのか、必要な経験期間を証明できるかなどを確認することが重要です。
長年、給排水設備工事や空調設備工事を行っている場合でも、許可申請で必要となる実務経験を適切に証明できなければ、申請がスムーズに進まないことがあります。
また、管工事業と水道施設工事業、土木工事業などの業種区分を正しく判断することも大切です。
例えば、建物内部の給排水配管工事と、公道下の下水道配管工事では、必要となる許可の業種が異なる場合があります。
さらに、建設業許可とは別に、工事の種類や事業内容によっては、ほかの法令に基づく登録、届出、資格者の配置などが必要になることもあります。
自社が請け負っている工事の内容を整理し、必要な許可や手続きを事前に確認しておきましょう。
8.新潟県で管工事業の建設業許可を取得するならご相談ください
管工事業の建設業許可を取得するには、自社が行っている工事の内容を確認するとともに、経営体制や技術者の資格・実務経験などを整理する必要があります。
また、すでに別の業種の建設業許可を取得している会社が、管工事業の許可を追加する場合にも、要件の確認や必要書類の準備が必要です。
当事務所では、新潟市および新潟市近郊の建設業者様を対象に、建設業許可の新規取得や業種追加などのご相談を承っております。
建設業許可の手続きに加え、会社の目的変更や役員変更などの登記手続きについても、必要に応じてご相談いただけます。
「管工事業の許可を取得できるか確認したい」「管工事施工管理技士などの資格を活用できるか知りたい」「実務経験で営業所技術者等の要件を満たせるか確認したい」「元請会社から許可取得を求められている」といったお悩みがありましたら、お気軽にお問い合わせください。
現在の状況を確認しながら、建設業許可の取得に向けて必要な手続きをご案内いたします。



