道路や駐車場、工場の敷地などを舗装する工事を請け負っている建設業者様の中には、「舗装工事業の建設業許可は必要なのだろうか」「許可を取得するには、どのような要件を満たせばよいのだろうか」と疑問に思われている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
舗装工事は、道路や駐車場などの利便性や安全性を確保するために欠かせない工事です。アスファルトやコンクリートなどを使用して路面を整備するだけでなく、工事の内容によっては路床や路盤の整備なども行います。
舗装工事を専門に請け負う建設業者様にとって、建設業許可の取得は、受注できる工事の範囲を広げ、元請業者や発注者からの信頼を高めるうえでも重要です。
今回は、舗装工事業とはどのような業種なのか、建設業許可が必要となるケース、ほかの業種との違い、許可取得の要件について、わかりやすく解説します。
1.舗装工事業とは?
舗装工事とは、道路などの地面を舗装するために、アスファルト、コンクリート、砂、砂利、砕石などを使用して路面を整備する工事です。
建設業許可における正式な業種区分は「舗装工事」です。
舗装工事は、単に地面の上にアスファルトなどを敷き詰めればよいというものではありません。交通量や使用目的、地盤の状態などに応じて、適切な構造や材料を選択し、耐久性や安全性を確保する必要があります。
例えば、一般道路と大型トラックが頻繁に通行する工場の構内道路では、求められる舗装の構造や強度が異なる場合があります。
また、舗装の種類によって施工方法や使用する機械も異なります。
舗装工事の具体例
舗装工事に該当する工事としては、次のようなものが挙げられます。
- アスファルト舗装工事
- コンクリート舗装工事
- 道路の舗装工事
- 駐車場の舗装工事
- 工場や倉庫の構内道路の舗装工事
- 歩道の舗装工事
- 既存舗装の打換え工事
- 舗装の補修工事
- 路盤を整備して行う舗装工事
ただし、工事の名称だけで建設業許可の業種が決まるわけではありません。実際の施工内容や工事全体の目的によって判断する必要があります。
例えば、道路の舗装工事に付随して土砂の掘削や排水設備の設置などを行う場合には、それぞれの作業の内容や工事全体における位置付けを確認することが大切です。
2.舗装工事業の建設業許可が必要になるのはどのような場合?
建設業を営む場合、原則として建設業許可が必要ですが、軽微な建設工事のみを請け負う場合には、許可を取得しなくても営業できます。
舗装工事のような専門工事については、原則として、1件の請負代金が500万円以上(税込み)の工事を請け負う場合、建設業許可が必要です。
例えば、次のようなケースが考えられます。
- 300万円の駐車場舗装工事を請け負う場合:ほかの条件に問題がなければ、原則として許可は不要
- 700万円の工場構内の舗装工事を請け負う場合:原則として舗装工事業の建設業許可が必要
- 1,000万円のアスファルト舗装工事を請け負う場合:原則として舗装工事業の建設業許可が必要
ここでいう請負代金には、消費税及び地方消費税が含まれます。
また、注文者が材料を提供する場合には、その材料の市場価格などを含めて請負代金を判断することがあります。許可を取得しなくても済むように、正当な理由なく工事を分割して契約することも認められません。
そのため、契約書に記載された金額だけで許可の要否を判断するのは危険です。
なお、建設業許可を取得していなくても請け負えるのは、あくまで軽微な建設工事に限られます。実際の工事内容や契約形態を確認したうえで判断しましょう。
3.舗装工事業と土木一式工事業の違い
舗装工事業と混同されやすい業種の一つに、土木一式工事業があります。
道路の建設や整備では、土工事、排水設備の設置、舗装工事など、複数の種類の工事が行われることがあります。そのため、どの業種の建設業許可が必要なのか迷うケースも少なくありません。
舗装工事業
舗装工事業は、道路や駐車場などの舗装を専門的に施工する工事を対象とする業種です。
例えば、道路のアスファルト舗装だけを専門業者として請け負う場合や、駐車場の舗装工事を請け負う場合などが該当します。
土木一式工事業
土木一式工事業は、原則として総合的な企画、指導、調整のもとに土木工作物を建設する工事を対象とする業種です。
例えば、道路の新設や改良などにおいて、複数の専門工事を総合的に取りまとめて施工する場合には、土木一式工事に該当する可能性があります。
ただし、工事の規模が大きいという理由だけで、土木一式工事に該当するわけではありません。
舗装工事を専門業者として請け負う場合と、道路全体の建設工事を総合的に請け負う場合では、業種の判断が異なることがあります。
また、土木一式工事業の許可を取得していれば、すべての舗装工事を自由に請け負えるというわけでもありません。
自社が実際に請け負う工事の内容に応じて、必要な許可業種を確認することが大切です。
4.舗装工事業と、とび・土工・コンクリート工事業の違い
舗装工事業と、とび・土工・コンクリート工事業も、区別が必要な業種です。
舗装工事の現場では、舗装する前に地面を掘削したり、砕石を敷き詰めて路盤を整備したりすることがあります。
このような作業は、施工内容によって、とび・土工・コンクリート工事業などとの関係が問題になる場合があります。
例えば、次のように整理できます。
- アスファルトを敷き均し、締め固めて路面を仕上げる工事:舗装工事
- 独立した工事として行う掘削や土砂の運搬など:工事内容に応じて土工事など
- コンクリートを使用する工事:施工内容に応じて舗装工事やコンクリート工事など
ただし、これらはあくまで一般的な考え方です。舗装工事の施工に伴う路床・路盤の整備などは、舗装工事全体の一部として扱われる場合もあります。
工事の一部だけを切り離して判断するのではなく、契約内容や施工の実態を確認することが重要です。
5.舗装工事業の建設業許可を取得するための要件
舗装工事業の建設業許可を取得するためには、建設業法で定められた要件を満たさなければなりません。
主な要件は、次のとおりです。
① 経営業務の管理体制が整っていること
建設業を適切に経営するための体制が整っていることが必要です。
一般的には、建設業に関する一定の経営経験を有する常勤役員等を配置する方法などによって要件を満たします。
例えば、建設会社の役員として一定期間経営に携わっていた方や、建設業を個人事業主として営んできた方などについて、具体的な経歴や経験期間を確認します。
ただし、建設業界で長年働いていたというだけで、必ずしも要件を満たすわけではありません。役員経験や事業主としての経験など、法令上認められる経営経験を確認する必要があります。
② 営業所技術者等を配置していること
建設業許可を取得するためには、営業所ごとに、許可を受けようとする業種について専門的な知識や経験を有する技術者を配置する必要があります。
現在の制度では「営業所技術者等」と呼ばれています。
舗装工事業の場合、例えば次のような資格や経験が要件を満たすための判断材料になります。
- 土木施工管理技士などの所定の国家資格
- 舗装施工管理技術者などの関連資格を有する方の経験・経歴
- 舗装工事に関する一定期間の実務経験
ここで注意したいのは、関連資格を保有していれば、必ず建設業許可の営業所技術者等の要件を満たせるとは限らないという点です。
例えば、舗装施工管理技術者の資格は、舗装に関する技術力を示すうえで重要ですが、それだけで建設業許可の営業所技術者等の資格要件を満たすとは限りません。
国家資格の種類や等級、指定学科の卒業歴、実務経験の内容などによって、認められる要件は異なります。
また、技術者としての資格や経験に加え、営業所における常勤性なども確認する必要があります。
自社の役員や従業員が要件を満たしているか、早めに確認することをおすすめします。
③ 誠実性があること
請負契約の締結や履行に関して、不正または不誠実な行為をするおそれが明らかでないことも要件の一つです。
建設業では、工事の完成や代金の支払いなどについて、発注者や元請業者との信頼関係が重要になります。
そのため、契約に関する不正行為などがないことが求められます。
④ 財産的基礎または金銭的信用があること
建設業許可を取得するためには、工事を適切に施工するための財産的基礎または金銭的信用も必要です。
一般建設業許可の場合、代表的な判断基準として、次のようなものがあります。
- 自己資本が500万円以上あること
- 500万円以上の資金調達能力があること
- 許可申請直前の過去5年間、許可を受けて継続して営業した実績があること
これらは、一般建設業許可における代表的な判断基準です。どの方法で要件を満たすかによって、確認する資料が異なります。
例えば、新たに建設業許可を取得する会社の場合、預金残高証明書などによって資金調達能力を確認することがあります。
なお、特定建設業許可については、財産的基礎に関して一般建設業許可よりも厳しい要件が設けられています。
⑤ 欠格要件に該当しないこと
申請者や役員などが、建設業法で定められた欠格要件に該当しないことも必要です。
一定の法律違反や許可取消しなどに関係する事情がある場合には、許可を取得できないことがあります。
会社の役員や申請者の状況を確認し、問題がないかを事前に把握しておきましょう。
6.舗装工事業の建設業許可を取得するために必要な書類
建設業許可の申請では、会社の状況や経営経験、技術者の資格・経験などを証明するため、さまざまな書類を準備します。
主な書類としては、次のようなものがあります。
- 建設業許可申請書
- 会社の登記事項証明書など、会社の基本情報を確認する書類
- 役員等の経歴や経営経験を証明する書類
- 営業所技術者等の資格証明書や実務経験を証明する書類
- 財産的基礎を証明する書類
- 営業所の所在地や実態を確認する資料
- 欠格要件に該当しないことなどを確認するための書類
実際に必要となる書類は、申請する許可の種類や会社の状況、要件を満たす方法などによって異なります。
特に、実務経験によって営業所技術者等の要件を満たそうとする場合には、経験期間だけでなく、その期間にどのような工事を行っていたのかを証明することが重要です。
過去の契約書、注文書、請求書などの資料を整理しておくと、申請準備を進めやすくなります。
7.舗装工事業の建設業許可を取得するメリット
舗装工事業の建設業許可を取得することには、さまざまなメリットがあります。
① 請け負える工事の範囲が広がる
建設業許可を取得すると、許可の対象となる業種について、軽微な建設工事に限らず、一定金額以上の工事も請け負えるようになります。
これまで請負金額の関係で受注できなかった道路舗装工事や駐車場舗装工事などにも対応できるようになり、事業拡大につながる可能性があります。
② 元請業者からの信頼につながる
元請業者によっては、協力会社に対して建設業許可の取得を求めている場合があります。
許可を取得しておくことで、取引先の条件を満たしやすくなり、新たな受注機会につながることも考えられます。
特に、公共工事や大規模な民間工事への参入を検討している場合には、許可の取得が重要な検討事項となることがあります。
ただし、建設業許可を取得しただけで公共工事を受注できるわけではありません。公共工事への入札参加を希望する場合には、経営事項審査や入札参加資格の申請など、別途必要となる手続きを確認する必要があります。
③ 会社の信用力向上につながる
建設業許可を取得するには、経営体制や技術者、財産的基礎などについて一定の要件を満たす必要があります。
そのため、許可を取得していることは、取引先が会社の体制を確認する際の一つの判断材料になります。
金融機関との取引や新規取引先の開拓などにおいても、会社の信用力を高める一助となる可能性があります。
8.舗装工事業の建設業許可を取得する際の注意点
舗装工事業の許可取得を検討する際には、いくつか注意しておきたい点があります。
自社の工事内容に合った業種を選ぶ
建設業許可は、実際に請け負う工事の内容に応じて業種を判断します。
舗装工事だけでなく、土工事、排水設備工事、コンクリート工事なども請け負っている場合には、それぞれの工事について必要な業種を検討する必要があります。
営業所技術者等の要件を早めに確認する
許可取得にあたっては、営業所技術者等の要件が課題になることがあります。
資格がない場合でも、実務経験によって要件を満たせる可能性はありますが、そのためには経験を証明する資料が必要です。
申請直前になってから資料を探し始めると、必要な書類がそろわず、申請までに時間がかかることがあります。
早い段階で資格や実務経験、証明資料を確認しておくことが重要です。
許可取得後も適切な管理が必要
建設業許可は、一度取得すれば、その後の手続きが不要になるわけではありません。
許可の有効期間は原則として5年間であり、引き続き営業する場合には更新手続きが必要です。
また、決算変更届などの必要な届出や、役員・営業所技術者等の変更に関する手続きも忘れずに行わなければなりません。
許可取得後の管理体制も整えておきましょう。
9.新潟県で舗装工事業の建設業許可を取得するなら
舗装工事業の建設業許可を取得するためには、経営経験、営業所技術者等の資格や実務経験、財産的基礎など、さまざまな要件を確認する必要があります。
「自社で許可を取得できるのかわからない」
「営業所技術者等の要件を満たす従業員がいるか確認したい」
「実務経験を証明する書類がそろっているか不安」
「元請業者から建設業許可を取得するよう求められた」
「公共工事への参入を検討している」
このようなお悩みをお持ちの建設業者様もいらっしゃるのではないでしょうか。
建設業許可は、要件を満たしているかどうかを事前に確認し、必要な資料を適切に準備することが大切です。
当事務所では、新潟市および新潟市近郊の建設業者様を対象に、建設業許可の新規取得、業種追加、許可更新などのご相談を承っております。
また、建設業許可に関連する会社の目的変更や役員変更などの登記手続きについても、必要に応じてご相談いただけます。
舗装工事業の建設業許可の取得をご検討中の方は、ぜひ一度ご相談ください。
まとめ
舗装工事業は、道路や駐車場などの舗装を行う専門工事です。
1件の請負代金が500万円以上(税込み)となる舗装工事を請け負う場合には、原則として建設業許可が必要です。
許可取得にあたっては、経営業務の管理体制、営業所技術者等、誠実性、財産的基礎、欠格要件などを確認しなければなりません。
また、舗装工事業と土木一式工事業、とび・土工・コンクリート工事業などは、それぞれ対象となる工事の内容が異なります。
自社の工事内容に合った業種を選び、必要な要件や書類を事前に確認することで、スムーズな許可取得につなげましょう。
新潟県で舗装工事業の建設業許可の取得を検討されている建設業者様は、ぜひ当事務所にご相談ください。



