鋼構造物工事

鉄骨工事や橋梁工事、鉄塔工事などを営んでいる建設業者様の中には、「鋼構造物工事業の建設業許可を取得したい」「どのような工事が鋼構造物工事業に該当するのだろうか」「とび・土工・コンクリート工事業とは何が違うのだろうか」と疑問をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。

鋼構造物工事業は、鉄骨や鋼材などを加工・組立てして、建築物や橋梁、鉄塔などの構造物を築造する専門工事です。

許可業者数が少なく、日本全国でも鋼構造物工事の建設業許可業者数は約2000業者と言われており、私たちの事務所でも取り扱い実績はほとんどありません。

工場や倉庫の鉄骨工事、橋梁の鋼構造物工事など、比較的大規模な工事に関係することも多く、事業の拡大を考える建設業者様にとって、建設業許可の取得が重要になる場合があります。

一方、鉄骨を扱う工事であっても、施工内容によっては、とび・土工・コンクリート工事業や板金工事業などに該当することがあります。

この記事では、鋼構造物工事業の基本的な内容から、具体的な工事例、建設業許可が必要になるケース、許可取得の要件まで、わかりやすく解説します。

1.鋼構造物工事業とは?

鋼構造物工事業とは、形鋼、鋼板などの鋼材を加工し、組み立てて工作物を築造する工事をいいます。

建設業法上の専門工事の一つであり、鉄骨工事、橋梁工事、鉄塔工事、石油・ガスなどの貯蔵用タンク設置工事、屋外広告工事などが代表例として挙げられます。

鋼材は、強度や耐久性に優れていることから、建築物の骨組みや橋梁、各種設備など、さまざまな構造物に使用されています。

例えば、工場や倉庫を建築する際には、柱や梁などに鉄骨を使用することがあります。また、道路や河川に架かる橋梁、送電設備に関係する鉄塔などにも鋼材が使用されています。

こうした鋼材を所定の形状に加工し、組み立てて構造物を築造する工事が、鋼構造物工事業に該当します。

ただし、鋼材を使用していれば、すべて鋼構造物工事業になるわけではありません。鋼材を加工・組立てして構造物を築造する工事なのか、それとも既製品の設置や金属板の取付けなどを行う工事なのかによって、該当する業種が異なる場合があります。

2.鋼構造物工事業に該当する工事の具体例

鋼構造物工事業に該当する代表的な工事には、次のようなものがあります。

(1)鉄骨工事

鉄骨を使用して、建築物の骨組みなどを築造する工事です。

例えば、次のような工事があります。

  • 工場や倉庫の鉄骨工事
  • 鉄骨造の事務所や店舗の骨組み工事
  • 建築物の柱や梁などの鋼材の加工・組立て
  • 鉄骨を使用した建築物の構造部分の施工

鉄骨工事では、設計図に基づいて鋼材を加工し、現場などで組み立てて構造物を築造します。

建築物の規模によっては、多くの鋼材を使用し、加工精度や施工管理が重要になります。

なお、鉄骨を現場で組み立てる作業であっても、既製の鉄骨部材を組み立てる工事など、具体的な施工内容によっては、とび・土工・コンクリート工事業との区別が必要になる場合があります。

(2)橋梁工事

鋼材を使用して橋梁を築造する工事です。

道路や鉄道、河川などに架けられる橋梁には、鋼材を主要な構造材料として使用するものがあります。

鋼材を加工・組立てして橋梁を築造する工事は、鋼構造物工事業に該当する代表的な工事の一つです。

ただし、橋梁に関する工事であっても、既設橋梁の補修や補強などは、工事の内容によって該当する業種が異なることがあります。

(3)鉄塔工事

鋼材を加工・組立てして鉄塔を築造する工事です。

例えば、送電設備などに関連する鉄塔や、各種設備を支える鉄塔などが挙げられます。

鉄塔工事では、鋼材の加工や組立てだけでなく、構造物の安全性を確保するための適切な施工管理も重要です。

(4)屋外広告工事

屋外広告物を設置するための鋼構造物を築造する工事です。

例えば、広告塔や大型の広告看板などを支える構造物を、鋼材を加工・組立てして施工する工事が該当する場合があります。

ただし、看板に関係する工事であっても、広告物の設置方法や施工内容によっては、ほかの業種に該当することがあります。

(5)貯蔵用タンク設置工事

石油やガスなどを貯蔵するためのタンクを設置する工事も、鋼構造物工事業に該当する場合があります。

例えば、鋼材を加工・組立てして貯蔵用タンクを築造する工事などです。

一方、タンクに接続する配管設備の施工などは、工事内容によって管工事業などに該当する場合があります。

同じ現場で複数の種類の工事を行う場合には、それぞれの施工内容を確認することが重要です。

3.鋼構造物工事業とほかの建設業許可の業種との違い

鋼構造物工事業は、ほかの建設業許可の業種と区別が必要になることがあります。

特に、とび・土工・コンクリート工事業、板金工事業、建築一式工事業などとの違いを理解しておくことが大切です。

(1)鋼構造物工事業と、とび・土工・コンクリート工事業の違い

鋼構造物工事業と、とび・土工・コンクリート工事業は、鉄骨工事などで混同されやすい業種です。

鋼構造物工事業は、鋼材を加工・組立てして工作物を築造する工事を対象とします。

一方、とび・土工・コンクリート工事業には、足場の組立て、重量物の運搬・配置、くい打ち、土工事、コンクリート工事、既製の鉄骨などの組立てを伴う工事などが含まれます。

例えば、鋼材を加工・組立てして鉄骨構造物を築造する工事は、鋼構造物工事業に該当する場合があります。

これに対し、既製の鉄骨部材を現場で組み立てる工事は、施工内容によって、とび・土工・コンクリート工事業に該当する場合があります。

鉄骨に関係する工事だからといって、必ず鋼構造物工事業になるわけではありません。実際の施工内容を確認して判断する必要があります。

(2)鋼構造物工事業と板金工事業の違い

板金工事業は、金属薄板などを加工して工作物に取り付ける工事を中心とする業種です。

一方、鋼構造物工事業は、鋼材を加工・組立てして構造物を築造する工事を対象とします。

例えば、鋼材を加工・組立てして鉄骨の構造物を築造する工事は、鋼構造物工事業に該当する場合があります。

これに対し、金属板を加工して屋根や外壁などに取り付ける工事は、施工内容によって板金工事業に該当する場合があります。

使用する材料が金属であるという理由だけで業種を判断するのではなく、どのような目的で、どのような施工を行うのかを確認することが重要です。

(3)鋼構造物工事業と建築一式工事業の違い

建築一式工事業は、総合的な企画、指導、調整のもとに建築物を建設する工事を対象とする業種です。

一方、鋼構造物工事業は、鋼材を加工・組立てして工作物を築造する専門工事です。

例えば、建築物全体を建設する工事と、建築物の鉄骨部分を専門工事として請け負う場合では、該当する業種が異なる可能性があります。

建築一式工事業の許可を持っていれば、すべての専門工事を自由に請け負えるというわけではありません。

請負契約の内容や施工の実態を踏まえて、必要な業種の許可を確認することが重要です。

4.鋼構造物工事業の建設業許可が必要になるのはどのような場合?

建設業を営む場合、原則として建設業許可が必要ですが、軽微な建設工事のみを請け負う場合には、許可が不要とされています。

鋼構造物工事業のような専門工事では、原則として、1件の請負代金が**500万円未満(税込)**の工事のみを請け負う場合は、建設業許可がなくても営業できます。

一方、1件の請負代金が500万円以上(税込)の鋼構造物工事を請け負う場合には、原則として鋼構造物工事業の建設業許可が必要です。

請負代金を判断する際には、注文者から材料の提供を受ける場合、その材料の市場価格なども考慮する必要があります。

また、正当な理由なく契約を分割しても、許可が不要になるわけではありません。

建設業許可には、主に次のような区分があります。

  • 都道府県知事許可・国土交通大臣許可:営業所の設置状況などによって区分されます。
  • 一般建設業許可・特定建設業許可:元請として締結する下請契約の規模などによって区分されます。

鋼構造物工事では、工場や倉庫の鉄骨工事、橋梁工事など、比較的大規模な工事を受注することも考えられます。今後の受注予定や元請・下請の関係を踏まえて、必要な許可を検討しましょう。

5.鋼構造物工事業の建設業許可を取得するための要件

鋼構造物工事業の建設業許可を取得するには、建設業法に定められた要件を満たす必要があります。

主な確認事項は、次のとおりです。

(1)経営業務の管理体制

建設業の経営について、一定の経験や管理能力を有する体制が必要です。

過去の建設業の経営経験や役職、経営に関与していた期間などを確認し、法令で定められた要件を満たしているかを判断します。

以前の制度で使われていた「経営業務の管理責任者」という言葉だけで判断するのではなく、現在の制度に沿って経営体制全体を確認する必要があります。

(2)営業所技術者等の配置

許可を受けようとする営業所には、鋼構造物工事業について必要な知識や経験を有する営業所技術者等を配置する必要があります。

一般建設業許可では、一定の国家資格を有していることや、学歴に応じた実務経験、原則10年以上の実務経験などによって要件を満たせる場合があります。

鋼構造物工事業では、建築施工管理技士や土木施工管理技士などの資格が関係する場合があります。ただし、資格の種類や級、取得時期などによって認められる範囲が異なるため、個別の確認が必要です。

また、指定学科を卒業している場合には、学歴に応じた実務経験によって要件を満たせることもあります。

特定建設業許可では、一般建設業許可よりも厳しい技術者要件が定められています。

保有資格や学歴、実務経験の内容によって要件を満たせるかどうかが異なるため、申請前に確認することが重要です。

(3)誠実性

請負契約の締結や履行に関して、不正または不誠実な行為をするおそれが明らかな場合には、許可を受けられないことがあります。

建設業許可を取得するためには、法令に定められた誠実性の要件を満たす必要があります。

(4)財産的基礎など

一般建設業許可では、一定の財産的基礎や資金調達能力などが求められます。

例えば、自己資本の額や資金調達能力など、法令で定められた基準を満たしているかを確認します。

特定建設業許可では、一般建設業許可よりも厳しい財産的基礎の要件が設けられています。

(5)欠格要件などに該当しないこと

申請者や役員などが、法令で定められた欠格要件に該当しないことも必要です。

これらの要件を確認したうえで、必要な申請書類や確認資料を準備し、申請を行います。

6.鋼構造物工事業の建設業許可を取得するメリット

鋼構造物工事業の建設業許可を取得することには、次のようなメリットがあります。

(1)500万円以上の工事を請け負える

鋼構造物工事業の許可を取得することで、軽微な建設工事の範囲を超える工事を原則として請け負えるようになります。

工場や倉庫の鉄骨工事、橋梁関連工事など、請負金額の大きい工事にも対応しやすくなります。

(2)元請会社との取引に対応しやすくなる

元請会社によっては、下請業者に対して建設業許可の取得を求める場合があります。

許可を取得しておくことで、取引先の要望に対応しやすくなり、新たな受注機会につながる可能性があります。

特に、大手建設会社や設備関連会社などとの取引を目指す場合には、許可の有無が取引条件の一つとなることがあります。

(3)会社の信用力向上につながる

建設業許可を取得するには、経営体制や技術者、財産的基礎などについて一定の要件を満たす必要があります。

そのため、許可を取得していることは、取引先に自社の体制を説明する際の一つの材料になります。

ただし、許可を取得すれば必ず受注が増えるというわけではありません。施工実績や技術力、安全管理体制、取引先との信頼関係なども重要です。

7.鋼構造物工事業の建設業許可を取得する際の注意点

鋼構造物工事業の許可申請では、経営経験や技術者の資格・実務経験などを証明するための資料が必要になります。

特に、実務経験によって営業所技術者等の要件を満たそうとする場合には、どのような工事に従事していたのか、必要な経験期間を証明できるかなどを確認することが重要です。

長年、鉄骨工事や鋼構造物工事を行っている場合でも、許可申請で必要となる実務経験を適切に証明できなければ、申請がスムーズに進まないことがあります。

また、鋼構造物工事業と、とび・土工・コンクリート工事業の区分を正しく判断することも大切です。

例えば、鋼材を加工・組立てして構造物を築造する工事と、既製の鉄骨部材を現場で組み立てる工事では、該当する業種が異なる場合があります。

工事の名称だけで判断せず、実際の施工内容や請負契約の実態を整理したうえで、適切な許可を検討しましょう。

8.新潟県で鋼構造物工事業の建設業許可を取得するならご相談ください

鋼構造物工事業の建設業許可を取得するには、自社が行っている工事の内容を確認するとともに、経営体制や技術者の資格・実務経験などを整理する必要があります。

また、すでに別の業種の建設業許可を取得している会社が、鋼構造物工事業の許可を追加する場合にも、要件の確認や必要書類の準備が必要です。

当事務所では、新潟市および新潟市近郊の建設業者様を対象に、建設業許可の新規取得や業種追加などのご相談を承っております。

また、会社の目的変更や役員変更などの登記手続きについても、必要に応じてご相談いただけます。

「鋼構造物工事業の許可を取得できるか確認したい」「営業所技術者等の要件を満たせるか知りたい」「元請会社から許可取得を求められている」といったお悩みがありましたら、お気軽にお問い合わせください。

現在の状況を確認しながら、建設業許可の取得に向けて必要な手続きをご案内いたします。

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