建設業を営んでいる方の中には、「石工事業の建設業許可を取得したい」「石積みや石張りの工事は、どの業種に該当するのだろうか」「石工事業の許可を取得するためには、どのような要件を満たす必要があるのだろうか」と疑問をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。
石工事業は、石材などを加工したり積み上げたりして工作物を築造する工事や、工作物に石材を取り付ける工事を対象とする建設業の業種です。
石垣の築造や石材を使用した外壁工事など、さまざまな場面で必要とされる工事ですが、施工内容によっては、とび・土工工事業やタイル・れんが・ブロック工事業などとの区別が問題になることもあります。
この記事では、石工事業の基本的な内容から、具体的な工事例、建設業許可が必要になるケース、許可取得の要件まで、わかりやすく解説します。
1.石工事業とは?
石工事業とは、建設業法上の専門工事の一つで、石材や、石材に類似したコンクリートブロック・擬石などの加工または積方によって工作物を築造したり、工作物に石材を取り付けたりする工事をいいます。
石材を使った工事は、建築物の外壁や塀、石垣、擁壁、記念碑など、さまざまな場所で行われています。
石工事業では、単に石材を運搬したり販売したりするだけでなく、石材を加工し、積み上げ、または工作物に取り付けるなど、建設工事として施工することが重要です。
なお、実際にどの業種の建設業許可が必要になるかは、工事の名称だけでは判断できません。使用する材料や施工方法、工事の目的などを踏まえて確認する必要があります。
2.石工事業に該当する工事の具体例
石工事業に該当する代表的な工事には、次のようなものがあります。
(1)石積み工事
石材を積み上げて、石垣や擁壁などを築造する工事です。
天然石などを組み合わせながら積み上げ、工作物をつくります。石材の形状や積み方によって、仕上がりや構造が異なります。
ただし、石材を使用する工事であっても、主な施工内容が土木工事や別の専門工事に該当する場合があります。
(2)石張り工事
石材を建築物の壁面や床面などに取り付ける工事です。
例えば、建築物の外壁に石材を張り付けたり、床面に石材を施工したりする工事が考えられます。
石材を使用する工事であっても、施工方法や工事の内容によって業種の判断が異なることがあるため、具体的な施工内容を確認することが大切です。
(3)コンクリートブロック積み工事
コンクリートブロックを積み上げたり、張り付けたりして工作物を築造する工事も、石工事業の例示に含まれています。
ただし、すべてのブロック工事が石工事業に該当するわけではありません。
ブロックを使用した塀や壁などの工事では、施工内容によって、とび・土工工事業やタイル・れんが・ブロック工事業などとの区別が必要になる場合があります。
(4)擬石を使用した工事
天然石に似せてつくられた擬石などを使用する工事も、石工事業に該当する場合があります。
建築物の外装や外構などに使用されることがありますが、実際の工事の内容に応じた判断が必要です。
(5)石材を加工して工作物を築造する工事
石材を加工し、その加工した石材を用いて工作物を築造する工事も、石工事業に該当します。
例えば、石材を加工して石垣や記念碑などをつくる工事が考えられます。
このように、石工事業は石材の加工、積み上げ、取り付けなどを中心とする工事ですが、石材の加工や販売だけを行う場合と、建設工事として施工する場合は区別して考える必要があります。
3.石工事業とほかの建設業許可の業種との違い
建設業許可は、工事の種類ごとに業種が区分されています。
石材やコンクリートブロックなどを使用する工事は、複数の業種に関係することがあるため、注意が必要です。
(1)石工事業ととび・土工工事業の違い
とび・土工工事業には、足場の組立て、土工事、コンクリート工事、法面保護工事など、幅広い工事が含まれます。
石材を使用する工事であっても、工事の主な内容が土工事や法面保護などであれば、とび・土工工事業に該当する可能性があります。
一方、石材を加工して積み上げ、工作物を築造する工事や、工作物に石材を取り付ける工事は、石工事業に該当することがあります。
例えば、石材を積み上げて石垣を築造する工事と、斜面の安定を図るために行う法面保護工事では、施工内容によって業種の判断が異なります。
(2)石工事業とタイル・れんが・ブロック工事業の違い
タイル・れんが・ブロック工事業は、タイル、れんが、コンクリートブロックなどを用いて工作物を築造したり、仕上げたりする工事を対象とします。
石工事業もコンクリートブロック積み工事を例示に含むため、両者の区別が問題になることがあります。
重要なのは、使用する材料の名称だけで判断しないことです。
実際の施工方法や工事の目的、築造する工作物の内容などを踏まえ、どの業種に該当するかを確認する必要があります。
(3)石工事業と土木一式工事業の違い
土木一式工事業は、総合的な企画、指導、調整のもとに土木工作物を建設する工事を対象とする業種です。
一方、石工事業は、石材の加工や積方、工作物への石材の取り付けなどを中心とする専門工事です。
例えば、石材を積み上げる専門工事を請け負う場合と、複数の専門工事を総合的に管理しながら土木工作物を建設する場合では、該当する業種が異なる可能性があります。
なお、土木一式工事業の許可を持っていれば、あらゆる専門工事を単独で請け負えるというわけではありません。請負工事の内容に応じて、必要な許可を確認することが重要です。
4.石工事業の建設業許可が必要になるのはどのような場合?
建設業を営む場合、原則として建設業許可が必要ですが、軽微な建設工事のみを請け負う場合には、許可が不要とされています。
石工事業のような専門工事では、原則として、1件の請負代金が**500万円未満(税込)**の工事のみを請け負う場合は、建設業許可がなくても営業できます。
一方、1件の請負代金が500万円以上(税込)の石工事を請け負う場合には、原則として石工事業の建設業許可が必要です。
なお、注文者から材料の提供を受ける場合には、その材料の市場価格などを含めて請負代金を考える必要があります。また、正当な理由なく契約を分割しても、許可が不要になるわけではありません。
建設業許可には、主に次のような区分があります。
- 都道府県知事許可・国土交通大臣許可:営業所の設置状況などによって区分されます。
- 一般建設業許可・特定建設業許可:元請として締結する下請契約の規模などによって区分されます。
どの許可が必要になるかは、営業所の所在地や請負契約の内容などによって異なります。
5.石工事業の建設業許可を取得するための要件
石工事業の建設業許可を取得するには、建設業法に定められた要件を満たす必要があります。
主な確認事項は、次のとおりです。
(1)経営業務の管理体制
建設業の経営について、一定の経験や管理能力を有する体制が必要です。
過去の建設業の経営経験や役職、経営に関与していた期間などを確認し、法令で定められた要件を満たしているかを判断します。
以前の制度で使われていた「経営業務の管理責任者」という言葉だけで判断するのではなく、現在の制度に沿って経営体制全体を確認する必要があります。
(2)営業所技術者等の配置
許可を受けようとする営業所には、業種ごとに必要な知識や経験を有する営業所技術者等を配置する必要があります。
一般建設業許可では、一定の国家資格を有していることや、学歴に応じた実務経験、原則10年以上の実務経験などによって要件を満たせる場合があります。
特定建設業許可では、一般建設業許可よりも厳しい技術者要件が定められています。
石工事業についても、保有資格や学歴、実務経験などによって要件を満たせるかどうかが異なります。
実務経験で要件を満たす場合には、どのような工事に従事していたのか、必要な経験期間を証明できるかなどを確認することが重要です。
(3)誠実性
請負契約の締結や履行に関して、不正または不誠実な行為をするおそれが明らかな場合には、許可を受けられないことがあります。
建設業許可を取得するためには、法令に定められた誠実性の要件を満たす必要があります。
(4)財産的基礎など
一般建設業許可では、一定の財産的基礎や資金調達能力などが求められます。
例えば、自己資本の額や資金調達能力など、法令で定められた基準を満たしているかを確認します。
特定建設業許可では、一般建設業許可よりも厳しい財産的基礎の要件が設けられています。
(5)欠格要件などに該当しないこと
申請者や役員などが、法令で定められた欠格要件に該当しないことも必要です。
これらの要件を確認したうえで、必要な申請書類や確認資料を準備し、申請を行います。
6.石工事業の建設業許可を取得するメリット
石工事業の建設業許可を取得することには、次のようなメリットがあります。
(1)500万円以上の工事を請け負える
石工事業の許可を取得することで、軽微な建設工事の範囲を超える工事を原則として請け負えるようになります。
これまで請負金額の制限から受注できなかった工事にも対応できるようになり、事業拡大の機会につながります。
(2)元請会社との取引に対応しやすくなる
元請会社によっては、下請業者に対して建設業許可の取得を求める場合があります。
許可を取得しておくことで、取引先の要望に対応しやすくなり、新たな受注機会につながる可能性があります。
(3)会社の信用力向上につながる
建設業許可を取得するためには、経営体制や技術者、財産的基礎などについて一定の要件を満たす必要があります。
そのため、許可を取得していることは、取引先に自社の体制を説明する際の一つの材料になります。
ただし、許可を取得すれば必ず受注が増えるというわけではありません。施工実績や技術力、取引先との信頼関係なども重要です。
7.石工事業の建設業許可を取得する際の注意点
石工事業の許可申請では、技術者の資格や実務経験、経営経験などを証明するための資料が必要になります。
特に、実務経験によって営業所技術者等の要件を満たそうとする場合には、経験した工事の内容や経験期間を確認することが重要です。
長年、石工事を行っている場合でも、許可申請で必要となる実務経験を適切に証明できなければ、申請がスムーズに進まないことがあります。
また、自社で行っている工事が石工事業に該当するのか、それとも別の業種に該当するのかを事前に整理しておくことも大切です。
例えば、石材を使った外構工事やブロック工事などは、施工内容によって複数の業種が関係する可能性があります。
工事の名称だけで判断せず、実際の施工内容を確認したうえで、適切な業種の許可を検討しましょう。
8.新潟県で石工事業の建設業許可を取得するならご相談ください
石工事業の建設業許可を取得するには、自社の工事内容が石工事業に該当するかを確認するとともに、経営体制や技術者の資格・実務経験などを整理する必要があります。
また、すでに別の業種の建設業許可を取得している会社が、石工事業の許可を追加する場合にも、要件の確認や必要書類の準備が必要です。
当事務所では、新潟市および新潟市近郊の建設業者様を対象に、建設業許可の新規取得や業種追加などのご相談を承っております。
当事務所は司法書士法人を併設しており、建設業許可の手続きだけでなく、会社の目的変更や役員変更などの登記手続きについても、必要に応じて一体的にご相談いただけます。
「石工事業の許可を取得できるか確認したい」「実務経験で技術者の要件を満たせるか知りたい」「元請会社から許可取得を求められている」といったお悩みがありましたら、お気軽にお問い合わせください。
現在の状況を確認しながら、建設業許可の取得に向けて必要な手続きをご案内いたします。



